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2018.07.14

【芝居】「ブロウクン・コンソート」パラドックス定数

2018.7.1 14:00 [CoRich]

2010年初演作。 7月1日までシアター風姿花伝。

知恵遅れの兄(小野)を支え、町工場で拳銃を密造する弟。出入りしていたヤクザが逮捕されて13年が経ち、出所してきた。13年を支えてきたのは弟分、警察とうまくやってきた。殺し屋だという非常勤講師(生津=素人)も出入りしている。

何人かでまわしていた工場も今は兄弟二人、一人にはしておけず面倒をみなければいけない状態の兄との二人暮らし。精度の高い加工技術を持つ職人が生きていくため、しかしそれが面白くて銃の加工をする。兄も手伝うが主導する弟は銃の精度を左右する銃身を削る加工は自分でやっていて。ヤクザ社会の兄貴と弟分のシノギの考え方の違いが混乱を持ち込んでいて。警察もこの工場で何が起きているかは分かっていて時に利己として、時にもっと大きなヤマのために利用している。この小さな工場に出入りする男たちの濃密な物語なのです。

それもこれも、この場所にある圧倒的な職人の技術が人を集め、それは時に良くないことを起こしつつ、暮らしていくこと。

二人の刑事の正義に対する姿勢、二人のヤクザのパワーバランス、二人の兄弟の葛藤。それぞれの関係が変化しながら、死と隣り合わせで、その生き方しかないこと、そのバランスの中で追い越されることの恐れが見え隠れするのです。いわゆる知恵遅れ、止められていたけれど銃身を削ってしまうこと、その精度の高さ。あるいは兄貴分が一挙に広げ大儲けしようとするのに対して弟は目立たずに続けることを選んでいたり、13年前も何かを企んでいたり。ヤクザに繋がる刑事たちの正義と腐敗のせめぎ合い。何かの大きな物語と云うよりは、そういって生きている人々を濃密に描き出すことが本当に居るかもしれない人が立ち現れるのです。

そういえば初演は渋谷、青山学院の大学生という設定で少々チャラい感じだった自称殺し屋は、再演の場所に合わせてか、目白駅前の大学の教員と変化。少々地味に見えて冷静でフラットにあり続ける造型に変化しているなんてのも、再演の楽しみ。

兄貴分を演じた渡辺芳博は粗雑さを、弟分を演じた今里真はサラリーマンのような細やかさの二面、年上の刑事を演じた森田ガンツは裏も表も知り尽くしたタヌキ、若い刑事を演じた加藤敦は正義が悪貨に駆逐されていくさまを絶妙に。大学教員を演じた生津徹はしゅっとしてカッコイイ。弟を演じた井内勇希は全てを背負って懸命に生きる男、いわゆる知恵遅れの兄を演じた小野ゆたかは一歩間違えればかなりよくない演出になりかねないところを、きちんと踏みとどまる確かな力。

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