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1996.11.13

R/【北限の猿】青年団

96年初演(演劇感想文リンク) にNIFTYServeに書いた記事の再録です。

結構寒い一日でした。実はこの日、休みでして、一気に二本観ちゃおうと思った のですが、同じ演目で二公演の日。残念。また行くことにしましょう。

..で、空いた夜を、当日券の山の手事情社にしたのですが..残念。キャンセル なんか、ほとんどでなかったのね。ま、お知らせによれば前売り完売だったので。

【みたまま、おもったまま】
二本立て公演。もう一本の方から見るのがおすすめとのことでしたが、見られるうち にということで、オススメに逆らって、こちらから見ることにしました。

会話の進み方は確かに青年団。しかしながら、「エンタテイメント作品」の名に ふさわしいぐらい、笑いも多くて、多少にぎやかな芝居。「静かな演劇」と評される 通常の公演よりも、日常に近いような気はします。静かな青年団しか知らないかわひら には、多少の違和感はありましたが、面白かったです。おすすめ。

研究室の様子は、まねきねこさんのreveiwを読む限りは、「カガクするココロ」と ほぼ同じ。ピンクのテーブル、落ち着いた市松模様の床、アクリルの壁、木目の ロッカー、ゲーム、ゴリラの縫いぐるみ。

ある瞬間、緊張感の糸がピーンと張る感じがします。青年団の芝居を観づつけて しまうのは、この緊張感のドキドキを感じたいから。和田江理子さん演じる 大学生・吉川が「アフリカ行っちゃうんですか」と叫ぶように話すシーンや、ポテト チップをむさぼり食うシーン(止めてたのに夜食にポテトチップ買ってしまったアタシ) その雰囲気を察して平田陽子さん演じる大学院生・清水が「許しちゃ駄目よ」 というあたりが、とても好きです。

快楽のためのセックスの話とか、ホワイトボードに書いたベストテンリストの 誤解が伝播してく話とかも好きです。北へ進む猿、妊婦の話、将来なし・過去 あるのみな話とか、微妙なバランスでゆるやかにつながっている脚本の緻密さに、 ほんとうにビックリします。オセロするゴリラも大好き。

もしかしたら、研究室は10年前と、人こそ替わりすれ、その中で話される こととか、考えてることは大してかわらないのかも。ヒトは遺伝子の乗物かも しれないけど、この研究室もまた、「研究者の考えること」という遺伝子の 乗物かもしれません。

二本併せたキャストの総数はいつもよりは格段に多いといえます。で、いままでは 印象に残っていなかった人が印象的な役だったりして、収穫は多い感じでした。 上に挙げた和田江理子さんは、とても素敵な印象。「南へ」のウエイトレス役だった のですが、なぜか印象に残っていませんでした。永井秀樹さんの印象もなぜか 薄かったのですが、今作ではとても印象に残りました。

もちろん、いつも印象的な役者たちもまた素敵です。出番は少ないのに、明らかに 舞台の空気を変える山内健司さんや、声が印象的な志磨真美さん。志賀廣太郎さんや 松田弘子さんも、いつもより生き生きした感じさえ受けます。

【補足】
残念ながら、下手側からでは、芝居の中で少し使われるホワイトボードを見ることが できません。これからの方は上手寄りをオススメ。ま、見えなくても、芝居そのもの には影響しないように作られてはいますが。

【ものがたり】
サルを進化させようとするプロジェクトが進行する大学の研究室。実験中の学部 学生とか、暇な事務員とか、研究室OBとか、もちろん研究者たちもいれかわり、 たちかわり。

【観劇データ】
1996.11.13 16:00 - 17:20 後2列目下手寄り(当日券, 15:15購入) 客席ほぼ定員

●青年団全国二本立公演「北限の猿」
1996.11.8 - 11.25 東京 駒場アゴラ劇場(03-3487-2743)
→10.10-10.13 伊丹AI HALL(0727-82-2000) 12/11 小倉 スミックス ESTA(093-583-3850) 12.15 飯塚 イイヅカコスモスコモン(0948-21-0505) 12.18 大牟田文化会館(0944-55-3131) 12.21-22 岡山 アイプラザホール(086-234-5877) 以降 水戸、浜松、静岡、名古屋 を予定
劇団連絡先 青年団 03-3469-9107
作・演出 平田オリザ
出演 山内健司 小林智 原田雅代 志磨真美 永井秀樹 大木透 成田睦美 平田陽子 小河原康二 和田江理子 山田秀香 志賀廣太郎 松田弘子 天明留理子 角館玲奈

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