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1996.09.21

R/【寿歌】プロジェクト・ナビ

電車が次々と止まり、おそらくたどりつけなかっただろう人も居た公演。 オフ幹事をやっていなければ、かわひらだって家の外に出たかどうかわかりません。

外の荒々しい風と雨が嘘のように遮断された劇場の中は、まったくの別世界 でした。そして、芝居がはねたあと、劇場の外。風はまだ残っていましたが、 澄んだ空気、青い空。台風・雪・青空の連続体験は、芝居とは別の意味での感動 でした。

【みたままおもったまま】
プロジェクト・ナビという劇団は、いつか観たいと思いながらも先延ばしに していたら、いつのまにか東京での公演を行わないということになっていました。 それが関東でみられること、ほんとうに嬉しく思います。

軽快な語り口。それは決して軽薄なものではなくて、まさに「口に、耳になじむ」 言葉でした。どこかの方言なのか、それともいくつかの方言を交じりあわせた ものなのか、よくわからないのですが..

もちろん、言葉は「ものをかたる」という役割もあって、この芝居はそのチカラを 十分に持っていると思いますが、それ以上にかわひらの受けた印象は、 音としての心地好さだったのでした。

湘南台文化センターという劇場は、舞台・客席全体が大きなドームの中である ような劇場。青年団の「南へ」ではこの天井の高さを行かして、客船の甲板という 場を印象的に作っていました。

ガサツに見えながら、ほんとうに娘らしい雰囲気の演技、佳梯かこさんは、確かに 心に残る女優さんでした。役者それぞれが、軽妙にみえながらも、実は厚い実力に 裏打ちされていて、安心して見られる舞台。

一台のリヤカー、3人の登場人物という小規模の芝居で、この大きな劇場を 生かし切れるのかどうなのか(もちろん、無理に生かす必要もないのですが) が不安だったりしたのですが、それはラスト、杞憂に終わったことがわかります。 ほんとうに「空から」降って来たかと思うほどの雪は、映像ではもちろん、 舞台が額縁型に切り取られた普通の劇場では、決して体験する事のできない、まさに 空間を作り出すことに成功していたと思うのです。

【ものがたり】
ミサイルや爆弾によって壊滅的な打撃を受けた地球のどこか。リヤカーを引き大道芸 でどうにかこうにか旅を続ける娘、と初老の男。誰もいないはずの荒れ果てた土地で 知り合った、どこか不思議な雰囲気を持つ男との、短い道中。

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●プロジェクト・ナビ37回公演「寿歌」
1996.9.21 - 9.22 神奈川 藤沢市湘南台文化センター市民シアター(0466-45-1550)
作・演出 北村想
出演 佳梯かこ 中原和宏(ツェッペリン・シアター) 久川徳明(翔航群)

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