【芝居】「ゴージャスキス」TEAM発砲B-ZIN
2000.1.19 19:30
【みたままおもったまま】
「笑って泣けるヒーローもの」を標榜する「発砲」の人気シリーズ、「ジャスキス」
3部作を一気上演する企画の二本目、「ゴー・ジャスキス」。物語そのものが先週の
「ジャスキス」よりも面白くなり、役者たちのテンションも上がっているよう。
先週見て、あれれと思った方にこそオススメしたい。平日のチケットはまだまだ
残っているという話も。
なにより物語と配役のバランスがいいのです。一人が突出するということでも なく、ものがたりの世界をきちんと作っているという感じがします。 笑い、驚きをとるために緻密に作られているのがわかります。何でここでこんな しょうもないことを、と思っているとそれがあとでじわりと効いて来ます。
あっと驚くシーンが一つあって(とても言えない)、その瞬間何が起こったか わからずに客席がしんと静まり返るのです。きっと「してやったり」 なんだろうなぁ。いえ、そうたいしたこっちゃあないのですが。 映像では見慣れている構図なのですが、舞台で見ると、それは新鮮な 驚きに変わります。演劇から映像という時代の流れとは逆のこんな しかけをするとは、演出がほんとにすごいのだなぁと思います。
「泣ける」についても、今作は非常に完成度が高いと思うのです。 ほんとにささいなこと、崩れそうな何かをささえる、その心意気、 あるいは、最後の最後の言葉は、人にいわれるでなく自分が発する。 こうやって書くとやけに説教臭いようにも思えますが、そうでもなく この辺のバランス感覚もよくて。
バンビを演じた吉田トモさん。彼女もまたコミカルな動きの多い役で、魅力的で。 武藤さんの動きは、喜劇のそれ。看板のはずの小林愛さんは、中心に居ることで 逆に自由に動けなくて可哀想な気はします。が、ラストシーンの、さっぱりと した彼女が実にいいのだなぁと思います。
かん高い声で喋る役の多い工藤順矢さんですが、今作、特に前半での 低く、おちついた声はなかなかいいなぁと思います。 初演ではラヴ&ピース川津さんの演じた役となれば、このポジションを 演ずる役者の難しさは想像できますが、かわひらの今までの感覚からすれば、 彼は実によくこなしているなぁと感じます。
狂言回しなやくどころ、作・演出を兼ねるきだつよしさんが実に生き生き、 うれしそう。たしかにオイシイ役どころには違いなくて。
【ものがたり】
クリスマスの夜。ロマンティックなクルーザで二人きりの夜を過ごそうと
思っていた光子(武藤)は、婚約者の鏡(西ノ園)と二人で港にやってくる。
が、意図せざるたくさんの客たちが、乗り込んできてしまう。
そのうえ、怪しい出で立ちで宇宙刑事と名乗る二人組までもが。
ジャスティ(小林)とダン(平野)と名乗る二人は、宇宙犯罪人を捉えるために
地球に降り立ったのだという。
【観劇データ】
2000.1.19 19:30 - 21:00 N列15番
●TEAM発砲・B・ZIN Vol.17 ジャスキス トリロジー#2「ゴージャスキス」
2000.1.19 - 1.25 東京 下北沢 本多劇場
作・演出 きだつよし
出演 小林愛 平野くんじ きだつよし 工藤順矢 西ノ園達大 武藤陶子 望月智穂 前田剛(BQMAP) 吉田トモ 森貞文則 はじ(フリー) 塩原啓太 タケウチヤスコ 押野和宏
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