【芝居】「朗読の夜~女の夜」プログラムB KAKUTA
2004.8.19 19:00
ku:nelという雑誌があって、これを近所のカフェで週末借りてご飯食べながら読むのが大好きなのです。エッセイとも小説ともつかない文章があって、それを書いているのが川上弘美さん、なのです。本こそ買ったことなかったけど、好きな文体なのです。
不思議な空気を描くのが、彼女の文章なのだとおもいます。つまり、芝居に乗りにくいト書きの部分こそ真骨頂だから朗読というスタイルをとるのは大正解で、そこから芝居との折り合いをつけようとしてます。 ほんの少し息を飲むようなキュン。でも、それは決して日常や生活、というのとは違う。近所の散歩かもしれないし、友達が遊びにくるときかもしれない、ピクニック、近所の公園。それは日常かもしれないけど、決して生きていくために必須な物ではなくて、でもないと、どうかなってしまうシーン。そんな空気が、気持ちいいのです。
あらら、本買ってしまいましたよ。芝居としての力なのか、読本の持つテキストの圧倒的な力なのか。
前売り完売、当日はキャンセル待ちのみ。実は上演中、地上や建物の中では、いかに空気を動かすか、外を流れる空気を、板をもって地下に取り入れようとしている涙ぐましいスタッフの努力、らしいです。でも、場内は半端じゃなく暑いですが、ぜひ。
以下ネタばれ
熊と女性のピクニック、ごくごく暖かい時間を過ごしているのに「草上の昼食」。近所の公園で毎週のように出逢う二人、でも約束をするのはためらわれて「ぽたん」。彼氏の家の近くの川で昼からアルコール、川の流れが止まってしまうような感覚が怖い「川」。西暦3000年の私たちに、ヒトが居ること、居ないこと「おめでとう」。
「川」が大好きなのです。ある意味何も起こらない、いつまでも続きそうなのに、でも不安になる気持ちを、でもそよぎのように描くのです。麻生美代子さん朗読の強さは間違いないのだけど、大枝佳織さんのかわいらしいのだけど不安顔の良さ。
「ぽたん」の分かれがたさ、少しの勇気で、来週の約束。その間の空気が微妙に乱れる、そうそう。三浦さんの「面倒そうなヒト」(@webやぎの目)感は、たしかに鶏を散歩させそう。桑原さんの演じる女性は、なぜ彼のことが気になってしまうのだろう。
しかし、麻生さんの、声の艶っぽさはどうでしょうか。決しておもねるではないのだけど、でもほんとにどきどきしちゃいます。
KAKUTA Sound Play [Another Style] 朗読の夜 vol.2 KAKUTAと麻生美代子 「女の夜」プログラムB
2004.8.16 - 8.23 @site
読本 川上弘美『おめでとう』[新潮文庫] 『神様』[中公文庫]
構成・演出 桑原裕子
出演 麻生美代子 実近順治 成清正紀 田村友佳 野澤爽子 佐藤滋 高山奈央子 原扶貴子 水野美穂 川本裕之 桑原裕子 三浦知之(Innocent Sphere) 大枝佳織 馬場恒行 横山真二
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コメント
ああ、本文の一部を訂正したせいか、
2回もトラックバックを送ってしまいました。
お手数ですが、古い方を削除していただけますでしょうか。
投稿: NAH | 2004.08.22 06:48