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1998.12.13

R/【非常怪談】JJC

日曜夜の回だというのに、客席はほぼ満員状態。しかもかなりの人数の FSTAGER。そもそも、開演前にも、整理券のためとはいえ、気合い入り すぎて早過ぎだ、というのは、かわひらのことですが。

【みたままおもったまま】
くしくも「カズクン」と並んで、葬式(というか通夜)を舞台にした 芝居が揃い踏み。シアターグリーンはお寺の横ですし、はっきりいって 決まりすぎ。隙がないようでいて、見ている側が「書き込める」余白の あるような芝居は、ほどよい狭さとあいまって非常に密度の濃い舞台に 仕上がっています。たしかにこれは名作。また上演の機会があれば、ぜひ。

まだあんまり経験ないんですが、葬式のときって、いろんな人が入り乱れる じゃないですか。冠婚葬祭の中で、いちばん「誰でも居られる」ものだと 思うのです。故人からみればまあ知っているひとなのだけど、その当人は 故人なわけで(意味不明)、それが実際のところだれなのかなんて本人の口 を信じるしかない人がいてもぜんぜんおかしくない。

そんな「隙」が巧みに使われていて、たとえば「モスグリーンの男」や 闖入する「沙依理」もそう。それが誰なのか、誰も知らないのだけど、 改めて聞くのはちょっとはばかられる。ものがたりを進めるためには 「異なるものの摩擦」が必要なのだけど、その状況にいとも簡単に 引っ張り込まれてしまうのです。

きっちりと作り込まれているようなのだけど、見る側に残された余白も 結構あって、そこに自分を書き込みながら見ることができるというのも 凄い。

些細なことなのだけど、「モスグリーンの男」が頭に水をちょちょっと つけたり、冷蔵庫からキュウリを出して齧ったり、釣竿にこだわったり する、なんてことがものすごく楽しかったり。謎というほどのことでは ないのだけど、なにか引っ張られるのです。

咲田とばこさんは、明るくてすこしとぼけた感じの母親がじつにぴったり。 見かけ上は明るく振舞うのだけど、その奥に見え隠れする涙がかえって 気持ちの深さ、つきささるのです。 故人の姉・節子を演じた荘加真美さんのすっとぼけたおばさんぶりが 凄いのだけど、この方、「ランチタイム・セミナー」では若い男性の 外交官。幅の広さにびっくりします。一色忍さんの不思議な雰囲気も すきなのです。

【ものがたり】
一家の主を亡くした恋沼家の通夜。ばたばたと人の出入りがある台所。 故人の妻・陽子(咲田)、子供・実(高庄)、友美(疋田)や親戚に混じって、 見慣れない人々も行き来。葬儀なのに緑づくめで現れた男(小山)とか 喪服姿でかいがいしく働く若い女性・沙依理(一色)とか。  遅れてやってきたのは陽子の妹夫婦・房江(中杉)と達郎(栗木)だったが、 達郎の姿を見た友美の様子がどこかよそよそしい。沙依理は親戚一同 の前で自分が隠し子だと言いだして....

【観劇データ】
1998.12.13 19:00 - 20:30 前3列中央ブロック上手寄り(前日予約)
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●劇団ジャブジャブサーキット第30回公演「非常怪談」
1998.10.24 - 10.25 ドリームシアター岐阜(岐阜市市民文化祭etc.)
1998.11.12 - 11.15 大阪 ウィングフィールド (ウィング再演大博覧会)
1998.12.10 - 12.14 東京 池袋 シアターグリーン('97グリーン賞受賞記念)
作・演出 はせひろいち
出演 咲田とばこ 高圧久美子 (天嶺正喜/)疋田英司 荘加真美 世一嘉津男
   中杉真弓 栗木己義(/岡浩之) 長尾みゆき 高野彰秀(/みずのいくひこ)
   小山広明 小島好美(/千頭麻依) (栗木己義/)所晴巳 一色忍

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【芝居】「カケルエックス」TEAM発砲B-ZIN

1998.12.13 14:00

【みたままおもったまま】!!!ねたばれあり!!!
破竹の勢い、来年にはなんと新宿アプル進出というものすごいことに なっている発砲B-ZINの新作は、ロマンチックコメディーのようでいて 実はもう少し下世話でどろどろした感じの愛憎入り混じるものがたり。 いわゆる特撮ヒーローものかというと実はそうでもなくて、 ひたすら楽しい、というのとは少し違う移行期を感じさせる一本です。 好き嫌いはありましょうが、間違いなく発砲のテイストなのです。

悪役も含めて全員がそれぞれに抱えているものがあって、という 描かれ方は、物語に多重な深みを与えることには成功しているものの、 こみいった感じ。それなのに、登場人物たちの行動はわりかしステロ タイプな感じで、オトコノコはどこまでも能天気でエッチで、強がりで。 オンナノコは色気むんむんで、でもどこかでオトコにぶら下がっていて。 悪役九十九も、カッコイイ六朗も、程度の差こそあれ、このステロタイプに 縛られている、と思うのです。それゆえに観客からは誰にも感情移入 できないのが、ちょっとつらい。

「ジャスキス」のキスってのは、物語としては程よい衝撃と生臭さの ない微妙にいいバランスだったと思うのだけど、今作での「交わる」 ってのは、(詳細は描かれないけど)まさにアレでして、そういう意味では ある意味かなり生々しい。それでも前半では、ダンスだったり二人で 協力したりとライトな感じなのだけど、後半ではそれが一点して 生々しさが倍増。となりの女の子二人連れは、ちょっとばかりヒいて ましたね。なんせ、悪役キャラ(九十九)のラストでの衣装は、かなり 危ないものです。それが悪いなんてことはないのだけど、バランスという 意味では、キスの方がよかったかな、と思うのです。

ゲームセンターにある相性診断の機械のように、合体する二人の相性が 「かける何倍」と数字で表せるというのは、なんとなくゲーム感覚。 もっとも、物語の趣旨としてはそういうものでは測れない、ですが。

発砲の女優陣は、看板で可愛くてオテンバな小林愛さんと懸命で 愛らしい武藤陶子さんという二本柱なのですが、BQMAPからの 客演・鈴木裕美子さんはステロタイプならがもかわいらしい、あるようで 発砲にはなかなかないポジション。新人とクレジットのある神埼朝子さん や吉田トモさんは美人でフォトジェニックな感じ。まだそれぞれの 個性とか判りませんから、全体的にキャラクタに偏りがあるように 思うのは、まあ、最初ですし気のせいでしょう。

武藤さんの「不細工な小動物のような」扱われ方は、台詞にあるように 「ポジション」といってしまえばそうなのだけど、しかも毎回でそれに つらえて笑ってしまうかわひらもアレですが、違う感じも、観たいなあ、 と思う今日このごろ。コメディエンヌとしてはまだまだなのだけど、 あの瞬発力のある切れ方は、ちょっと注目。

客演の草野徹さんは、「トランスホーム」の「バイク犬」の役の人ですが、 打って変わって少し陰があってダンディな(言葉が古いね)男を好演。 魅力に溢れる役者なのだなぁと思います。今回お休みの川津さんと組むと 重厚になるかなぁ、と思ったりして。

なんかとてもつまらなそうに書いてる気もしますが、上演中はほんとに 笑い一杯だし、ちょっとばかりほろりともしたりして、発砲テイストの 魅力は、やはりあるのです。

【補足】
観客席の男性率が比較的高いのが特徴的です。しかも独りで来ている とおぼしきオトコノコが結構いそう。

【ものがたり】
古代文明の科学技術を現代に蘇らせる、「遺学」の力によって、 人体改造の力を手に入れたマッド・サイエンティスト・九十九(工藤) 彼の病院の臓器売買をスクープにしょうと潜入した来栖(小林)は、 九十九の手に落ち、特殊な能力を持つ臓器を体内に埋めこまれてしまう。 その力とは、「男と交わることによって合体し、強力な力を持つ戦士 「カケルエックス」(きだ)に変身する能力だった...

【観劇データ】
1998.12.13 14:00 - 15:50 I列4番(ネビュラ直前予約)

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