【芝居】「馬鹿はおまえだ」ひょっとこ乱舞
2004.12.5 18:30
演劇祭パンフによればリズムとスピード・熱量と脱力を駆使する4年目の「ひょっとこ乱舞」10作目の記念での再演。あたしは劇団自体初見です。王子小劇場の佐藤佐吉演劇祭五本目。この演劇祭の中では長めで14日まで。
手慣れた感じがするのです。達者な役者たち、台詞の面白さなど、うまくまとまってるなぁと思います。難しい話ではないのだけど、「溶ける」姉妹のくだり、ちょっとわかりにくいかも。トークショーによれば、「溶け合う達成感」の象徴的な表現ということのようですが、確かにそうだよなぁ。誰かと一緒に居続ける、というのはそういうことだもんなぁと。
かつては首都だったのに今は寂れた小さな街、そこのレストラン。13年前にそこに捨てられ住んでいた双子の姉妹は別々に引き取られて以来ずっと会うこともなかった。そして現在。レストランハスキーで働く娘たち、双子の片割れタマミもその中に居るが、このレストランを手に入れて双子のもう片割れモモミと一緒に暮らすことを夢見ている
当日パンフによれば、初演ではお先真っ暗感で終わっていたのを、将来への希望を感じさせるものへの改訂をしているとのこと。芝居を観ていて初演時の感じが予測できるような感じ。個人的には将来への希望にとってつけた感じがしないことはありません。お先真っ暗の方がよかったかなぁと。
派手な部分、静かな部分。言葉で少し遊んだり、姉妹の描き方などで、野田秀樹っぽさを感じたりします。一方で世界の見え方はむしろナイロンぽい感じがします。巧みでおもしろく、もしかしたら伸びていくんだろうなぁと思ったりもします。一方で登場人物が少々多めで作家がもてあましているような感じも受けます。シンプルに描くと、かなり力強い話になるんだろうなぁと。
劇場を横使い、そのおかげで座席の前後間隔がかなり狭めの席があるのが要改善ポイント。座るなら最前列かな。10回目ということもあって、初日打ち上げ観客参加やらプレゼントやら無料モニターやらいろいろ盛りだくさん。当日パンフも気合い入りまくりで14ページ。アンケート後日郵送用の封筒(切手つき)を受付で配るというのは、web受付の時代とはいえ細やかな心配り。
観た5日夜はトークショー付き。作・演の広田淳一さんと役者の若子昭一さんの二人。作家は遅筆なのだといいますが(当日パンフにもそこら中に書いてあるから相当なのでしょう)、語りたいものがたりはたくさんもっているんじゃないかとみました。なによりバイタリティを感じます。
ひょっとこ乱舞「馬鹿はおまえだ」
2004.12.3 - 12.14 王子小劇場
作・演出 広田淳一
出演 伊東沙保 浦川友美 金子優子 加茂みかん 草野たかこ 酒井彩子 高橋恵 瀧澤崇 チョウソンハ 外山晴菜 中村早香 橋本仁 林隆紀 若子昭一 広田淳一
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