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1997.04.27

【芝居】「カラフルメリイでオハヨ97」ナイロン100℃

1997.4.27 13:00

NIFTYServe, シアターフォーラムに書いた文章の採録です。

うららかな日曜日の昼。GWうまく休みを入れれば10連休だからか、 4月のサークル勧誘の季節が過ぎたからか、人が多いわりには のんびりとした印象の一日。

【みたままおもったまま】
ナイロンといえばナンセンスといわれること多いのです。あたしだって、 「ウチハソバヤジャナイ」がナイロンのキッカケです。で、「カラフルメリイ」も そんなナンセンスなものの延長線上にある、と言われてるのですが...

きわめて小劇場的で実に静かで真摯な印象なのです。もちろんあたしも大笑い しながら観てたし、ナンセンスに分類されるのならそうかな、という気もします。 が、大騒ぎの舞台とは裏腹に、実に冷めた視点を感じたのです。どこが、といわれる とうまく言えないのですが。

病院に入院して脱走を企てるみのすけの仲間たちは彼自身の幻想?...いや、 病院の場面全部が幻想って気もするぞ..じゃあ、夢見てるのは、家族の場面の 老人みのすけ?...なんてとめどもなく想像しながら舞台を観てたりして。柄にもなく。

考えさせる、っていう言葉は適切じゃないかもしれません。大笑いしながら観てて、 そのくせ多重に仕組まれた世界をわくわくしながら観ている自分に気がつきます。 ほんとに観ていること自体が楽しい、という舞台でした。

情報誌でみかける前回公演の写真で見るセットはびっくりするぐらい今回のそれと 一致します。無機質なシンプルさ、奥行きがあって、空間をしっかりと埋められる。 作品の世界にとてもマッチして、ここちよさを感じます。

大阪公演のreviewにある駅の地名は東京に合わせて変えて あります。大阪でいう「つるはしの次」は、東京では巣鴨の次。ラストの唄もそう いう感じ。唄では巣鴨のとなりの駅全部列挙されてました。(ちなみに大塚と駒込、 千石、西巣鴨...ってどうでもいいことだけど。思わずぴあの路線図見ちゃった) 大阪の地名では多重にハマっている演出のようですが、東京ではどうゆう解釈に なるのかしら。巣鴨は下北沢からはずいぶん遠いし。

老人みのすけの見ていた世界はどんななのかしらん。「ニキニキちゃん」やら 「コンちゃん」やらは言葉そのものの面白さはそうでもないのに、その言葉に 対するまわりの反応やら見せ方の見事さが面白さを倍増させます。凄い。

山崎一さんの老人。ボケかかった老人の微妙なズレの可笑しさと哀しさが同居した 雰囲気の巧さは抜群。医者を演じた大倉孝二さん、ほんとに良くなって来ていて、 ナイロンの雰囲気を担う新しい世代、という感じがします。看護婦3人(峯村リエ, 村岡希美,今江冬子)の微妙なボケかたが大好きです。

【補足】
パンフを買わなくても当日のキャストがわかる紙が一枚入ってるのはとっても マル、です。パンフを売ってる劇団ほどキャスト表を只じゃくれない傾向があるのは 困ったものですが、その点でナイロンの姿勢は評価できます。 パンフはLPサイズの素敵なもので、センスも抜群。...でも置場所に困るので 買いませんでした。ごめん。

【ものがたり】
ゆるやかにかかわりあい、重なりあうふたつのものがたり。 比留間家の痴呆症の祖父・みのすけ(山崎一)、脳梗塞の悪化に伴って言動がおかしく なり同居する家族たち(入江雅人,今江冬子ほか)の混乱もひどくなっていく。

一方、海の近くの病院に入院している少年・みのすけ(みのすけ)は、そこに入院して いる他の少年達(三宅弘城,犬山犬子,清水宏,工事現場2号,入江雅人)と出逢い、 いかがわしい雰囲気の病院を脱走する計画を立てる。 いのちからがら逃げ出し、海岸まで出てきた少年たちは...

●ナイロン100℃「カラフルメリィでオハヨ'97-いつもの軽い致命傷の朝」
1997.4.11 - 4.13 大阪 近鉄小劇場(06-771-1009)
1997.4.20 - 5.3 東京 下北沢本多劇場(03-3468-0030)
全指 前売4,200 当日4,500 / シリーウォーク(03-5458-9261)
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 みのすけ 山崎一 三宅弘城 犬山犬子 清水宏 工事現場2号 入江雅人 大倉孝二 峯村リエ 村岡希美 今江冬子 廣川三憲 仁田原早苗 松永玲子 澤田由紀子 長田奈麻 今津登識 大山鎬則 KERA

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