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2005.01.15

ある劇団

ある劇団が、正式に活動の停止を公表しました

東京の劇団なんて、それこそ星の数ほどありますから、珍しい話でも何でもありません。決してメジャーとは言えない規模、誰もが知ってるというわけではありません。(観客にとって)映像が残っているわけではではありません。芝居の一つ一つをきっちり記憶しているような「いい観客」でもありませんから、その思い出を語れるかというと、そう思い入れを人に語ることができないのも歯がゆいのです。あたしにとっては、@niftyなどに書き散らかした感想と手元の記録だけが、すべての記憶なので、それを持ってきて、思い起こすのです。

97年11月15日。東演パラータで初めて彼女たちの芝居に触れました。あたしにとっては、人に勧められるままに、爆発的に観劇本数が増えた年。そんな中で、シアターガイドを見て、「自分で見つけた」と勝手に思っていたいくつかの劇団の一つ。「お嬢様芸としての演劇」「girlyな」という言葉に惹かれて見に行ったのでした。このあたりの傾向、今でもほとんど変わってないのが、いいんだか悪いんだか。

短い芝居を重ねていくスタイル、笑いを多用しながらという点でも当時流行っていたiOJO!にも少し似ていました。どこかオンナノコ的で、どこか醒めている不思議な感覚の言葉、それを身の丈にきちんと消化している役者たち、終演後に配るお菓子、いろんなものストンとはまっている、ああ、また観たいな、と思った芝居でした。

決して頻繁な公演ペースではなくて、毎回が大傑作というわけでもありません。が、この紡がれる言葉の心地よさ、オトコのあたしだけども腑に落ちる感じの感覚。俳優も女優もかっこよかったり可愛かったりな個性的な役者陣。芝居を見るときに優先順位が高い芝居であり続けました。

その後、公演はどんどん増えていきます。やがて、公演ペースが鈍り、公演の形態が変わり、役者が抜け、それでも言葉に触れたくて、通い続けました。最終公演の情報を耳にし始めたのは、去年の後半からでした。11月公演のためのblogが立ち上がり、主宰の言葉として断片が語り始められます。いままで感じていたことですから衝撃ではありませんでしたし、徐々に断片が語られて、ゆっくりと体にしみこんでいったのです。

そして、最後の言葉が、2005年1月13日、あたしから見ると突然に、しかし、気持ちいいぐらいにきっぱりと、宣言されたのでした。最初から評価が決まったメジャーではなく、はずれも多い小さな劇場での旗揚げ間もない人々の芝居、新たな人々に触れることのおもしろさを教えてくれた劇団のひとつでした。外れた芝居が続いたとしても、それでも、こういう芝居を見続けているのは、このときの想いが原動力になっていることは間違いないのです。

スタッフたち、役者たちにどこかでまた触れられたらと、夢想するのです。過剰な期待はしないで、少しだけの記憶の断片を胸にしまい、あたしはまた劇場通いを続けます。

あたしの観劇記録。自分のメモのために。こうやってならべると、ものすごく粘着質で記憶力のいいファン(←面倒くさい人)みたいですが、むかし書いたものをハードディスクから引っ張り出して載せてるだけですので、はい。途中が抜けてるのは、芝居の感想、そのころあんまり書いてないのです。こうなってしまうと残念。

  • 1997.11みっつめ公演 「マルチチョコ」@東演パラータ
  • 1998.6 よっつめ公演「スイッチョン」@ウエストエンドスタジオ
  • 1999.5 いつつめ公演「青竹踏」@ウエストエンドスタジオ
  • 1999.8 べつくち公演「つめのしごと」@アルテ・パティオ
  • 1999.11 むっつめ公演「口笛きのこ」@ザムザ阿佐ヶ谷
  • 2000.2 ななつめ公演「割箸文庫」@アイピット目白
  • 2000.7 やっつめ公演「ひみつパーマ」@MOMO
  • 2001.3 ここのつめ公演「ステッチ」@MOMO
  • 2001.6 「某つめきり(1)」@武蔵野芸能劇場
  • 2001.11 10つめ公演「野球」@THEATER BRATS
  • 2002.7 「某つめきり(2)」@MOMO
  • 2002.11 10とひとつめ公演「国語II」@THEATER BRATS
  • 2002.12 PPP5 特別公演「魔法瓶の湯気」@ていぱーく
  • 2003.3 10とふたつめ公演「ロングロングケーキ」@MOMO
  • 2003.5 「コワレモノ侍」@クラブ ケイヴ・ビー
  • 2003.10 10とみっつめ公演「カーディゴン」@ウエストエンドスタジオ
  • 2004.1 ていぱーく公演「隅に置く」@ていぱーく
  • 2004.11 「くらやみと遠足のおやつ:@府中市美術館エントランスホール

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