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2019.03.14

【芝居】「ワンダーランド、跡地」遠吠え

2019.3.2 15:00 [CoRich]

3日まで王子小劇場。105分。

南の島、リゾートとして栄えた場所、鳥類園の大量のクジャクが飛び立ち消えた日から、ホテルは閉まり人出はどんどん減っていった。両親の残した旅館を改装して娘がシェアハウスにして大家として住んでいる。引きこもったまま出てこな女はクジャクを逃がしたと噂されている。別の女は子供の頃大家と同級生で友達だったのにある日突然居なくなった パン屋を開くために引っ越してきた男は店を探している。この家で飼われていて死んだ犬の姿が何故か見える。死んだ犬の供養パーティを毎年開いていて、住人の他、隣に住む男女よくこの家を訪れている。互いに軽口を叩くが女は記憶が失われつつある。<
人が突然消えることが頻発していて「ぽっかり」と呼ばれている。

リゾートだった場所が寂れていき、人も消えたりして徐々に消えゆくある場所。あるいは子どもの頃に目の前から突然消えてしまったけれど長い時を経て再開した友達、死んだのにその場に居続けてる犬の幽霊。ミステリーあるいはファンタジー仕立ての舞台設定だし不思議なことも起こるのだけれど、実際のところはちょっとコミュニケーションのぎこちない人々の共同生活、消えゆく町でゆるやかな死を待っているかのような人々の物語になっています。

子どもの頃、親友だと思っていたのに蜜柑を盗んだ翌日に突然姿を消した女だったり、大家に好意を寄せているらしい女は失いたくない気持ちが不器用に現れてしまう女だったり。そもそも時々人が消えたりと人が消えること、忘れることなどが物語のさまざまな場所にいろいろな形で姿を現すのです。物語としてとらえると、わりとバラバラに起こることが唐突な感じはあるので不思議な感じなのですが、そういう重奏低音みたいなものがずっと流れていることが物語の雰囲気を作るのです。

物語の語り部を兼ねる犬もまた、その消えること、忘れることを背負います。キャラクタとしては甲高い声でコミカルだけれど、物語をすすめるうちに消えゆく彼女の存在が愛おしいのです。演じたゆかりごはんはそのキャラクタをしっかりと背負います。

同じように消える、という意味では隣に住む男女の姿もまた、記憶を亡くしつつある女とそれを憎まれ口で会話する男の存在も同じですが、長い時間をかけて培った二人の姿はこの物語の中では奥行きを感じさせるのです。演じた谷田奈生と高山五月の造型の解像度は高く細やかなのです。

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