【芝居】「休むに似たり」自転車キンクリートSTORE
1998.3.14 14:00
自転車キンクリートの人を初めて見たのはテレビの深夜番組でした。 歌川・飯島・鈴木の3人がうだうだと何げない会話をするというもので、実は 結構楽しみでした。
【みたままおもったまま】
この物語で、机を囲む4人の女性の会話をみて、そんなことを思い出しました。
柳岡さんと久松さんの二人が物語の中心だとはいえ、周縁を固める女友達3人の
話がしっかりと物語を支えます。33にもなって結婚してないヤツらの、どーする
つもりなんだかね、なはなし、というのはチラシにある文句ですが、女4人の
ムダ話が、実に楽しいのです。どっか身につまされるような感じもします。
去年の今ごろみた、「引張凧」という池田・柳岡のユニットの芝居の、こたつを 囲むシーンに、どこかその原型があるような気がします。
いちど「して」しまったあとだからなのか、かけひきが要らなくてラクというのは もしかしたらあるのかなぁ、とは思います。もちろん両方がそんな気持ちになれる なんてのは、ほんとうは奇蹟的な偶然という気もしますし、望んでもなかなか なれるもんじゃないかもしれないんだけど、そんなことが出来るなら、 ちょっとうらやましい気もします。
「した」「しない」にかかわらず、男と女で、友達同士というのを続けていくのは 絶妙な、バランス・オブ・パワーだと思うのです。久松が劇中で喋る台詞、 「女性を口説くってのは礼儀だしなぁ」っていうのも、(実際にするかどうかは 別にして)それはそれで正しいとうなずいてしまいますので、 なおさら、そのバランスは難しい。
が、物語の中でも、柳岡と久松のバランスは微妙です。想う気持ちは両方に あるのも本当だし、たとえば久松が6番目の女に対して抱いている感情も 決して嘘じゃないと思います。でも、そういうのってあんまり許されないのよね。 じっさいのところ。(柳岡の弟、というのがその視点ですよね)
役者は魅力的です。柳岡香里さんは今まで、突出した印象の ない役者でしたが、実に魅力的。久松信美さんのしっかりと相手を見つめる ところが素敵。かと思えば、女友達のバカ話の絶妙な掛け合いのリズムの良さ も絶妙で、その雰囲気を作り出す歌川椎子さんが凄い。
なんてこと言いながら、いい歳して、一人で暮らしてもないんだから、あたしは 彼女たちのレベルにも達してないんだから、どーすつつもりなんだかね、ですが。 ともかく、オススメの芝居、なのです。
【補足】
追加公演を重ねて、今の千秋楽は29日19:00の回まで。それでも公演直前の電話予約
は全て売り切れとのこと。最前列ベンチなどを使って当日券は出ているようですが、
まずご確認を。
柳橋りんさんは、ラスト近くで少しだけ顔を見せますが、クレジットにない ところを見ると、ゲスト扱いかも。他のじてキン役者の名前もところどころに 仕込んでありますから、日替わりでできる、という感じかしら。
【ものがたり】
高校生の同級生の結婚式の余興を頼まれた4人の女が。居酒屋で集まったものの、
ずるずると柳岡(役名=役者名)のちらかり放題の部屋にやってくる。
33にもなって一人もんの4人、仕事も楽しいし、それぞれに男が居たりもするの だけど、それでも、いざ結婚には踏み切れない。とはいえ、それぞれの恋の話とか。
そこに電話。柳岡と歌川の大学時代の友人の男(久松)から、ビデオを貸して欲しい と部屋を訪ねてくるが、結局派手に飲み会になって、ザコ寝で朝を迎える5人。 皆が帰った後、久松が柳岡に頼みがあるという。部屋が使えなくなってしまった ので、1週間だけ泊めて欲しいという。一旦は断るものの、高熱を出して倒れて しまう久松を結局泊めてしまう...
【観劇データ】
1998.3.14 14:00 - 16:15 通路席F(当日券12:50並び, 当日券20枚強)
●自転車キンクリーツSTORE「休むに似たり」
1998.3.11 - 3.29 東京 新宿THATER/TOPS (03-33350-9696)
構成・演出 鈴木裕美 脚本 飯島早苗
出演 柳岡香里 歌川椎子 池田貴美子 藤本喜久子(無名塾)
佐藤二朗(劇団ちからわざ) 久松信美 柳橋りん
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