【芝居】「円生と志ん生」
2005.2.7 18:30
五代目古今亭志ん生と六代目三遊亭圓生という二人の噺家が、満州興行の中途、大連で敗戦を迎えたため帰国できなくなったという実話をとっかかりに。27日まで紀伊國屋ホール。その後、鎌倉、山形・川西町。休憩15分込み、2時間45分。
「連鎖街のひとびと」(2000年初演)と同じ、敗戦直後の大連を舞台。その時代の「空気」を描いていきます。二人の噺家が足止めを食った、というのは事実のようですが、今作自体はいくつかの断片から編み上げたようです。有料パンフには年表が付いてきます。
確かにそこに居た人、確かにそこにあった空気。デフォルメはかなり強烈に入っていますし、こまつ座新作らしく、まだ「こなれていない」感がそこかしこにあります。連鎖街の時にも感じましたが、前半のどこか堅いのです。後半はかなり空気を暖め面白いのですが、微妙な滑りすぎを感じるのも事実。
寄席興行も多い紀伊國屋ですから、噺家に対する妙な距離はないように思います。わりと地に足がついたような感じはします。辻萬長さん演じる円生師、角野卓造さん演じる志ん生師も、あたし自身は本物をほとんど知りませんが、雰囲気はなんかそれらしい感じがします。女性4人は、その時代の空気を描くようにいろんな役で登場します。話の芯となるのが主役の二人だけで、あとは文字通りその場限りなのが、なんかもったいない感じなのです。
敗戦後とはいえ不穏な空気のある時代。徐々に暗く沈んで行く時代。そんな時代には「ニセモノ」が扇動するのだという視点に、井上節。終幕近くで落語の「笑い」をキリスト教信者の聖書になぞって「生きていくちから」とするあたりは、力強く印象的。「ことばをうたう」ひらたよーこさんが、歌い上げる喫茶店の場面、彼女の歌に近くて印象的、衣装にも注目。
こまつ座 第75回公演「円生と志ん生」
2005.2.5 - 2.27 新宿・紀伊國屋ホール
2005.3.3 鎌倉芸術館大ホール
2005.3.5 山形県川西町フレンドリープラザ
作 井上ひさし 演出 鵜山仁
出演 辻萬長 久世星佳 宮地雅子 神野三鈴 ひらたよーこ 角野卓造 /朴勝哲
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