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1996.12.14

【芝居】「法王庁の避妊法」自転車キンクリートSTORE

1996.12.14 19:00

別の芝居を見ようと思ったのです。が、覚えてた時間が間違ってる ことが判明。で、あわてて探して見つけたのが、もっと先に観るはずだった この芝居。当日券でした。

【みたままおもったまま】

少し、ねたばれあり。でもそんなことは大した問題じゃ... 結論から言っちゃいます。強力に、オススメ。ほんとうに大好きです。この芝居。

「オギノ式」って知ってますか?どうやったら子どもが出来るか、(あるいは 出来ないか)ということの基本になってる「女性のからだの話」。この法則性を 解き明かした日本人医師とその妻、病院に出入りする女性たちを軸に物語は進みます。 「オギノ式」の言葉は知ってても、そのものがたりは初演を観るまでは 知りませんでした。なんせ、小学校でよく読む「偉人伝」とかにはあんまり 出てきませんものね。

萩野久作さんを演じた山西惇さんは初演の時の佐戸井けん太さんよりは骨太な 印象で、東北っぽくない、というと偏見かしら。でもどこまでもまっすぐで 実直な印象がずっと強まったようにも思います。

戸川京子さんの"不妊に悩む嫁"。時代のせいにするのは簡単だけど、子どもが できないことに対する強烈なプレッシャーに強く、けなげにがんばる姿。 かわいらしく、素敵です。 歌川椎子さんは"子だくさんの女性"。これは不妊とは逆の意味なのだけれど、 やはり産む性ゆえの不幸。強く、でもやはりけなげで。

この手のイイ話は、少なくともオトコからは文句がつけにくいなぁ、なんて思った りもするのですが、そんなことを言わせないぐらいに完成度が高くて、凄いと 思います。3時間っていう長い上演時間なんですけど、ずーっと笑ってるか 泣いてるかしてたのです(^^)

この劇団の作家・演出は女性なのですが、そのとても優しい視点がだいすきで、 ツボをガンガン刺激します。また、言葉の選び方というか、言語感覚 がとても気持ちにマッチします。たとえば、ことばそのままでは ありませんが(戯曲買えばよかった..)「今までは(妊娠のメカニズム が解明されていないゆえに)選べないから、女性たちは苦しんでいた。しかし、この 発見によって、選らぶ苦しみというのを女性たちは得る。」なんていう雰囲気の シーンがあるのですが、とてもツボが刺激されます。ああ、あたしはやっぱり じてキンが好きなんだなぁ、と思います。

再演はどうしても評価辛くなるのですが、もしかしたら今年のベストワン... かもしれない。(記憶力がザルなんでよく考えてみないと何ともいえませんが) ああ、そういえばそんな季節>ベストテン

【ものがたり】
大正の終わり、新潟の産婦人科医・萩野久作(山西惇)は当時世界中の研究者が 取り組み、解明できなかった「女性の排卵はいつ起こるのか」という謎に取り組んで いた。町医者が解き明かすことなどできそうもなかったこの大問題、日々の 診療から症例を集めていた。

【観劇データ】
1996.12.14 19:00 - 22:00(休憩10分) 補助L列左=当日券,18:00並び 

●自転車キンクリートSTORE「法王庁の避妊法」
1996.12.11 - 12.28 東京 新宿紀伊国屋ホール
1997.1.8 町田市民ホール 1.12 盛岡劇場 1.14-15 青森市民文化ホール
1.17-18 札幌道新ホール 1.21-22 千葉市民会館大ホール 1.25 葛飾かめありリリオホール
1.31 静岡ベルフォーレ長泉町文化センター 2.2 三重県総合文化センター 2.4 倉敷市芸文館
2.5 新神戸オリエンタル劇場 2.7-9 大阪近鉄小劇場
作 飯島早苗  作・演出 鈴木裕美
出演 山西惇 戸川京子 山下裕子 歌川椎子 宇尾葉子(PROJECTジョカ) 岡田正
 樋渡真司 吉田朝(12/20,21,23-1/22)/久松信美(12/11-19,22,1/25-2/9)

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