【芝居】「ブラック・フラッグ・ブルース」キャラメルボックス+発砲B-ZIN
1997.9.11 19:30
【みたままおもったまま】(!!!ねたばれあり!!!)
発砲B-ZINとキャラメル。ちょっと聞くと相容れないようにおもってしまう劇団の
コンビネーション。3年振りというアナザーフェイスという企画。実は未見で、
いやがおうにも期待は高まります。異種格闘技というか異文化交流というか。
が、初日を観た限りでは、公演のメリットが十分に生きているとはいい難い ところがあります。役者の誰が悪いとか、そういうことではなくて、どこか、 ちょっとしたところでノリ切れていないという印象なのです。もしかしたら平日に 聖蹟桜ヶ丘まで来るだけで観客(自分だ)が疲れちゃったということなのかも。
物語の設定や、役者に求められているものが、どちらかというとキャラメルよりは 発砲のそれに近いという気がします。ハードルという意味で普段とは違うものを 求められているキャラメルの役者の方がつらい、というのも事実だと思うのです。 が、中村恵子さんのアラシや、前田綾さんのモトコなど、ワキを固めるキャラメル 役者陣が、実はキレていて魅力的なのもまた事実なのです。もっと、もっと トんで欲しい、そのためのアナザーフェイスなのだから。なんて柄にもなく お節介思ったりして。
親子の物語、恋の物語は大森美紀子さん演ずるマリナを中心に動いていて 芝居全体の中核をなしているような気がします。勝手にかわひらが主役だと 思い込んでいた坂口理恵さん演ずる海賊や小林愛さん演ずる候補生が相対的に 薄くなってしまったような気がします。そんな先入観を奇麗さっぱり忘れて しまえば、ええ、実は問題ないのです。この二人がお気に入りなだけに、 悲しいですが。
ラヴ&ピース川津さんのぶっきらぼうでイイ男、実はとってもヒーローじゃ ないかと思ったりして。印象的です。 大森美紀子さんの「母なるもの」の安心感と、それでも恋する女のチャーミング で少しカケヒキなところが大好きなのです。とても、とても。
隠し味のようにあちこちのSFからの引用やら、登場人物の名前がSF作家から の名前の着想らしいのです。好きな人は好きでしょう。 かわひらは..全然考えてなかったお気楽な。はは。
ブレインシップという着想やら、すこしばかりSFな感じ。原案にあるという 「歌う船」などに観る側が縛られないか、あるいはSFテイストなものがたりを 抵抗なく観客が受け入れられるか、というあたりがポイントという気はします。 ここでつっかかってしまうと、難しいかしら。個人的にはもったいないことだと 思うけど。からっぽにして観ると結構、いい味なのですが。
ほんの、ちょっとしたことだと思うのです。楽日までの数週間、もしかしたら めきめき面白くなるんじゃないかという予感があります。役者は懸命に引っ張って います。あとすこし。ほんとは一度だけ観るつもりだったのですが(遠いし)、 この小さい劇場での楽しい公演、暇を見つけてもう一度、という気になって います。ちょっとひいき目に過ぎる、かしらん。
【ものがたり】
宇宙船パイロットの選抜試験の最終審査。3人の候補生たちに与えられた課題は
地球・火星間の往復航行だった。乗り込むのは一人の人間の脳が直結された宇宙船、
ブレイン・シップ。ブレインの名前はマリア。候補生の一人の母親だった女性の
脳だった。
航海の途中で遭遇した一隻の難破宇宙船。中から救助した二人を収容するが、
実はこの二人の狙いは積み荷の...
【観劇データ】
1997.9.11 19:30 - G列16番
●キャラメルボックス アナザーフェイス Featuring TEAM 発砲・B・ZIN 「ブラック・フラッグ・ブルース」
1997.9.11 - 9.30 東京 聖蹟桜ヶ丘アウラホール(0423-37-2675)
作・演出 真柴あずき+成井豊 演出協力 きだつよし
出演 坂口理恵 大森美紀子 篠田剛 中村恵子 前田綾 岡田達也 ラヴ&ピース川津 平野くんじ 工藤順矢 小林愛 きだつよし(/西川浩幸)
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