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1997.05.24

【芝居】「奇蹟のような恋」P.E.C.T.

1997.5.24 14:00

湘南・横浜を中心に活動する集団。去年はほぼ半年に渡って藤沢の小さな店での ライブな100ステージを公演。久々の劇場公演は、あれ、なんと東京だわ。

【みたままおもったまま】!!!!ねたばれあり!!!!
パズルのピースのようにいろんな断片が提示されます。最後までいってもそれぞれの ピースが交わったりはしません。それぞれが一つの世界を構成するピースには 違いないのだけれど、それぞれはあくまでもそのまま。

売れないコメディアンがきっかけを掴んで売れていく話、同棲していた男女が それぞれの仕事の為に旅立っていく話、長年の友人を失ってしまう老婦人の話など。 それを優しく、時にはいたずらに見守るのが少年なのですが、物語の後半では 天使か何かのように描かれます。そういう目で見ると、少年の行動は他の人の 生き方を大きく変えてしまうようなきっかけになったりして。

あくまでも彼は少年ですから、達観した物の見方をしているわけではないのだ けれど、その視点が基本的に優しいことに気がつきます。

かなり多くの音楽が、アコーディオンの生演奏なのです。静かでアコースティックで 素敵な空間を作り出すための一翼を担っています。

管理人の老婦人や、売れ始めた芸術家を演じた松本美香さんが突出した安定感。 特に老婦人の友人(中嶋浩・二役)とサンドイッチを食べながらとりとめもない 会話をするシーン。たとえば、その友人が死んでしまってからの葬儀の日、 それまでと同じところにたたずんでサンドイッチを食べるシーンに心を奪われます。 涙してしまったのは、寝不足のせいだけではないと思うのだけど。 少年を演じた山崎ルキノさんも素敵でユニセックスな感じ。どきどきします。

とはいえ、よくわからない、雑多な感じを受けるのも事実なのです。それを それとして受け入れられるかどうか。たとえば、地球侵略を企てるカエル大王 の話し。たとえば、中国語でまくしたて、何かを探している 人々に男が追われるシーン。それ単品で見ると実は結構面白い(落とした財布を 大げさに振りをつけて、繰り返し説明するあたりは好きです)ですし、 天使の悪戯という感じもしますから、説明はつくのだけれど、なんとなく 座りが悪いと言うか、なんというか。

文句をつければキリはないのかもしれません。が、あたしはこの気持ちのいい 空間が好きです。おすすめしたいけど..もうおしまいですね。(^^)

【ものがたり】
人気テレピ番組の司会者に抜擢されたコメディアン(中嶋浩)。歴代の司会者達 が住んだ一軒のボロアパートにうつり住んでくる。アパートの扉の前には 口の達者な少年(山崎ルキノ)。コメディの基本は人間観察だといわれて移り住んだ そのアパートには、なるほだいろんな人々。仲良く暮らす三姉弟、同棲している 男女、難しいことを言う大先生、アコーディオン弾き、娼婦、管理人の老婦人、 オーナーの老紳士..開かずの魔、などなど。 さっぱり人気の出なかったコメディアンだったが、少年に渡された一枚の紙から...

●P.E.C.T.第11回公演「奇蹟のような恋」
1997.5.23 - 5.25 東京 池袋 東京芸術劇場 小ホール1 (03-5391-2111)
脚色演出 日々野克己  構成演出 中嶋浩
出演 山崎ルキノ 松本美香 青木球美 石川浩之 立石徹 片瀬鉄平    池田春美 田村一行 石塚基光 良原理恵 中嶋浩

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1997.05.05

【芝居】「ワンダバ」TEAM発砲 B・ZIN

1997.5.5 19:00

世間ではゴールデンウィーク。今年は残念ながら仕事しまくりだったのですが、 最終日、「やっぱ仕事だけで終わるのはさみしぃ」と思い立って、えいやっと。

【みたまま、おもったまま】
これで発砲は3回目なのです。前回の「ジャスキス・デス」の完成度が非常に高かった というせいもあって、今回は少しばかり辛い点数になってしまうのかもしれません。 確かにセットは前回に比べても数段見劣りしてしまうし、どうにもチープな感じは 否めません。ましてや、セットを高く組んでその上でも走り回る芝居です。 このガンバリ感は、あたし大好きですけど、不安になるほどセットが音を立てる のは、ね。ひと事ながら心配だったりして。

が、んなことはどうでもいいのです。なんか好きなんです、この劇団。文句をつければ いくらでもつくのだけれど、ワクワク、ドキドキと溢れる感覚がとてもいい気持ち なのです。

日常生活の中に不思議な異星人が紛れ込む、というあたり、「ウルトラセブン」な 感覚。ライブな芝居ですから、特撮効果の類はまったく使えないわけで、 バックグラウンドとしてこの手の特撮モノをある程度見て育った世代でないと、 キツい、という感じはします。でも、それって結構ボリュームゾーンですよね。

特撮やコスプレといった面ばかりが強調されがちですが、「ヲタク」と呼ばれる人々、 あるいはうまく人間関係が作れない人々への暖かく、しかし厳しい確かな視点を 感じます。ファンだから、応援してるからといって相手の立場や気持ちに 無頓着な人々の冷徹なまでの描き方は実に見事。今作での新たな発見でした。

小林愛さんばかりがクローズアップされることが多い女優陣ですが、 今作の女優は誰もが魅力的です。異星人・いしむらみかさんの不思議な存在感と 少し大人な色香。生活感の漂う寺川敬子さんが照れるところのどきどき。 少年というのが不思議とぴったりな武藤陶子さんは、美人とは違うのだけれど (←とっても失礼だな>自分)実は不思議な魅力。実はイチオシ。 もちろん小林愛さんも、素敵。困ってしまって「もおっ」という表情が素敵。

男優では、ラヴ&ピース川津さんの異星人な雰囲気が、凄い。

来年には本多劇場とのこと。チープな感覚が通用するのはこのスズナリクラス まででしょう。本多の規模だとどうなるのか、楽しみなような、不安なような。

【補足】
当日・前売りで共通の値段なのに、なぜかシアターガイドもっていくと割引きです。 ..が、10日、11日は使えないのね。早く書けよ>自分

【ものがたり】
役者志望(西ノ園達大)、ヲタク的こだわり(工藤順矢)、心底正義の味方(澤田太歩)の 男三人組でのどさ回りショー「地球防衛軍・ワンダバ」。トラブルでゴールデン ウィークの仕事をキャンセルされてしまったために、辺鄙で小さな町へ呼ばれて やってきた。彼らを呼んだのはひとりの男。ナナハチと名乗るその男(平野くんじ)は、 「地球防衛軍」の力を借りたい、と....

【観劇データ】
1997.5.5 19:00-20:40 前2列下手寄り(=当日指定2番)

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