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1999.10.20

【芝居】「ー初恋」MONO

1999.10.20 19:00

夜とはいえ平日。桟敷まで出してる劇場がぎっしり。 恐るべきリージョナルシアター。何より、「Boys Time」も控えてるしね。

【みたままおもったまま】!!!ねたばれあり!!!!

外部への脚本が増えてきた土田さんの手による、MONOの「−初恋」再演。 誰にでも楽しめる、というのは小劇場ではこと悪い意味に使われがち なのですが、2時間という時間のなかで、しっかりと見せ、すこしほろり としてしまうのは、やっぱり芝居の王道という気はするのです。 こういう芝居、自分の手札に持っておくってのは、いいと思うなぁ。 アタシはオススメ。

自転車キンクリートの最近の芝居でも感じるのです。これも 小劇場ではあまり良くない意味で使われる「商業演劇っぽい」というか。 もちろんマイナー、マニアックなんて芝居も大好きですが、 こういう、スタンダードな感じにもテキメンに弱いのです。 たとえば、「初めてのデート」とか、「チケット余ったから会社の人を 誘おう」なんて事態になったときに、これならダイジョブという安心感。 クセのあるエスニックより、食べ慣れた和食というか。

もちろん、共同体は結局もう元に戻ることはないのかもしれません。 が、短い暗転のあとに語られる小さな話、すとんと落とされるようで 大好きなのです。甘いとわば言えっっ。

男しか愛せない男たちの中に、実に自然に溶け込んでしまう二人の女性が いい感じなのです。いわゆる「女らしいかわいらしさ」というのが通じない この世界で実に自然で大好きなのです。とくに管理人を演じる 西野千雅子さんのほどよい上品さが好き。ええ、もちろん牛乳配達な 増田記子さんも好きなのだけど。 一人気を吐く笹川を演じた水沼健さんとスナックやってる吉村を演じた 土田英生さんの火花という感じも、舞台にほどよいテンション。

【ものがたり】

小さな町の古いアパート。男なのに男しか愛せない男たちだけのアパート。 近所の柄の悪い高校生たちがアパートの窓硝子を割り、近所からも白い目 で見られながらも、なんとかふんばって生活している。

ある日、住人の一人(尾方)が恋愛騒動を引き起こす。男しか愛せない筈 だったのに、女性を好きになってしまったのだという。それどころか、 男しか愛せないそれまでの同居人たちを汚いとさえ感じてしまうように なっていった...

【観劇データ】
1999.10.20 19:00 - 21:00 椅子一列目下手側
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●MONO第25回公演「-初恋」
1999.10.15 - 10.16 京都 アトリエ劇研 (試演会, 京都演劇祭)
1999.10.19 - 10.21 東京芸術劇場小ホール1 (東京国際舞台芸術フェス99)
1999.11.18 - 11.21 大阪 伊丹AI HALL(AI.HALLリージョナルシアター)
作・演出 土田英生
出演 水沼健 金替康博 一色正春 西野千雅子 尾方宜久 増田記子 土田英生

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1999.10.15

R/【ホギウタ】ブリキの自発団P

「え?カタカナのホギウタ? んで、ガイジンのキャストぉ?」青山円形劇場 のフェスティバルの1本目の印象はどちらかというとマイナスのイメージの 強いものでした。が、そこからびっくりと美しさが山盛りの舞台の印象は なかなか面白いもの、というものでした。好みは分かれるかもしれません。 が、かわひらはわりとオススメなのです。

ご覧になるかたは、ぜひ開演時間少し前にはお席に。 終演後も座ってるとすこしお楽しみ。

【みたままおもったまま】
青山円形劇場を本当に円形のまま使う舞台は久しぶりに観た気がします。 中央には砂場のような砂、囲むように椅子ぐらいの高さの壁。核戦争後の 地球を描くこの舞台らしい、が、もとの「寿歌」とはまったく違う印象の舞台。

寿歌を象徴する、リヤカーは登場せず、旅芸人な二人の姿は、道化と 安っぽく洋風な踊り子。もう一人の男の姿は、何者かわからないという 感じではなくて、まんまな風体。

リミックス、という感じでしょうか。舞台から物語を追おうとすると、 唐突に物語がとぎれたり切り替わったりして、少々苦労します。もとの 「寿歌」をご存じの方が楽しめるかもしれません。が、そんなことを あまり気にしなくてもいいぐらい、さまざまな仕掛けやお楽しみの数々。 わかりやすくて、これはこれで楽しめるのです。

大幅に手ははいっているものの、これは紛れもなく、「寿歌」の世界。 外国人だらけなのに不自然きわまりない関西弁とか、 文句をつけるところはあれど、これはこれで楽しいのだな。

とにかく美しいシーンがいくつもあります。ミサイルが飛び交うときの 光の美しさ、「弾丸受け止め」シーン前後の美しい「コロナ」、 ラストシーンの美しさ、これをぼっと観ているのもいいなぁと思って しまうのです。びっくりすること、が芝居の楽しみの一つの側面だとする なら、このホギウタはそんなびっくりに溢れています。

道化を演じるスティーブ・ソレイシィさんは、舞台を引っ張り、物語を転がす 重要な役どころ、かっこよくて。ルビーモレノさんの娘は、もうひと弾け 欲しいと思ってしまうけど、自分の過去を語るシーンは印象的。突然現われる 男を演じるユセフ・ロットフィさんは、木訥としているかと思うと不思議な 間で客席の関心を一気にとっつかまえる魅力があります。

いま、この瞬間に「放射能」とか「死の灰」という言葉は、今までの寿歌を 観ていたときの遠い世界の話からは、ずいぶんと身近に感じるのだけど、 そのあっけらかんと乾いた感じは、むしろ違和感になってしまうというのも 不思議な感じではあります。

【ものがたり】
何かの間違いで核ミサイルが飛び交う世界。どこまで歩いてもひとっこひとり いない世界、行くあてもなく、ふらふらと歩き続ける、旅芸人なふたり。 二人のまえに突然現れた若者は、不思議な力を待っていて...

【観劇データ】
1999.10.15 19:00 - 20:45 Aブロック9番(当日券)

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●ブリキの自発団プロデュース「ホギウタ」
(第13回青山演劇フェスティバル - 1999再生へ)
1999.10.14 - 10.20 東京 青山円形劇場
原作 北村想  構成・演出 生田萬
出演 ルビー・モレノ スティーブ・ソレイシィ ユセフ・ロットフィ(劇団テヘラン)

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