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2018.04.19

【芝居】「焔~ほむら~」JACROW

2018.3.31 19:00 [CoRich]

2015年作から繋がり、電池メーカーと自動車メーカーを舞台に仕事を巡る物語。

電池メーカーが2年かけた改良で400kmを達成した電気自動車だが、会社は500kmの仕様での発売を決め、さらなる改良を電池メーカーに求めるが、改良は思うように進まない。元請けの担当者はその要求が無理なことをわっているが決定は覆らない。上司は契約をタテに不履行の行方を脅す。
下請けである電池メーカーの宇都宮の工場、設計は懸命に頑張るが本社からの出向が上層を固めプロジェクトの必達という結果だけをメンバーに求め、忖度して測定データの偽装をしないかと持ちかける。

物語は測定データの偽装がどうなされたかを、取引会社間、会社の親子間、上司部下といういくつかのパワーバランスの間で描きます。 開幕は記者会見で頭を下げる人々、その偽装がバレたところだけれど、物語の骨子はそこに至るまでのそれぞれの正義と事情。 現場の技術者がやむにやまれずやってしまったこと、というよりは幾重にも折り重なった構造の問題としての力関係と忖度によって起こった偽装。パワーバランスによってできることになってしまうことと、(少なくともこれらの会社には、時間軸含めて)技術的には無理なことが混同されていること。ここまであからさまにダメなやりかたはそうそうないだろうけれど、それでも、そういう要求とそれが達成されないときにどう振る舞うか、ということはワタシだって、状況がコレならばそうしてしまうかもしれない、というぐらいのリアリティが怖い。

親会社子会社それぞれに、産休あけと産休に入る二人の女性が居るのももう一つの構造。親会社の産休あけの女性にはバツイチで上昇志向の強い女上司という関係でパワハラを、産休に入る女性はその理不尽さに対して会社を辞める選択の凛々しさを対比して描くのです。

現場と親会社をつなぐ唯一の理解者であるはずの男もその思いは聞き入れられず、会社をやめ、仕事をともにしてきた子会社で冷や飯を食う男の許へという終幕は切なく、しかし人々の想いの希望なのです。

元請けの車メーカー、元エンジニアで女性初の役員と目される部長を演じた佐々木なふみは、ヒールで居続け、しかも負けずに歩む力強さ、彼女もまた働く現場の現実。部下だが実は恋人を演じた芦原健介はイラッとさせる口調が絶妙で、こういう人居る、みたいな。現場の側だった筈の次長を演じた谷仲恵輔はふわふわと、しかし自身の出世が決まれば会社側に寝返るのもありそうなはなし。下請けで産休に入る女性エンジニアを演じた堤千穂はふわっとした雰囲気だけれど、正義を通す凜々しさ。 プロジェクトリーダーとして下請けに赴く男を演じた菅野貴夫はギリギリのところで頑張る正義に手に汗をにぎらせる力。下請けの電池メーカーの技術者を演じた小平伸一郎との二人の終幕が実に美しくて、希望に溢れるのです。

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