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2004.11.15

【芝居】「monotera」回転OZORA

2004.11.14 19:00

最近みはじめた、「回転OZORA」は、わりと上質な芝居が観られるという印象の劇団。劇団webのチケット予約が秀逸で、 お気に入りの役者(かスタッフ)を選んで予約すると、ちょっと気の利いたプレゼント貰えるという趣向。 なかなかいい感じ。彼らが久しぶりの、と銘打つSF仕立ての「monotera」は、たった「一つの地球」 のものがたり。萬スタジオでの公演は14日で終了。

地上はとても暮らせる状況ではなく、ヒューマノイドが多数となった地球。わずかに生き残った人間に、施設の中での繁殖を試みる世界のものがたり。「ロボット三原則」を根底に、自ら命を絶つことが禁じられるように作られているヒューマノイドが自殺するために仕掛けた大仕掛け。

よくできたSFっぽさ。SFではなぜか三原則やら、いろいろな決まり事がいつの間にか多くて、それに違反してるだけで細かく文句言う人が結構いて、個人的には辟易してしまいがち。(物語の外側の「勝手な決まり事」ぢゃん、と思ってしまう)が、これなら、多分大丈夫。が、決して縛られているという感じはなくて、単に奔放でもなくて楽しめます。

近親交配を重ねたため、メスしか生まれなくなってる人間の中の唯一のオスが息絶え、絶望するかに見えたとき、地底深くで見つかったコールドスリープのオス2体。物語の前半では隠されているけど、この施設はかつて刑務所で、コールドスリープの1体は冷凍禁固刑(なんじゃそりゃ)を受けていた囚人、もう1体は科学者。発見したヒューマノイドはそのことを知りながら記憶と記録の一部を意図的に消去してしまう。ヒューマノイドは囚人の犯罪を止めることができないまま、次々と殺されていって...

終幕、灯りに向かうアダムとイヴは、新しい世界を創るとみるのが素直かなぁ。あるいは、あの二人ではとか、開いた扉から流れこんできたものは何だったかなど、悪い方に想像すればきりはなくて、いっぱいの希望、という風にも終われない重さ。ずっしり重く、しかしおもしろかった、と思えるのです。

無邪気な女性を演じた今藤洋子さんは劇団の看板といってもいい女優。独特の声が印象的なのですが、どこか幼い感じの今作は今までの「できる」感じとは一転、びっくりなのです。彼女に限らず、役者のバランスがよく、観ていて安心できる感じ。

回転OZORA vol.XIV「monotera」
2004.11.10 - 11.14 萬スタジオ
作・演出 村上秀樹
出演 今藤洋子 桔川友嘉 加東さゆみ 市木裕子 竹内剛史 宇佐見雅司 村山なおこ 松吉 草刈勲 鎌倉康太郎 吉岡亜沙美 内田薫里 平田知子 松岡万里子 森田嶺子 吉田祐未 加藤正洋
Voice: 岡野大生 加藤潤一 倉内翼

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コメント

「無邪気な」女性、つーか、ちょっと「おつむのたりない」人ですな、マナさんby今藤さん。

そいでさ、「地上はとても暮らせる状況ではなく」ってのは、実際にそうだったんじゃなくて、ヒューマノイドがそのようにイヴたちに思いこませてる状況、だったんじゃなかったっけ?
あの場に囲い込んでおくために。
じゃなきゃ、ラストで外に出て行く2人が、一縷の希望にならないじゃん。

投稿: おくむら | 2004.11.17 11:53

少なくともある時点までは、暮らせる状況じゃなかった、と思いました。でないとコールドスリープがんばって開発しようなんて話にならないと思うので。で、今はどっちかわからない、と思いました。

投稿: かわひ_ | 2004.11.17 12:28

んー、それだとますます救いがないなぁ…。
オゾラで、そゆ話、珍しくね?
あのアダムなら、イヴの首を絞めるのは時間の問題だしなぁ。
かりにイヴを絞めなくても、赤ちゃんは確実に絞めるよ。泣くしグズるし。

投稿: おくむら | 2004.11.17 17:20

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