【芝居】「わが町」小鳥クロックワーク
東京大学、駒場キャンパスを拠点に7年活動してきた小鳥クロックワーク、の最終公演。次回からは「小鳥」の名前を捨てるとの告知で6月にアゴラ劇場でスタート。その最後公演、ソーントン・ワイルダーの「わが町」をスタイリッシュに仕立てて、17日まで、東京大学駒場キャンパス内駒場小空間(ブラジル)。懐炉配ったりしてますが暖房が壊れているとやらで、半端じゃなく寒いので完全武装で、ぜひ。
冷たい雨の降る土曜日、昼はものものしくてどうしたことかと思ってたら、センター試験なのね。そうか。
小鳥を前に見たのは2001年ぐらいの二本(教室の風が女たちの眉を吹く」「ノムウツコマル」。このころはオリジナルの戯曲で、わりと「ストーリー」仕立ての芝居だった印象があります。最近、勧めてくれる人が増えていたのですが、そのときの印象が薄くてついつい逃していました。最終公演なら行かねばなるまい、で行きました。
「ファッションショーのような演出」とある人が言いました。まさにそんな印象。というか、それは演出の一部を示しているにすぎません。繰り返しや極端に遅い芝居、ポップだったりいろいろ。見ていて飽きません。若い役者がてんこもり、胸焼けしそうなぐらい。彼らが演じる「わが町」。ふつうの日常から結婚、死につながる3幕の芝居は、1幕目の日常若い役者がリンクして涙してしまうあたしなのです。
広く、高さのある空間。叫ぶような芝居をしても、違和感を感じないのは空間ゆえか、若さゆえか。オープニングとエンディング、役者たちが舞台をVanessa ParadisのBe my babyに合わせて斜めに横切って行くだけのシーンなのだけど、実に良く作り込まれていて、美しく印象的です。芝居の本筋とはなんの関係もないのだけど、これを最初と最後にかますのは、たしかにインパクトあります。つうか、これだけ見てたいって気もしますが、そんなことしたら飽きちゃうかもしれません。
1幕目の日常、2幕目の結婚は、役者たちの身の丈のようで面白い。結婚する二人を10人で対面して演じるシーンが、ちょっとかっこいい。教授の遅い台詞は、ちょっとやりすぎな感。3幕目の墓地のあまりに静かさはちょっと厳しい。エンディングの降らせ物と役者たちの生年月日を叫ぶシーンはさすがに美しい。この空間の広さゆえ。
なぜ横浜、という場所を想定したかは、よくわからないのです。出入りの少ない、どちらかというと寂れた町を想定されている気がするのだけど、横浜はそうじゃない。とはいえ、平田オリザさんだって「わが町・池袋」とかやってますからね、まあいいのか。
前にみたものとは全く別物に進化した彼ら、6月のアゴラを見るのが、少し楽しみです。(支援会員申し込んだし)。しかし、終演後にサウンドトラックと称して配ってるあれは、自覚無しにやってるとすればやばすぎないか。相手が悪すぎます。1(なんせ小学校の壁画にさえ文句つける彼だ。)自覚してアナーキーな意味でやってるなら見上げたものですが、それは自分の首を絞めることになりそうです。
関連blog>thee Hundsome Internet (alpha)、田口アヤコ 毎日のこまごましたものたち、某日観劇録、explastica、いろはにほへと
小鳥クロックワーク「わが町」
2005.1.14 - 1.17 駒場小空間(東京大学駒場キャンパス内)
作 ソーントン・ワイルダー 演出 西悟志
出演 遠藤径至 大河内健嗣 大沢由加子# 神谷明子 加茂みかん* 小菅紘史 佐々木リクウ# 杉亜由子 鈴木智美 立蔵葉子 チョウソンハ* 中村早香* 広田淳一* 宮城未蹴 若子昭一* 渡辺理英 (#クナウカ *ひょっとこ乱舞)
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コメント
「終演後に配っているアレ」
他のblogで見当をつけたのですが、当パン入りのあれですか、ひょっとして。
初日を観ましたが、終演後には何も受けとらなかったので、なんだろうって思いまして。ひょっとして、わたしの推測が当たっていたら、初日の開演前に、照明があれに反射するのでかばんにしまってください、と言われました。でもそんなかばん持ってない人もけっこういた(と思う)。そんで、そういう人は「おしまい宣言」の紙の下なんかに持って観てたと思うのですが、双方気になってそうなったのかなーとか。
初日もキャンパス内はものものしく、理由に全く気づいてませんでした。マチネがないのはマチネとソワレの間が忙しくなるせい? とアンケートに書いたくらい。翌朝ニュースで前日歩いた場所が映って、それで気づきました。
投稿: あれ | 2005.01.16 11:11
配ってたのは、その光る物の中身です。初日はちゃんとアナウンス出来なくて、ほんの少ししか配れなかったらしいのですが。
あの曲も、この曲も、配れるわけなかろうと。
投稿: かわひ_ | 2005.01.17 01:56
TBありがとうございます。たどってきました。「あれ」について書かれている感想は初めて見ましたから、ひょっとして最初のコメントに書かれている「見当をつけたblog」は私のblogかも。自覚なんてあるわけないですね。時効を待つしかないでしょう。次回も繰返したら救いがたいですけど。
「小学校の壁画に文句をつける彼」の曲は、もう著作権切れていませんでしたっけ?もっとも、オリジナルとは別の録音だったら、そこで別の権利が発生すると思いますが。宇宙戦争の曲なんかオリジナルど真ん中ですよね。
私のblogには書き忘れましたけど、結婚の場面はたしかによかったですね。あれは演出の手柄でしょう。あと、月を見上げる場面もよかったのですが、こちらは脚本でしょう。見所のある芝居なだけに、ああいう行為が残念です。
投稿: 六角形 | 2005.01.23 21:04
六角形さん、コメントありがとうございます。
blogも拝見しております。芝居にまつわるお金の話など、面白く拝見しております。
まあ、様子見るしかないんですが。「小学校の~」あれ、切れてるんですか?著作権の時間って、あの曲やキャラクタが切れないように、強烈なロビー活動によって伸ばされてる、っていう認識だったんですが。嘘かもしれません。
投稿: かわひ_ | 2005.01.24 01:35
六角形さま、はじめまして。
ご指摘のとおりでございます。わたし、直接存じあげない人のページに書きこむのは苦手でして、ときどきかわひ_さんちにパラサイトさせてさせていただいています。
書いたとおり、初日に観たわたしの手にブツは届きませんでした。寒かったけど幸福な気分で劇場をあとにしました。自分としてはそれで良かったな、と(^^;;;。
投稿: あれ | 2005.01.24 10:51