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2018.10.25

【イベント】「菜ノ獣 –sai no kemono–』」(月いちリーディング 2018/10)劇作家協会

2018.10.13 18:00 [CoRich]

劇作家協会の月いちリーディング企画。本編120分ほど。戯曲冒頭部が公開されています。

農務局の施設「ファーム」で行方不明になった同僚を探す特命を受けた職員の男は、上司が指定した謎めいた男を率いてファームに研修と称して訪れる。そこは人間型の植物・食用のベジタブルマンの栽培が実用化さていれるが、問題がある個体を是正するために集められる研究施設だった。

行方不明になった同僚、それを探す謎めいた男などミステリめいた道具立て。人間型の食用植物というSFの設定のもと、実はその奥に隠された機密が、という物語。ぱっと見には人間そのもので、動くし話もするし、セックスだって人間並、という設定は、コミカルに描かれていて、食用から性的な目的、あるいは臓器提供や兵士など、つぎから次へと人型であるがために隠されている用途が明らかになる仕掛けなのですが、じっさいのところ、最初の食用が相当にグロテスクなので、そのあとに明らかになることが相対的にビックリ度合いが少ないのは痛し痒し。

生きることに疑問を感じたり、食用であることに疑問を感じたり、あるいは歌や詩を考えたり歌ったりということを厳しく制限すること、その行き着く先が兵士であること、あるいは人間を改造してベジタブルマンに仕立てるなど、ちょっとSFめいてはいるけれど、私たちの現実からの地続きに子供たちに対する教育の怖さみたいなものにも繋がるように描かれていて、風刺の雰囲気を纏います。

いっぽうで、女性型のベジタブルマンが男と見ると「ご奉仕」をしようとするというつくりは、確かにコミカルだけれどそれが作られた「ベジタブルマン」という設定だということを割り引いても、実はそうとうに危ういバランスのところ。終演後のディスカッションにおいて、「人間ではないが女性型のモノであるなら、男はそれを性的に陵辱するもので当然だ」という感想をなんの疑問も感じずに述べる観客に強い衝撃とショックを受けるワタシです。それぐらいに危ういところのバランスだと思うのです。

これも終演後のディスカッション、終盤で議論になったのですが、人工的に作り出したものなのに、食用のものを人間型に作り出す世界観に説得力が欲しいところ、というのはワタシも同感で、そういう形にしか作れなかった技術的な限界とか、実は全て人間を改造して作っているとか、実は最初が兵器として作ったものを食用に転用しているなど、違和感の逃げ道があるとすんなりこのSF的な世界に溶け込めるかなとも思うのです。

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