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2019.05.14

【芝居】「ランチタイムセミナー」ジャブジャブサーキット

2019.4.27 18:30 [CoRich]

1997年初演作を22年振り再演。4月29日まで、スズナリ。105分。

武装グループに占拠された大使館。人質の拘留は長期間に及び、人質たちは持て余す時間を麻雀などについやしたり、勉強会のようなことをしたり。あるいは武装グループと会話を日常的に交わすようになっていた。外では突入による解決を図る計画が進んでいた。

1996年のペルー大使館占拠事件。初演時すでに大人だったワタシですが、当時じっさいのところ断片的な単語の覚えはあってもどういうことが起きていたかはあまりわかっていなかったワタシです。いまさらながらwikipediaの記載、あるいはきちんとアーカイブがあるまともだった時代の外務省のページを読み耽ると、大使館の中で人々がどうしていたかを丁寧に、しかし存分に想像力を働かせて史実の隙間を描いた物語だとわかるのです。 あくまで内側の視点、外で何が起きていたかは多くのアーカイブからわかるけれど、その情報が見えない内側で人々がどうしていたかを描くことに拘ることで、外側で起きている緊迫感とは明確に違う内側のどこかゆるやかな時間、突入によってその外側との緊迫感の落差が露わになることでその二つの時間の流れが同じ場所に並行してあったという事実を思い知るのです。

占拠していた側の殆どは亡くなり、一年後廃墟となったその場所で人質だった一人がそこに居た人々と不思議な時間があったことを思い出す終幕。明確にあのときに心が通じたような気がしたけれど、しかし立場の違いは明確に生死を分けたし、そこを埋めることは出来なかったという事実は冷酷に存在しているのです。

初演のころとは随分時代が変わりました。ネットなどのコミュニケーションの手段は格段に増え、テロはもっと先鋭的になりました。長期間の占拠と限られた外界との通信手段という条件の中、それゆえに成立したゆるやかな会話など、武装勢力と人質たちという敵対するはずの関係ですら真剣に向き合いコミュニケーションを図っていたのだということはある種牧歌的にすら感じられるのに、それをうらやましくすら感じてしまう自分をみつけるのです。それはあまり言葉を交わすことを真剣に向き合わないワタシも含めたイマドキ、私たちは進歩してるのだろうか、と思うのです。

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