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1999.11.23

【芝居】「東京ノート」青年団(1999・横浜)

1999.11.23 19:30

【みたままおもったまま】
横浜に住んでいるのに行った事なかった横浜美術館。意外に小さいところ。 その美術館での公演「東京ノート」はますます完成度の上がった 一本になっています。芝居のための空間ではないことから生じる さまざまな不満は残るものの、こうやっていろんな場所での上演、 というのはかわひらとしては断然支持してしまうのだけど。

横浜美術館の広いロビー。大きく階段状になった手前にベンチ。 この広さこそが、横浜公演の特徴をよくも悪くも決定づけていると思います。 遥か遠くから人が歩いて来たり、見学者たちがたくさん見えたり、 まるで維新派でも観ているかのような遠近感が楽しいのです。

半面、妙な残響音がのこるために、おそらく生の声では台詞が聞こえないため でしょう。強い指向性を持つマイクをセットし、ベンチの人々の声をひろって いるのですが、人物の遠近感とは狂った声の大きさのバランスになって しまうために、ひどく疲れます。きっと補聴器で会話をするとこんな風に 聞こえるのでしょう。

去年の公演に比べると、キャスト面では、いくつかの細かい変更が加わって います。弁護士を比較的年齢の行った大塚洋さんにしているというのは 良い方向に働いていると思います。松井周さんの弁護士は、どうにも 年齢が若すぎるような気がしてしまったのです。三男の方が、ずっと ぴったりしています。良い悪いじゃなくて。安部聡子さんと天明留理子 さんのキャストを入れ換えるというのも、実は結構凄いことなんじゃ ないかと思ったりもします。

見たいものだけ切り取っていく。劇中で語られる「カメラ・オブ・スキュラ」 にしても、長女が持っているカメラにしても、生活の何かを切り取るという ことを非常によく見せていると思うのです。

【ものがたり】
美術館のロビー。レストランで食事会をするために集まる兄弟たち、レポートの ために見学にやってくる学生、デートのカップル、相続した絵を寄贈しようとする ひと、など、さまざま。遠い地では戦争があって、美術品が避難措置で日本に来たり そこかしこに戦争の影響が見え隠れはするものの、実際のところ、あまり深刻では なかったり....

【観劇データ】
1999.11.23 19:30 - 21:10 椅子最前列下手寄り

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1999.11.13

【口笛きのこ】つめきり

99年@nifty FSTAGEに書いたレポートの再録です。

主宰かつ作・演出の三谷麻里子さんのGirlyでポップな雰囲気が気持ちいい 「つめきり」の新作は、共同生活を営む男女五人を核にしたものがたり。 実は結構あたしは好き。好みは分かれるところかもしれません。

雑貨屋のオンナノコ・しな子(村中)と、公園で出逢った格好なんか気にしない 自転車屋のバンダナ男・天の川(足立)の二人。何げなく出逢って、毎日ちょっと ずつ逢っていた二人。お互い相手のことが好きだったことにやがて気がつく シーンが好きです。中学生じゃあるまいし、こんなシーンでキュンとして しまうってのもどうかしてると思うのだけど。

「何かを極めたい」と思い続ける女・ひとみ(相馬)の一連の話も好きです。 劇中で語られるように、それは確かに「自分探し」なのかもしれない。 「自分探し」が芝居でかつて流行したのは間違いないのだけど、それは 観てないし、だって好きなんだもん、いいじゃん。(←意味不明)

恋愛する人々にしても、自分探しにしても、わりと類型的といえば 確かにそうでして、新しい何かが提示されているというのとはどこか 違います。じゃあ、この舞台の魅力は何かといわれると、よくわからん のです。おじさんには。でも好きなんだよなぁ。(これじゃ説明にならん)

登場人物たちの関係がわりと希薄で、共同生活している5人だって、 実はお互いをよく知らないし、恋愛でさえも関係が希薄だなぁと 思うのです。でも、そんな関係がわりとまた心地よかったりするというのも イマ的なのだな、と感じたりもして。

おばあちゃん、怪しげな教祖の落差が気持ちいい矢部愛さんが印象的。 つめきりをかたちづくる女優たちの魅力いっぱい。雑貨屋のオンナノコ を演じる村中雅子さんの笑顔が好き。女優たちは可愛らしく、男優 たちはわりと格好良く。もしかしたら、けっこういいかもしれない。

おすすめしようにも、どうやって説明したらいいのか困ってしまうのだけど。 それをここに紹介しようってのが、そもそものあたしの無茶、なわけで。

【ものがたり】

いくつかの並行する物語。くっついたり、離れたり。

共同生活する5人の男女。陶芸家、雑貨屋、菓子職人、美容師、DJ。 お互いが恋愛などすることないように暗黙の了解、それぞれがいきいきと 生活している筈なのだけど....

コート姿の女の子・ののちゃん(岸田)は、たくさんの言葉が溢れてしまって、 たくさん喋りたくて。公園で、喋らない男と出逢って、かえって興味があって。

高校生から「極めたく」なった女・ひとみ(相馬)。極めたいのだけど、何をしたら いいかわからなくて。怪しい劇団に連れていかれたり、でも何か違う...

雑貨屋の女・しな子(村中)は、公園でたまたま、身なりを気にしない バンダナ男(足立)と出会う。何げなく毎日顔をあわせて、彼は牛乳を飲んで。 それを繰り返して、我慢できなくなる想いは..

ひとみは美容師・三ケ月(斎藤)と出会い、口説かれて。三ケ月の昔の妻(難波) との子供、ののを育てることになって...

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