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2000.07.15

【芝居】「またもや!休むに似たり」自転車キンクリート

2000.7.15 19:00

【みたままおもったまま】!!!ねたばれあり!!!

大好評だったという初演(98/3)の改訂再演(DMより)。今年、あたしが もっとも期待する一本なのです。さて何回観ることやら。初演をご覧に なってない方はぜひ、初演をご覧になった方は覚悟(下記参照)して ご覧下をば。おすすめ、ぜひ。

実は怖い芝居だと思います。初演を観ている観客にとっては。 ほとんど変わらないものがたりと少しだけ変わった細部。それを 観ている自分自身はいったいこの2年でどう変わっちまったのか、 感じ方は、暮らし方は、人生はなんてことを問い直してしまう、 まるでリトマス試験紙のような怖さがあります。これを世紀の変わり目 の今年に再演しちまうセンスの良さ。

お話の方はってえと、そんなに変わるわけじゃありません。4人の女性たちの 設定の年齢は確実に2年進んでいますが、言ってることはそう変わるわけも なく、「どーするつもりなんだかね」なものがたり。どこか身につまされる ところも変わっていなくて、それはつまりあたしがそうそう変化してない ってことでもあって、嬉しくもあり、寂しくもあり。

作る食事にデザートが加わったり、歌川の職業が出版(だったと思う) からネットワークなことになったり、久松のやってくる理由がビデオの ダビングからパソコン観て欲しいになったり、久松のおねーちゃんが6人から 5人になってたり。そう、変わっているのは実にささいなこと。

再演で最も変わったのは、弟を演じる佐藤二朗さんかもしれません。 「マクベス」での怪演が記憶に新しいところですが、パワフルさとどこか 気持ち悪さと人の良さとカタブツさを合わせ持ったキャラクタの魅力が アップしているように思います。

初演の時にあたしが書いてたのは..

| いちど「して」しまったあとだからなのか、かけひきが要らなくてラクというのは
| もしかしたらあるのかなぁ、とは思います。もちろん両方がそんな気持ちになれる
| なんてのは、ほんとうは奇蹟的な偶然という気もしますし、望んでもなかなか
| なれるもんじゃないかもしれないんだけど、そんなことが出来るなら、
| ちょっとうらやましい気もします。

このあたりの感想さえも、変わってないのかぁ、こんな都合のいいこと 考えてるから、人生も巧く行かないんだなぁ。(どき)

【補足】
TOPSの構造上仕方ないこととはいえ、座席の間隔が狭いのを理由に、開演数分前に 席をまとめて壁際に詰めさせられてしまいます。いろいろございましょうが、 開演10分ぐらい前にはぜひとも入って正しい席でみんなが観られるように ご協力くださいませ>ご覧になる方

【ものがたり】
高校生の同級生の結婚式の余興を頼まれた4人の女が。居酒屋で集まったものの、 ずるずると柳岡(役名=役者名)のちらかり放題の部屋にやってくる。

35にもなって一人もんの4人、仕事も楽しいし、それぞれに男が居たりもするの だけど、それでも、いざ結婚には踏み切れない。とはいえ、それぞれの恋の話とか。

そこに電話。柳岡と歌川の大学時代の友人の男(久松)から、パソコン壊れたんで 見て欲しいとと部屋を訪ねてくるが、結局派手に飲み会になって、ザコ寝で朝を 迎える5人。

皆が帰った後、久松が柳岡に頼みがあるという。部屋が使えなくなってしまった ので、1週間だけ泊めて欲しいという。一旦は断るものの、高熱を出して倒れて しまう久松を結局泊めてしまう...

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2000.07.01

【ひみつパーマ】つめきり

2000年@nifty FSTAGEに書いたレポートの再録です。

「つめきり」の新作は、恋とか、生きるとか、30歳だからとか、 さまざまな断片の一本。まるで作者の散文詩をみているようなとりとめの なさと、その繊細さ。語りたい何かは間違いなくあるのだけど、 この「ナマ」の感覚は、好ききらいが分かれるかもしれません。

人の悩みとか語りに付き合うのって、基本的にはとっても疲れる(つうか パワーが要る)じゃないですか。でも、その人の事がちょっとは好きで、 語り口が少し面白ければ、けっこう付き合える。あたしは きっと、作家・三谷麻里子さんの語る「何か」がスキなんだと思います。 だから観る目もヒイキ目だし、こんな超満員になるのがわかっていても 毎回観にいってしまうのだとおもうのです。 別に苦しんでるとも、自分のことを書いてるとも思わないけど、自分の 感じる何かを表現してるって気がするのです。

性的なものへの過剰な反応や、30歳という年齢に対する敏感さは、彼女自身 が感じたり、まわりから彼女が受け取ったりしたもの、間違いなく作者の フィルターを通じて構築された世界で、恐らく今の彼女にしか感じとれない モノなのです。生々しいのにどこか醒めているというのが魅力。

登場人物はそんなに多くないし、シーン(というか場)もそんなに多くありません。 役者は何役かをやっていますが、場の数に比べると役も少ないのです。複数の 場に出て来る役が多く、いくつかのものがたりは何人かの人物を通じて全て ゆるやかにつながっています。が、ものがたりに直接影響するほどの強い つながりではありません。この組立て方は独特で、慣れないと面食らうかも しれません。が、おどろくほどこじんまりとした世界で起こるものがたりの 数々は、箱庭的とも、(言葉は悪いけど)お人形さん遊びやママゴトに通じる ほどよく限定された世界。これはこれでスキ。

30女の「山口智子スイッチ」(3.)が絶妙それを演じる難波さんが実によくて。 今まで静かでかっこよい印象だった小野瀬さんがはじけてて(5.)楽しい。 わりと地味な印象だった中村さんの2.の女が凄く格好良くて

【ものがたり】

いくつかのものがたり、関係あるようで緩やかに関係して

1. 少女のままで居たい姉・あやか(いのくち)、早く大人になりたくて、カク(戸田)との恋愛に悩む妹めみ(岸田)。

2. 強くなりたい、ゆえにレイプしようとしている男・カンジ(足立)、強くなってねといいながらそのままの関係で居たい女・かおり(中村)

3. 30になった女・夏枝(難波)、男・中河原(小野瀬)と別れて、焦りもあって。その男から面倒だからと結婚申し込まれたり、年下のカクから観覧車でキスしよと言われたり。いい歳とか、30だからとか。

4. 朝起きたら頭が羊になっていた男・カク、その姉・ミル(村中)。ミルは家出しようと言い出す。金なんか稼いでない。貰うだけ。めみの友達・アン(相馬)の家に行くが..

5 町内会芝居をする劇団。作家になりたい男たち、次々とやめていって。

【補足】 正直な話し、MOMOという劇場のキャパは目一杯。日によっては入れ切れなかった なんて話しも。にもかかわらず、客入れにはスキがなく。この劇場、とにかく 客席の両端から埋めないと入れられないのです。有無を言わさないのにいやな 印象を与えずにやってるってのは実は凄いこと。

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