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2019.02.01

【劇作家大会】「メゾン」 劇作家協会 (みんなで劇場へ行こう〜アクセシビリティの可能性)

2019.1.25 15:00

大分の劇作家大会のプログラムのひとつ。 さまざまな障碍に対して情報保障やアクセスのありかたを実演とシンポジウムという組み合わせで。30分ほどの芝居とシンポジウムで2時間ほど。

子供が生まれた夫婦、35年ローンで買ったマンション。子供の成長とともに親との関係も変化する。ある日、母親に癌が見つかるが、完治するまでは子供に知らせないとして隠し通すことを決める。

第一部は情報保障がなされた30分ほどの短編の上演。第二部は身体障碍者の劇場へのアクセス、視覚聴覚の障碍に対するサポート(情報保障)を含む劇場とアクセシビリティにまつわるシンポジウムという構成になっています。

まずは芝居、アクセシビリティ以外の部分について。 3人の芝居、ごくシンプルに夫婦と子供、子供が生まれ家を背負うまでの日々。母親の癌というトピックスは盛り込まれるものの、じっさいのところビックリするようなことは起こらなくて、物語はごくシンプルでまっすぐ進みます。生まれ育て、あるいは死ぬという時間の流れを丁寧かつシンプルに描きます。視線はあくまでも優しく、子供を育てたという経験を持つ人にこそシンクロしそうに思います。

今回の上演は、およそ考えられる情報保障を全部入れていて、舞台の上は上演以外の要素がたくさん乗っていて、まさにショーケースという感じがします。リアルタイムの音声解説と手話通訳、舞台上の字幕表示、手元のタブレット端末での字幕表示の4種類が同時進行で。

音声解説は位置関係などト書き的なものなど、最初から設定されているものを主体に。字幕にも音声解説の内容を出そうとしたからかもしれません。これは音声解説がやってることが視覚障害の人に見えるように、という今回のイベントのための措置だと思うけれど。

字幕は台詞中心で、私も何度か上演で目にしたことがあるようなもの。英語に対する日本語字幕という感じがちかいかもしれません。タイミングのみリアルタイムであわせているよう。手話通訳は台詞を中心に舞台の上を動き回り時に俳優の間に入ったり目線が交差したりと、かなり積極的に「観るべき場所」をガイドしつつこの作品の作演をやっている本人だからこそできるという感はあるけれど、パフォーマンスの一部になっていて、単に横に立つ手話通訳とは雰囲気が異なります。

シンポジウムはNPO代表・廣川麻子、手話ガイド・作家の米内山陽子、音声ガイド・檀鼓太郎、一般の立場としての作家・わかぎゑふ、車椅子の作家・はしぐちしん、司会・瀬戸山美咲で構成。リアルタイムの字幕翻訳を行うために4人構成の「要約筆記」のチーム、スマホアプリ・UDトーク+編集担当、手話通訳でこの部分も情報保障を行います。

身体の障碍については、 特に小劇場の場合は車椅子でのアクセスの厳しさ、とりわけ劇場の中での座席迄の導線や、位置が選べなかったりというあたりの現状の共有が行われ、 情報保障に関しては、今回のような多くの手段が用意されることは少ない現状であること、海外では公演期間中に何日かいくつかの手段の情報保障が用意される例も多いことが紹介されました。日本のいくつかの劇団で行われている脚本の借用はこれらの手段が用意できない時の次善の策ではあるものの、無いよりはずっといいこと、しかしながら開演1時間前に貸し出し、開演前に返却という厳しいところもあるなど、なかなか厳しいところもあるということが共有されました。

そもそも演劇は多様な人々が生きていることを表現するもので、その中には叶わないけれど、そういう人生があるというものを観たい人もいるし、自分はそういう目に遭わなかったけれど、そういう人が私たちの隣人に居るのだということをちゃんと心に刻むこと。表現と観客、両方がちゃんと交われるようにアクセスの方法を作り出していく、ということは当たり前なのだけど、コストもかかるものなのでなかなか厳しいとおもいつつ、でも、やんないとね。と思うのです。

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