2004.4.10 15:00
いわずとしれた、青年団の有名演目。若手公演とはいいながら、実は結構中堅どころも出ていて見応えのある一本。美術館で待ち合わせる兄弟たち。田舎で父の面倒を見ている長女と、次男の妻が先にきて、絵を見ている。欧州での戦争の緊急避難措置として多くの絵が日本にきているのだ。
方向は違ってしまっているけれど、微妙に日本の現在を写すような背景。その上で語られるのは、実は長女と次男の妻の会話なのだなぁと思います。いままでこの役は松田弘子さんと山村崇子さんのポジションだったわけですが、何度も見るうちに、声の質も、ぎこちない笑顔も、すべてが東京ノートを形成してくるようになっていたのだなぁと、別キャストを見て改めて思うのです。
たとえば、絵を寄付する人を演じた福士さんは、いままでどこででも見せたことのないような、ぎこちない(というよりはゆがんだ)笑顔を見せます。あるいは高橋縁さん演じる長女があまりに明るく、影を見せないように感じるのもちと厳しいところではあります。
とはいえ、日が進んで、キャストがなじんでくれば別の顔をみせてくれるのでしょう。そうあるべきだと思います。特にメインキャストが若すぎるのではないか、と思わないことはないのですが、それもまた味になっていくのだと信じています。それにしても若手公演をやればこれだけ多彩な役者、たいしたもんです。
入り口横のキルトに、小さな作品名・作者のプレートがついてます。ものがたりとは何の関係もないけど、しっかと見ておきましょう。
青年団若手公演 (2004春の団祭り)「東京ノート」(Bキャスト)
2004.4.9 - 4.18 こまばアゴラ劇場
作・演出 平田オリザ
出演 松田弘子 たむらみずほ 辻美奈子 渡辺香奈 高橋縁 端田新菜 福士史麻 奥田洋平 古屋隆太 大庭裕介 工藤倫子 鈴木智香子 根上彩 朝間ゆいこ 石橋亜希子 宇井晴雄 大竹直 関野多香子 藤川修二 山本雅幸
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