【某つめきり】
2001年にFSTAGEに書いたものの再録です。
つめきりの企画公演。「割箸文庫」オムニバスの中の一本、オタク少女と そのロボット佐伯くんのものがたりを膨らませた一本。少女なテイスト、 誇張されたキャラクタはわりと彼らの持ち味なのだけど、企画公演らしい 多くのキャストと、あまりに静かで独白のような雰囲気のギャップが 楽しいような、疑問なような。
割箸文庫の時は、30分程度にそぎ落とされた時間と、オタク少女+ ロボットというワン・アイディアの相性がよく、その中にアクション っぽいことも静かな独白もバランスよく詰め込まれている印象。 その物語の骨格はそのままに、キャストを増やし、3倍程度に膨らませた という感じがします。短時間の作品では唐突さも、スピーディーに感じた のだけど、本作においては、人物それぞれの感情が唐突な感じがします。
さらに、もとのものよりもずっと静かな部分が多い印象で、 せっかくの沢山のキャストが、まるで漫画の中の絵空事のように感じて しまうのだけど、それはまるで物語の中で少女がつぶやく台詞のよう。 ..もしかして確信犯なのかしら。だとしたら、凄いのです。
壊れた佐伯君を前に、大泣きする少女の台詞、「ぜんぶリセットされる、 一緒に歩いた通学路も、一緒に受けた授業も」ってのがいいじゃないですか。
自分以外の誰かとコミュニケーションをとることで傷つくこともあるし、 うまくいかないことだってたくさん。怖いよね。実は他人って、って 思ってしまうのは、やっぱ実生活のあれこれが反映しちゃうのかなぁとも。
石田理恵さんという女優をストレートなショートヘアと、大きな眼鏡で オタク少女に仕上げてしまうのはさすが。動作が大きくて、漫画のような 動きをする彼女が印象的。 佐伯君を演じる小野瀬誠さんは、つめきりでは二枚目な役どころ。 それが決まるってのが偉い。作家・三谷麻里子さんがちょいとだけ顔を 出して、しかもそれが卑怯なキャラクタってのは、企画公演らしくていい感じ。
まるで少女のひとりごと。そのエゴイスティックなところも、脆弱なところも、 オタク少女なのに吉川ひなのが同居するのも少女の感性。 あたしはわりと好き、なんだけど。
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