【芝居】「パレット」TEAM発砲・B・ZIN
2000.6.30 19:30
【みたままおもったまま】
発砲の新作は、「小劇場プレミアム公演」と銘打っての、少しばかりカラーの違う、
アクションのないSFもの。わりと地味だと言われている「ワンダバ」(97.5)よりも
もっと地味。地球防衛軍ってのが日常生活に定着している、というものがたり。
正直な話、熱狂的な支持を受ける舞台ではないかもしれません。ジャスキス3部作 の直後(そういえば3本組ビデオ売ってる)に、これとなるとかなり落差が激しいのは 間違いありません。が、ここまでアクションを本格的にしたりしてひたすら拡大 路線で突っ走って来た彼らが、もっと気楽に公演を打てるような、少々チープな シリーズを打ちたいという気持ちを、かわひらは支持したいのです。
ヒロインにされてしまいがちな小林愛を宇宙人に、しかもあろうことか まるで小動物のような扱いで出してしまうのは、一種の賭けではあります。 が、あくまでモノガタリの中にしっかりと組み込まれていて、それほど自由 気ままなわけではありません。必ずしも成功してるとは思えないのだけど、 かわひらはあえて大甘に許しちゃう。いろんな彼女が観たいから。 例えばここを武藤さんにするというのはそれはそれで正しいキャスティングだけど。
ものがたりの発想は面白いと思うのです。が、もっといろいろできるんじゃないか とも思ってしまうのです。「笑って泣ける」発砲のカラーからすると、その 落差こそが真骨頂だと思うのだけど、落差という意味では少し物足りない。 わりとテンションの低いままモノガタリが進んでいるという印象。もっとも この劇団、客席のテンションに強く影響されるところがあって、日によって 印象がまったく違う可能性もあります。
「自分で話すこと」が大切と訴えるわりには、ちょっと不満の残る展開では あります。結局本当に大切なことは自分で喋ってないわけで。まあ、結局は 同じ事なのだけど、それを自分で言ったかそうでないかはやっぱり大きいと 思うのです。
サラリーマンなら誰だって経験のある、不本意な人事。ものがたり全体を通して 見え隠れするのは、そんな理不尽さに負けるなってメッセージだという気も します。そういう意味じゃ、実にサラリーマン的で元気の出る芝居なのは 間違いないと思うのです。
【ものがたり】
頻発する怪獣災害や宇宙人の侵略に対抗するために結成された平和軍隊
「パシフィックレギオン」。攻撃部隊(PLAC)や科学部隊(PLSM)などに細分化
された部隊の中PLET*は、市民からの苦情受付や怪獣の後始末など、トラブル
対策の専門部隊である。
ある日、町中の小さなアパートに小さな宇宙船が墜落した。アパートの大家の 意向で分析よりもまず、その宇宙船を撤去することを要請されたパシフィック レジオンは、中に立て篭る宇宙人との交渉と宇宙船の撤去をPLETに命じたが...
PLET = Lacific Legion - Experts of Trouble (パレット)
【補足】
当日券の発売時間が、実は結構ラフです。早めに着いちゃったらチケットカウンター
で聞いてみるべし。平日はまだ結構劇場もチケット持ってるようです。
次回作は「センゴクプー」なんだけど..これって何度となくタイトルは出ても 毎回上演には至らないといういわくつきの一本。...だよね。
【観劇データ】
2000.6.30 19:30 - 21:00 G列2番(当日券)
●TEAM 発砲・B・ZIN Vol.18(小劇場プレミアム公演)「パレット」
2000.6.23 - 7.9 東京 三鷹市芸術文化センター 星のホール
2000.7.21 - 7.23 大阪 近鉄アート館
作・演出 きだつよし
出演 きだつよし 森貞文則 平野くんじ 工藤順矢 菅野奈津子 小林愛 武藤陶子 西ノ園達大 吉田トモ タケウチヤスコ 田口治 福田千亜紀 草野徹(客演)
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