【芝居】「いやむしろ忘れて草」五反田団
2004.10.17 18:00
わりとチープさが売りの五反田団、今回はどこか本気感漂います。チラシひとつとっても。いままでの五反田団と違う感じにとまどう指摘もありますが、作品を見れば納得、五反田団という枠の中では計り知れないぐらいの、傑作だと思うのです。
八百屋に生まれた四姉妹のはなし、過ぎ去った時間への想い。芝居はたったひとつのベッドの上で進みますが、まるでタイムマシンのように、病室と八百屋の二階に自在に時空を超える、とても舞台らしい話なのです。
子供の頃の他愛のない会話や喧嘩。元気だった三女、そして怒鳴る父親。現在ではは主役たる三女は入院し、八百屋も潰れていて、父親もすっかり丸くなっています。いつ退院できるともわからない長い入院生活。登場人物たちは、ごく当たり前に日常のこととして病院に見舞いに訪れ、そして日常のように帰っていきます。その中で、緊張感をもって入ってくる父親が医者から聞いた娘の病状は決して語られることはありませんが、ピアノを買おうか、という提案がすべてを物語ります。三女は父親と暮らす覚悟をしているものの、姉妹たちはそれを心配していて、長女はそれゆえに結婚しないのではないかとすら思えますが、そんなことに気を遣ってほしくない、みんなの荷物で居たくない、忘れられるぐらい、ひっそりと生きていきたい、のです。
あまりに本気な感じは五反田団らしくないかもしれません、いつもの脱力する五反田団とも違うかもしれません。が、このホンとそれにきっちり応える端田新菜さん、代表作といえる一本になったのではないかと思います。その時間に観客として立ち会えたことが、本当に幸せだと感じます。
五反田団第27回公演「いやむしろわすれて草」
2004.10.12 - 10.17 こまばアゴラ劇場
作・演出 前田司郎
出演 兵藤公美(青年団) 山本由佳(むっちりみえっぱり) 端田新菜(青年団) 後藤飛鳥 望月志津子 奥田洋平(青年団) 黒田大輔(THESHAMPOOHAT) 志賀廣太郎(青年団)
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