【芝居】「TURKEY」ONEOR8
2004.9.19 18:00
「星のホール」にボーリング場のレーンを、まるで花道のように出現。自動販売機といい、ボーリング場の作り込みがすごくて、ほんとに「出現させた」という言葉がふさわしいのです。
実際のところ、星のホールを使いこなすのは難しいと思うのです。舞台も客席も天井が高く、普通に小劇場の芝居をするとスカスカな感じになってしまい、数多くの劇団が実は苦労しているんじゃないかと思うのです。ボーリング場というのは空間としてわりと広い場所ですから、声の拡散や、役者の距離が長くなってしまうことも含めて、このホールの特性によくあっている舞台なのではないかと思います。劇場と劇作のどちらが先かはわかりませんが。
この公演に限りませんが、三鷹市芸文ホールは、多くの公演で当日でも朝から劇場に電話することで予約をすることが出来ます。(当日電話の場合は当日券料金) 予約の前にだいたいの場所を教えてもらえますし、確定した時点で席番号も教えてもらえます。実に落ち着いて行き届いた応対で、大人の仕事、というのを感じさせるこの劇場はもっともっと特筆されていいと思います。なんせ駅からも遠いので、こういう対応が有り難いのです
「こんな感じ?」にもレビューがあります。以下ネタバレ
高校生のころにボーリング場に通い詰めた二人。その一人はプロを目指し、もう一人は死んでしまった。二人分もがんばるつもりで11年がんばって来た。ボーリング場も閑古鳥が鳴くような状態、まだプロを目指していた彼女は、ふとしたきっかけであのときのスコア表を見て、スコアが30点ほど高くつけられていたことを知る。なんだ、全然巧くなんかなかったんじゃん。でも、のスコアの間違いは死んでしまった彼女が間違えていたわけではないのです。
こんな軸の物語に、ボーリング場をめぐる人々、ボーリング場に溜まる人々の話が隅々まで語られます。すべての物語をきっちりと回収するあたり、本筋以外の物語もちゃんとボリュームがあって、そこまで書き込まなくてもとも思いますが、気持ちよく見られます。
11年の時間の行き来が、あまり差なく転換されます。最初は説明らしい説明もないので戸惑いますが、しばらく見ていれば大丈夫、いたずらに暗転させず、ちょっとかっこいい。客演に双子の役者が居ますが、双子を双子として使わず、似ている他人として使います。一方は死んでしまっている人物で、その二人が同じシーンの中に居る、不思議な雰囲気を作り出しています。男性陣のキャラクタが分化しているのに比べると、女優は少々似ている感じの人が多く、少し平板に感じます。
が、しっかりと作られた物語、セットの重厚さとあわせて、おすすめの舞台です。三鷹芸文のラインナップは公共ホールとは思えないような(小劇場ファンには嬉しい)ものがおおいのですが、こんな感じの舞台が混じっていれば、だれでも気楽に見られるのだと思います。
ONEOR8「TURKEY」(MITAKA "Next" Selection 5th)
2004.9.17 - 9.20 三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出 田村孝裕
出演 冨田直美 恩田隆一 今井千恵 平野圭 和田ひろこ 野本光一郎 本間剛 宮澤大地 島田桃子 中村千春 池田留美 四條久美子(ペテカン) 佐々木香与子(東京ネジ) 佐々木富貴子(東京ネジ) 伊藤俊輔(M★A★S★H)
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