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2001.01.14

【芝居】「センゴクプー」発砲B-ZIN

2001.01.14 14:00

【みたままおもったまま】
TEAM発砲B-ZINの新作は、もう何年も予告だけはされてきた、時代劇。 派手さはないけど、見せ方の巧さとともに、新しいシリーズにとなる 予感さえ感じさせます。続編ってのは難しいかもしれないけど。

色恋だの、愛情だの、SFだの、人との別れだの、そういうことをメインに 据えることなく(少しはあるけど)、「気張らない(ように見える)志」だけで 押す2時間の舞台。ストイックなまでにそうやって物語を貫こうとする きだつよしさんの志、かっこいいじゃない。

主要な役者たちの力も揃ってきているように思います。少々のことに目を つぶれば、どなるだけでもなく、しっかりと言葉を届ける力を身につけてきて いる、と感じます。今年の彼らはすごいかもしれない。

ここ数作、ポジション取りの難しかった小林愛さんが、看板女優の名に 恥じないいい感じです。コミカルな彼女は見たいけど、似合うという 意味では、この冷たさだなぁとも思うし。

「弁は剣よりも強し」とばかりに、口八丁で戦国の世を渡り歩く男。もちろん 世の中の流れは「剣」なのだけど。腕は立たぬが口は立つ、なんかいいねぇ。 ひょいっ、ひょいっって感じで。 大勢とは少しはずれたやりかたで巧くやる、というのは、かっこいい けど、実は一筋縄ではいかないということ。男でも女でもそれは変わらない わけで。そこをなんとかしちゃうってのは、やっぱりかっこいいわけで。

あたしは男だけど、「世の中でがんばっちゃう女たちの」描き方の丁寧さを 感じます。てんで的外れかもしれませんが。圧倒的な能力と、女であることを 捨ててまで、女性の地位をなんとかしようとする女と、そこまでは思わなくて 甘んじてしまう女。二人のすがたは、それこそよく日経夕刊の婦人面に乗りそうな 総合職と一般職(って言葉も古いか)が重なり合うように思うのです。 彼女たちは、お互いをどう思っているのだろう。そこまで描き込まれている わけではありませんが、あたしの気持ちは想像してしまうのです。

自分にチカラがないから思うわけじゃないけど、歌や笑顔をよりどころに する世界ってのは、いいじゃないですか。楽天的すぎるかもしれないけど、 子供のころ思った21世紀ってのは、そうなれる世界だったはず、 だと思うのだけど。世紀のはじめにこういうものがたりというのも、 いいじゃないですか。

ラストシーンが美しい。というかかっこいい。どことなく七人の侍っぽい ところがあったりして、巧くまとめています。衣装が無国籍風、これは これで味があって。

【観劇データ】
2001.1.14 14:00 - 16:00 通路6

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2001.01.12

【芝居】「ジャスキス」TEAM 発砲B-ZIN

2000.1.12 19:30

久しぶりに降った、冷たい雨の水曜日、きっとすいてるだろう狙った当日券。 案の定、そこそこに埋まり、そこそこすいているほどよさ。

【みたままおもったまま】
「大人が笑って泣けるヒーローもの」を標榜する発砲の人気作品「ジャスキス」 シリーズ3本を連続上演する「ジャスキス・トリロジー」の一本目、 「ジャスキス」は、この劇団のカラーがよくわかる一本。小さな劇場での 初演(未見)を大きな劇場に移したことによるであろう不満はあるものの、 もし発砲初体験なら、このセットの1本目を、ぜひ。

もっとも、かわひらの観た回に限って言えば、食い足りない感じがしたのは 事実なのです。かわひらが初発砲だった「トランスホーム(初演,1996.6)」 のチープだけどむやみにパワフルな感じとも、本多初進出だった 「ゴメンバー(1998.1)」のまっすぐパワーアップ した完成度の高いもの、そのどちらとも違う、微妙なチープさ と大きな舞台の狭間に入り込んでしまった、という気がします。

冷たい雨、しかも平日のせいだとは思うのです。客席の「体温」は低く、 笑いのテンションも、いまひとつ乗り切れないのです。本多劇場という キャパにたいして、「キス」という行為が小さい、あるいはゴメンバー のようは派手なアクションがなくてちょっとばかりキャパに対して負けてる という印象はまぬかれません。これを乗り越えるに必要なのは、適度に ノった客席(が、熱狂的なファン、ではなく)という気がしてなりません。 だから30日に予定されてる1日で3本連続上演な「ジャスキスマラソン」 はきっと盛り上がるし、面白いだろうし、伝説になるんだろうなぁ。 ちきしょっ。(前売は完売)

もっとも、話の面白さ、ドキドキな展開、愛すべき登場人物たちなど 楽しめる要素は揃っています。すみずみまでよく気を配られたものがたりや 登場人物たち、張った伏線は貪欲に逃さず、しかしスピーディにまとめるのは この劇団のテンポの良さであり、そうなかなか他で見られるものでは ありません。きだつよしさんの力量、というよりは何が面白いのかを 見極める勘が実にいいところでバランスしているのだと思うのです。 (それを力量ってんだけど)

扉座の岡森さんのコミカルで高いテンションは 予想外の収穫。客演の鈴木みさとさん、アニメ声の可愛らしさ(ああ、誤解 されそう)と体のキレのギャップが楽しい。もはや飛び道具的な扱いを受けている 武藤さんの「アイドル」は卑怯なキャラクタだとは思いながらも、一瞬で客席を 温め、沸かす確かな力があります。彼女の動きの大きさはあきらかに コメディやアチャラカなそれで、一貫してそんなキャラクタな彼女は 確かに有利。タケウチさんの酔っぱらいも目をひくオイシイ役。いい感じ。

【ものがたり】
山の中のロッジで売れないアイドル歌手・姫世(武藤)のグラビア撮影を している一行。スタイリストの舌守(鈴木)とカメラマン助手の正義(きだ) は大学時代の知り合いで久々に再会するが、正義はずっと舌守のことを 心に想ってきた。吹雪になってしまったため帰れなくなった一行の ところに、怪しいいでたちの二人組が現れる。宇宙刑事と名乗る二人 (小林,工藤)の一人、がいきなり正義にキスをする。慌てる正義だが、 やがて自分の身体に変化が現れていることに気づく。 キスによって人体に寄生する宇宙人、パラシャイダーが自分の中に もぐり込んだのだといわれて...

【観劇データ】
2000.1.12 19:30 - 21:05 (#2予告編あり) J列24番(当日券, 19:10購入)

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