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2000.08.06

R/【トランス】R.U.P.

【みたままおもったまま】
配役も演出も変え、さまざまに変化する「トランス」は、昨年まさかの(失礼) 大評判を呼んだ「犬を使う女」の、ともさかりえ、山崎銀之丞。そしてこれも まさかの意外なキャスト、河原雅彦。こんないろんな顔合わせをできるのも 少人数ゆえ。これはこれでたのしくて。

かわひらは、正直なはなし、このものがたり何回観てもよくわからんのです。 確かに声を失うぐらい衝撃的だったり、ゆったりした気持ちになったりと 気持ちは揺り動かされるのですが。 わりと安心して観られる前半から、いっきにそれぞれの立場がめまぐるしく かわる後半は、それだけであたまのなかがぐるぐるしてしまって、それこそ 「とらんす」してしまうのです。

何度も語られる「青空」やそのもとでの遊びのシーンは、かわひらにとっては この芝居を視覚的に強烈に印象づけているのですが、今作はその点では 物足りなさが残ります。正四面体の三角形の辺をさまざまに変化させる 演出は面白いと思いますし、ラストの屋上の表現としては、これはこれで 正しく、新しい表現への挑戦だとは思うものの、あの強烈な青空を知って いるだけに、その記憶がかわひらの気持ちを邪魔してしまいます。

席がわりとよかったため、劇場の後ろで観るとまた印象が違うかもしれません。 少なくともわりと前の方で観ている限り、静かに語るシーンの多いこの芝居を、 それぞれのキャストは自分のものにして喋っています。ともさかりえさんが 時折見せるきゃぴきゃぴした喋りは、声量という点で不満が残りますが、 それ以上に精神科医としての彼女(まあ、見えないという人もおりましょうが) の落ち着いた言葉が、かわひらには大きな収穫です。いわゆる「TVのひと」という 不満を払拭できたけれど、確かに癖はあってダメな人にはダメかも。

山崎銀之丞さんは、舞台をぐんぐん引っ張っていく安心感。この規模の劇場で 舞台となると、さすがにキャリアの差は圧倒的で、印象に残ります。 河原雅彦さんは、予想以上に健闘していますが、テンションでこなす芝居では ないだけに、不満がないといえば嘘になります。

【ものがたり】
精神科医・礼子(ともさか)、フリーライター・雅人(河原)、ゲイバーのダンサー ・参三(山崎)。自分を見失ってしまうことを自覚した雅人。彼が病気の治療に 精神科を訪れたことがきっかけに三人が再会する。理不尽な校則に反発して、 年齢も学年もバラバラな三人は、高校時代、屋上に偶然集った親友なのだ。 雅人の病気は悪化し、入院する。参三はそれに付き添って看護をすることに なる。3人は、高校卒業以来、初めて顔を揃えることになって....

【観劇データ】
2000.8.6 14:00 - 16:00 8列6番

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●R.U.P「トランス」
2000.8.4 - 8.13 東京 ル・テアトル銀座(旧セゾン劇場)
2000.8.17 広島 アステールプラザ・大ホール
2000.8.19 福岡 メルパルクホール福岡
2000.8.24 - 8.26 大阪 大阪厚生年金会館芸術ホール
2000.8.29 名古屋 愛知厚生年金会館
作 鴻上尚史  演出 木野花
出演 ともさかりえ 山崎銀之丞 河原雅彦(HIGHLEG JESUS)

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