【演劇】「サンタクロースが歌ってくれた」キャラメルボックス
あの、上川さんなのです。大人気のチケットは即日完売。今、もっとも観客を 呼べる役者のひとりであることは間違いありません。期待の新作のはずだった のですが、いろいろあっての再々演。
【みたままおもったまま】
映画から飛び出して来た登場人物たちのハラハラ、ドキドキなものがたりは
どこか、ウディ・アレンの映画を思い起こさせたりもします。
一人のクリスマスの夜、電話で話す女性二人の会話、実はとっても好きです。 あれを芝居でやる意味があるかとか、まあ、そんなことを思わないでもないの ですがなんか好きなんだから仕方がない。説得力には欠けますが。
好きなシーンがいくつもあります。クリスマスの街を走るタクシーの中での 二人(すずこ=坂口と芥川=西川)のシーン、絶対にあえないはずだった作家への シンプルな片想いの。あるいは子供の頃の二人(芥川とフミ=中村亮子)の蜘の糸 のシーンも素朴でいい感じ。映画の中で留守番をしていた奥様と巡査の恋の 物語(の劇中劇)は、実はどんな話しなんだろう、とか。
が、軸となるべき物語という点でいうと、どうにも印象が薄くなってしまう のです。二人の友情や対立の話に置いてきぼりをくらってしまった感じが するのです。男優だけのシーンだから?うん。もしかしたらそうなのかも。 けっこういい加減すぎるな>自分 視点があちこちに飛び、特定のだれかに思い入れていられない分、泣こうという つもりで行ったアタシにはどこか肩透かしな感じだったのも事実なのです。特定の役者への人気とか、それを前提としたところがあって、しかも 内輪受け寸前の危ういバランスの上に立っている感じがしたりもします。 わざとやってるというわけではなくて、自分の中でも期待してしまった ということなのかもしれません。が、まあ続けて見ているかわひらに とってみれば、これはこれで程よい心地好さになったりもしますから、 いちがいに悪いともいえないのですが。
水準には到達した上で、ついついそれ以上を求めてしまうのって、やっぱり ぜいたくもの、なんでしょうね。かわひらは。 とはいえ、水準は軽くクリアしていると思います。前売りは完売とのこと なのですが、機会があれば、オススメ。 【ものがたり】恋人の居ないクリスマス、二人で映画を見にでかけたゆきみ(岡田さつき)と すずこ(坂口理恵)。選んだのは「ハイカラ探偵物語」。怪盗黒蜥蜴によって 奪われた宝石。怪盗に挑戦するのは若き日の芥川龍之介と後の江戸川乱歩。 二人が出会っていたら、という設定で進む物語だったが、クライマックスに から先に進まない映画。...黒蜥蜴が消えたのだという。映画のスクリーンから。 待ちぼうけを食らって一人で映画を見る羽目になっていたゆきみは、ガラガラで 自分一人の客席。彼女に向って話しかけてきた。映画の登場人物たちが。 あろうことかスクリーンを抜け出し、こちらの世界に。黒蜥蜴もこちらの 世界に来たのだという....
【観劇データ】
1997.12.13 14:00 - 16:00 20列8番(前売り券)
●演劇集団キャラメルボックス1997クリスマスツアー「サンタクロースが歌ってくれた」
1997.11.20 - 11.21 福岡 メルパルクホール福岡(092-525-0771)
1997.11.26 - 12.5 神戸 新神戸オリエンタル劇場(078-291-1100)
1997.12.9 - 12.30 東京 池袋 サンシャイン劇場(03-3987-5281)
作・演出 成井豊 演出助手 石川寛美 白坂恵都子
出演 岡田さつき 坂口理恵 西川浩幸 上川隆也 真柴あずき 中村亮子 近江谷太朗 南塚康弘(/大内厚雄) 前田綾 明樹由佳 大森美紀子 今井義博(/細見大輔)
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