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2000.07.01

【ひみつパーマ】つめきり

2000年@nifty FSTAGEに書いたレポートの再録です。

「つめきり」の新作は、恋とか、生きるとか、30歳だからとか、 さまざまな断片の一本。まるで作者の散文詩をみているようなとりとめの なさと、その繊細さ。語りたい何かは間違いなくあるのだけど、 この「ナマ」の感覚は、好ききらいが分かれるかもしれません。

人の悩みとか語りに付き合うのって、基本的にはとっても疲れる(つうか パワーが要る)じゃないですか。でも、その人の事がちょっとは好きで、 語り口が少し面白ければ、けっこう付き合える。あたしは きっと、作家・三谷麻里子さんの語る「何か」がスキなんだと思います。 だから観る目もヒイキ目だし、こんな超満員になるのがわかっていても 毎回観にいってしまうのだとおもうのです。 別に苦しんでるとも、自分のことを書いてるとも思わないけど、自分の 感じる何かを表現してるって気がするのです。

性的なものへの過剰な反応や、30歳という年齢に対する敏感さは、彼女自身 が感じたり、まわりから彼女が受け取ったりしたもの、間違いなく作者の フィルターを通じて構築された世界で、恐らく今の彼女にしか感じとれない モノなのです。生々しいのにどこか醒めているというのが魅力。

登場人物はそんなに多くないし、シーン(というか場)もそんなに多くありません。 役者は何役かをやっていますが、場の数に比べると役も少ないのです。複数の 場に出て来る役が多く、いくつかのものがたりは何人かの人物を通じて全て ゆるやかにつながっています。が、ものがたりに直接影響するほどの強い つながりではありません。この組立て方は独特で、慣れないと面食らうかも しれません。が、おどろくほどこじんまりとした世界で起こるものがたりの 数々は、箱庭的とも、(言葉は悪いけど)お人形さん遊びやママゴトに通じる ほどよく限定された世界。これはこれでスキ。

30女の「山口智子スイッチ」(3.)が絶妙それを演じる難波さんが実によくて。 今まで静かでかっこよい印象だった小野瀬さんがはじけてて(5.)楽しい。 わりと地味な印象だった中村さんの2.の女が凄く格好良くて

【ものがたり】

いくつかのものがたり、関係あるようで緩やかに関係して

1. 少女のままで居たい姉・あやか(いのくち)、早く大人になりたくて、カク(戸田)との恋愛に悩む妹めみ(岸田)。

2. 強くなりたい、ゆえにレイプしようとしている男・カンジ(足立)、強くなってねといいながらそのままの関係で居たい女・かおり(中村)

3. 30になった女・夏枝(難波)、男・中河原(小野瀬)と別れて、焦りもあって。その男から面倒だからと結婚申し込まれたり、年下のカクから観覧車でキスしよと言われたり。いい歳とか、30だからとか。

4. 朝起きたら頭が羊になっていた男・カク、その姉・ミル(村中)。ミルは家出しようと言い出す。金なんか稼いでない。貰うだけ。めみの友達・アン(相馬)の家に行くが..

5 町内会芝居をする劇団。作家になりたい男たち、次々とやめていって。

【補足】 正直な話し、MOMOという劇場のキャパは目一杯。日によっては入れ切れなかった なんて話しも。にもかかわらず、客入れにはスキがなく。この劇場、とにかく 客席の両端から埋めないと入れられないのです。有無を言わさないのにいやな 印象を与えずにやってるってのは実は凄いこと。

2000.7.1 19:45 - 21:30 5列目中央(当日券)
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●つめきりやっつめ公演「ひみつパーマ」
2000.6.29 - 7.2 東京 中野MOMO
作・演出 三谷麻里子
出演 足立道彦 いのくちあきこ 小野瀬誠 岸田朋子 相馬佐江子 田辺麻美 難波美恵 福永光宏 村中雅子 斎藤拓 中村真季子 戸田修輔

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