【割箸文庫】つめきり
2000年@nifty FSTAGEに書いたレポートの再録です。
Girlyで繊細な物語を上演する「つめきり」の新作は、繊細な恋心やちょっと 難解っぽいもの、ドタバタと楽しい風景など、さまざまな側面を見せる オムニバス4本。これまでの、「入り交じり型オムニバス」よりもわかりやすく お買い得感高し。
Girlyで、どこかエッチな感覚が彼女たちの真骨頂だとおもっていたあたし なのですが、ここ数作で、エッチ感が減り、より繊細な方向がより強くなって いるように感じます。今作の前半3本はそんな感じで。人を好きだと 想う気持ち、あるいは嫌いだと思う気持ちがあるのに不器用でうまく表現 できないもどかしさが少々の懐かしさとともに感じられるのです。
少女漫画的といわば言え。あたしはやっぱりこういう感覚のどこかに 弾かれてしまうのです。冷静に考えれば、20代前半なんて役者がごろごろ 居る劇団だし、客席を見回してもそれぐらいの友達とかその親たちばかり どう考えても浮いてるあたしではありましたが、それが逆に心地 よかったりもして。
(1)はアニメっぽいネタ。内容も実際の感覚はアニメに他ならないのだけど、 それを特別にオタクなものではなく、文学や映画と同列に自分たちの 「ことば」にしているという自然さが好き。
(2)の静かに流れる繊細さはわくわくするほど好き。あったでしょ、 あのころ、的な胸きゅん(←死語、または「どこでもいっしょ」用語) が気持ちよくて。
(3)は少々難解な感じはしますが、観ていて面白くないなんてことは なくて、楽しいのです。答えの見つからない自問自答な堂々廻り的な ものを舞台にした、という感じ。
(4)は理屈抜きに楽しい、という感じ。これをシメに持ってくるところが 独特だなぁとも思います。(2)のような名作チックなものでもなく、 (3)のような「実験的」な、ものでもなく、ごくごく楽しめるものを 最後に持ってくるというバランス感覚の良さがいいなぁ。と。
【ものがたり】
(1) 制服で選んだ高校にはマンガ同好会もゲーム愛好会もなくて、まわりにうまく馴染めない三千花(岸田)。オタクたちの間ではわりと普通になっている「ロボットを自分で作」った彼女は、カッコいい彼を普通の同級生・佐伯(小野瀬)として学校にもぐりこませていた。女生徒に人気がある佐伯だったが、 ある日、三千花のかつての友人、派手好きなレーカ(いのくち)が学校を訪ねて来た。彼女のねらいは、佐伯というロボットそのものだった。
(2) 真夏に風邪をひいてしまった大学生・三野村(富岡)。彼の見舞いにやってきた大川(相馬)は、つきあいはじめたばかりの彼女だった。ぎこちなく空白の時間が流れる二人。やがてそれぞれの友人たちに報告の電話をしたり、さらに ぎこちなく。そこにやってきた友人の柿原(萩原)
(3) 直子(田辺)が頭のなかで考えていること。小人になりたい、男のこと、自分はバカじゃないのかとか。ふたつの考えが頭のなかをめぐっているが、やがて考えは彼女の望まない方向でシンプルになる。「みんな死んでしまえばいいのに」
(4) バンダナしている天の川一家の大晦日。一日で大掃除をしてしまうどたばた。でも彼からの電話を待っていて気もそぞろな娘・貯水(田辺)や、自分の部屋のエロ本整理する渡(小野瀬)とか、サボりに散歩に出かけてしまう父・翔(福永) とか、さまざまな大晦日の風景が...
2000.2.6 13:10 - 14:40 前3列目上手側
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●つめきり ななつめ公演「割箸文庫」
2000.2.2 - 2.6 東京 アイピット目白
作・演出 三谷麻里子
出演 足立道彦 いのくちあきこ 小野瀬誠 岸田朋子 相馬佐江子 田辺麻美 難波美恵 萩原孝之 福永光宏 村中雅子 富岡晃一郎
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