【芝居】「なんてたって!イルカの生活 」P.E.C.T. プロデュース
1996.8.26 19:00
ワークショップの最終公演なので、それほど混まないだろうと思って ギリギリに出かけたかわひら、いやはや。凄い人数の観客。これはP.E.C.T. の客なのか、それとも...
【みたまま、おもったまま】
正直いって、それほどめちゃくちゃな期待はしていなかったのです。若々しい
役者とパワーが見られれば、それでいいかな、ぐらいの気持ち。
高校生ぐらいの役者ばかりの芝居って、平田オリザさんの「転校生」ぐらい
しか観たことがなくて、(あれは面白かった.。ほんと)どれくらい期待して
いいか判らなかったというべきでしょうか。
ファンタジーで、自分さがし。時代が時代なら、それこそそこら中にあったのかも しれませんが、あたしは結構好きなのです。そもそもあんまり観てないし。 実際のところ、芝居が本当に伝えたかったことを、あたしが完全に受け取ったとは 思えないのですが、それでもそのファンタジーの世界を構築することには、成功して います。この芝居は、期待を大幅に上回るおもしろさだったのです。
イルカを海に逃がそうとしている小学生のヨウスケの姿と、かつて小学生だった ときにそれが正義と信じて学校のウサギを逃がして、結果的に殺してしまった ミズノの姿が交錯します。ミズノの姿はかつてのウサギに重なり、3人の小学生が 無理やり逃がそうとするシーンのドキドキした感覚。
あるいは、水族館の地下で「イルカにため息をつかせる」相談をするシーンや 解き放たれたミズノがあこがれの海賊達に出逢って馬鹿騒ぎをするシーンの楽しさ。
生活のにおいを嫌っていたミズノが、解き放たれ、あたかもイルカが水面の向こうに 飛び上がるかのように何かを突き破ったラストシーンでは「人間臭い生活」を始める あたりの気持ちよさ。いろんな要素をさまざまに見せてくれる、素敵な舞台でした。
遊◎機械の影響を色濃く受けているという感じもします。ミズノを演じた瀧川英次 さんにしても、ヨウスケを演じた女優さん(名前が..)にしてもヤマダノボル君の 面影が感じられます。だから問題だとは、全然思いませんが。単に穿った見方かも。
それにしても見事な役者たち、歌で声が出ていないのはご愛敬として、ダンスや 動きのパワフルなこと、突き抜けた感じがとても気持ちよかったです。 年齢は17から20ほど。どの人も、また観てみたいと感じました。
ところで気になったのが...「学校の演劇部以外の芝居に出たら退学だってさ」 という台詞。...まさか、そんなつまらないことってあるんでしょうか。
【補足】
横浜では比較的有名な劇団で、元・遊◎機械全自動シアターの中嶋浩さんが主宰
するP.E.C.T.。彼らがプロデュースした、中高生のためのワークショップ
が、題して「象を放つ×象と逃げる」(実は意味はよく知らない)。そのファイナル
がこの公演。ワークショップのテキストとなった、この芝居の脚本自体は
P.E.C.T.が過去に使ったホンらしいのですが、高校生たちの
感性に合わせて結構変更が加えられているようです。
【ものがたり】
水族館でアルバイトに明け暮れる若い男ミズノ。アザラシのショーでプールに
落とされたり、館長に叱られたり、ため息のでるようなことばかりの毎日。
夜、残業続きの、そんな彼の前に現れたのは、あのアザラシ。プールから逃げ
出して来たのだ。ため息ばかりついている男を、アザラシは水族館の地下へ
連れていく。そこで、今日はとても面白いことがあると言って。
同じ水族館に忍び込んでいるのは、3人の小学生。ヨウスケが目指すのは、 とある水槽。彼の夏休みの課題、それは...
●象工場のハッピーエンド「なんてたって!イルカの生活 Smile Like a Ripple」
中高生のための演劇ワークショップ"象を放つ×象と逃げる"ファイナルステージ ~P.E.C.T.プロデュース
1996.8.26 - 8.27 横浜 相鉄本多劇場(27日は14:00のみ, 045-319-2150)
作・演出・出演・美術・照明・音響・制作
遠藤吉彦 大久保絵梨 岡崎悠 菅野敬子 工藤結佳 黒越美帆 桜井はる 関孔明 瀧川英次 竹内容堂 田村一行 千田菜々子 中島陽子 平井美里 福田亜紀 康井拓也
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