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2018.05.04

【芝居】「Farewell(フェアウェル)」松本紀保P

2018.4.14 14:00 [CoRich]

松本紀保のユニット、ワタシは初見です。4月15日までサンモールスタジオ。110分。

40歳になって結婚したのにほどなくして離婚し地元に戻った女。中学の頃の同級生の男が営む喫茶店とその妻が営むスナックでアルバイトをするが、言い寄る喫茶店主にはなびかないし、堕ちた暮らしは受け入れられない。元夫がよりを戻そうと訪ねてくるがその気はない。
まじめそうな男と知り合いになり、雰囲気もいいのでつきあおうと考える。

職場の不倫ばかりでまっとうな恋をしないまま40過ぎで結婚したのにすぐに離婚し、地元に戻ってぱっとしないアルバイトでくすんだ暮らしをしている女を軸に。別れたのに引きずる夫と自己肯定力の低い恋人、喫茶店とスナックを営むげすびた夫婦。少し若い世代のAV嬢の常連客、元夫に恋心を抱いていた後輩、木訥とした新しい恋人らによって描かれる核は、器用に生きられない人々の点描。

終盤で離婚の原因が語られるけれど、それは本当に些細なことで、毎日生けていた花に気づいてくれないことと、変えなくていいなら一足跳びに花瓶を捨てようと思う女とそこまでしなくていいという夫。 大人だからこそ喧嘩らしい喧嘩をしないままに結婚し、穏やかな日々を暮らしていたけれど、この些細な違いがどうしても違和感になって別れを切り出した妻とそれになっとくできない夫。 かといって、次に出会った男は穏やかでやさしくみえるが、一緒になってみれば暴力的で、むしろ冷たい目でみられることが女の魅力なのだといいだしたりもして。

喫茶店とスナックの夫婦はスケベで口は悪いしなにかがさつで喧嘩ばかりしているけれど別れる気配がなかったり、元夫の恋人はどうしても元妻のことが気になってしまったり。中年男女は結婚しても独身でも、あるいは恋人どうしでもそれぞれに積み重なった癖があってなかなか面倒くさいものだということをじつはいろいろな角度で描いていてなかなかにほろ苦いのです。 喧嘩をしている男女はなんだかんだ別れないけれど、喧嘩をしていない男女二組はどうにもうまくいかない感じになっているのはどこか象徴的な感じもありますが、そういうことを啓蒙するような芝居ではありませんから、いろいろな男女や年齢のありかたを点描して描いているというイメージが強いのです。

元夫を演じた伊達暁のカッコイイのにどこか粘着な雰囲気の奥行き。喫茶店とスナックを営む夫婦を演じた久保貫太郎と柿丸美智恵は格好悪い中年という感じだけれど、むしろこちら側のワタシとしては、細やかに描かれた二人が説得力なのです。元夫の恋人を演じた異儀田夏葉、幸せに向かっているはずなのに微妙に幸薄さみたいな雰囲気を纏ってしまう役が多いのはワタシはちょっと哀しいけれど、もちろんきっちりとした造型。AV嬢を演じた斉藤ナツ子は物静かだけど感受性豊かな感じでちょっとふわっとした美しさが似合います。木訥な男を演じた山田百次はそのあとの豹変との振り幅が圧巻で強烈な印象を残します。プロデューサーも兼ね主演となった松本紀保もまた幸薄い造型だけれど強い自己肯定力を持ち続ける力強さ。終盤での長い台詞は圧巻だけれど、これ全部語っちゃうのが芝居というフォーマットでいいことなのか、はちょいと迷うワタシです。

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