【芝居】「夜明けのタンゴ」P.E.C.T.
1998.2.8 14:00
藤沢に本拠を持ち、横浜、去年からは東京での公演を重ねるP.E.C.T.の近作は、 少ししゃれた生演奏をとりいれたものが多いのです。今作もその例にもれず、 アコーディオンと弦楽器のタンゴ。渋谷ジアン・ジアンは決して舞台むきの 場所だとは思いませんが、なんか生演奏、素敵じゃないですか。
【みたままおもったまま】!!!!ねたばれ!!!!
閉鎖直前の教会、遺産ねらいかそうでないかいろんな人々。それぞれがかき回し、
かき回されするうちに内面の訴え、素直な気持ちとか懺悔とか。つっぱってい
るように見える子役(山崎)、実は昔名子役だったそのマネージャ(石塚)、
あるいは遺伝子操作の天才兄弟(田村,瀧川)、刑事(立石)と女優(丹羽)、
それぞれの関係。
ただ、いくつも重ねられるエピソード相互の関係が希薄で、寄せ集めて しまったようにも見えるのが不満と言えば不満。それぞれに背負う気持ちが 断片な上、後半ではそれが嘘であったことがわかったり、見ている側としては、 視点の置き場が定まらず、不安定な気持ちになってしまうのも事実。 考えず、ゆったり委ねていればいいのかな。
後半15分から、全てをひっくりかえすような詐欺師の物語がたった3人で語られ ます。物語としてみると、このひっくりかえしは反則という気がしないでも ありませんが、この場の3人の実力は確かで、特に弁護士を演じた松本美香 さんのアンニュイな感じ、実は代行屋(中嶋)との関係が見え隠れして、 実は結構好きだったりします。 また、元子役だった男を演じた石塚基光さんは、安定していて素敵です。
続けての東京公演、いくぶん役者の交替が進んでいるという気もします。 横浜相鉄本多の使いこなしが実に巧かっただけに、いろんな劇場でのここ数作 は、生演奏を取り入れ、素敵な空間を作り出そうとしている方向性が見える 半面、毎回替わる劇場で、空間の使いこなしに少しぎこちなさが残るような 気がします。ある程度場所が決まってきて、空間を作り出せるようになった ときが楽しみです。こんなもんじゃない、と期待をば。
そういえば5月下旬には、再び藤沢の小さなレストランでの公演を予定。 使いこなし、のんびり感という意味では、間違いなく優位なのですが...
【ものがたり】
岬の先の辺鄙なところ、小さな教会。シスターが亡くなり、その遺書。
「死後7日目の夜明けとともにに教会を閉鎖し、その瞬間に居合わせた者
全員で遺産を分けること」
たまたま居合わせたシスター、遺書の執行代理人二人きりで迎えると思われた7日
目の夕方。子役とその父親と名乗る二人、有名な女優、探偵、怪しげな二人の兄弟、
花嫁姿の女、弁護士の女、ゴシップ記者など、さまざま入り乱れて....
●P.E.C.T.「夜明けのタンゴ」
1998.2.5 - 2.8 東京 渋谷 ジァンジァン
構成・演出 日々野克己×中嶋 浩
出演 中嶋浩 三谷郁奈 石塚基光 山崎ルキノ 松本美香 丹羽清枝 立石徹 田村一行 瀧川英次 伏木淳子 青木珠美 山中敦子
演奏 ティングルタンゴ(acc:良原理恵 vn:マルセ)
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