【芝居】「芝浦食肉センター」女体道場
2004.9.20 18:00
劇団名も役者名のふざけたような印象なのですが、今作、実に傑作だと思います。
児童からとった小学校の社会科見学先のアンケートにたった一票、書かれていた「食肉センター」、いわゆる「 と殺場」。戦争が好きな男の子は血なまぐささを見たいとはしゃぎ、でもそれは子供に見せるようなものじゃないと、議論というか単なる言い合いというか。が、実際に見学に行った一行が目にしたのは、近代的で血も豚も見えないような、「機械」でのと殺の姿。
食肉センターという微妙で繊細なテーマ。劇中あからさまには語られませんが、そこにある偏見をベースにしつつ、「命を取る」ということについての真摯な語り口。「殺している」のに、リスクや「かえり血」を浴びないようになっている「違和感」を、中絶の問題と並立して、丁寧に描いています。前半はコミカルで、このテーマをこのトーンで演じる危うさを感じながら見ていましたが、終盤、小学生の男の子が訴えるシーンの真剣さ。まさにやられました。すごい。
小学生の男の子・えびちゃんを演じた相沢樽介さん、女性が演じるというのはよくあるタイプの役ですが、男性がこれはある意味すごい。役者はパワフルで、退屈せずに見られます。
終幕近く、父親と息子の二人の食卓、ファンタジーと言えばファンタジーな見せ方をさせている部分もあったり、えびちゃんの役がまるで「山田のぼる」に見えたり、食べるために命をとることを書いていたり、実は遊◎機械全自動シアターに近いんじゃないかと思います。もっとも、見せ方の下世話さなど、見た目の印象はずいぶん違いますが。
女体道場「芝浦食肉センター」
2004.9.17 - 9.20 タイニイアリス
出演 相沢樽介 コシヒカリ 嶋田幸子 めすぶた 小袖亜矢子(グラサンパンツ) 内山清人(projectサマカトポロジー) ガマコ 大門郁子 野村直生 服部紘平 パラディ 三井俊明(A2)
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