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1996.07.07

R/【ダム・ウエイター】怪しい興行

金曜夜の六本木を歩くなんてことは、ほんとうに久しぶり。藤沢と横浜を往復 している平日のうちにくるとちょっとした違和感さえも感じてしまいます。

自由劇場という劇場を知ったのは、去年の「し」。すごくよくて、濃密な空間。 同じ二人芝居で、「こけらあげ」。思い入れこそありませんが、残念な気持ちです。

【みたままおもったまま】
予定よりもおくれて到着したかわひら、開演5分前。でもセーフ。 「怪しい」うちわとか、ビールとか。客席に見える観客たちの顔、照明の加減か まさに「見世物」を観に来た人々という感じ。先日観たフィリップジャンティの の時の張り詰めたような空気とは正反対の雰囲気。どちらがいいとか悪いとか ではなくて。一見チープに見えるこの雰囲気が、芝居にいい影響を与えているのは 間違いありません。

かわひらは原作を知りませんし、不条理劇はやっぱり得意じゃないと思うのです。 が、役者たちの面白さにはひかれるものがあります。自由劇場という小屋にも、 あるいは自由劇場と名のつく劇団にも、思い入れのない演劇初心者のかわひらに とっても、狭いこの空間の、密度の濃いこの芝居を誰かと共有する事ができたという 慶びを感じずにはいられません。

「やかんに火をつける」くだりとか、「エレベータに手持ちの食べ物を全部 乗せちゃう」あたりとか、あるいは「伝声管に息をふきこむ」あたりとか。 純粋に役者のやっていることだけで見る楽しさ。その背景にある難しいこととか、 ストーリーに埋め込まれたこととかを理解するには、かわひらは あまりに初心者すぎるのかもしれません。

狭い空間に小さな舞台、布を吊った壁、2つの小さなベット、なつかしいような こまごまとしたおもちゃ。緑と赤を基調の照明。ときどき照明のバランスを変えて いるのがマル。

やがてなくなる空間。その空間に対する二人の想い。使い慣れた空間で見せる 濃密な二人芝居は、とてもとても楽しくて、想いが感じられて。

【ものがたり】
小さな部屋、男が二人。何かの仕事のために、何かを待っている...

【観劇でーた】
1996.7.1-7.7 東京 六本木自由劇場 階段下座席=開演5分前入場
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●六本木自由劇場閉館[こけらあげ]記念公演 怪しい興行「ダム・ウェイター」
1996.7.1 -7.7 東京六本木自由劇場
原作 ハロルド・ピンター  訳 喜志哲雄
出演 串田和美 笹野高史

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