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2018.03.31

【芝居】「プープーソング」劇団きらら

2018.3.17 15:00 [CoRich]

熊本の劇団・きららの東京公演。105分。18日まで北とぴあ・カナリアホール。

葬式や結婚式、恋人などを代行する仕事をはじめた男。ある結婚式で同業者と見破った男は何かと世話を焼きたがり、事務所を通さないオイシイ仕事に誘われる。
女は一億を当てた宝くじの引き取りと兄の葬式を天秤にかけて宝くじをとってしまったことを後悔している。もらった金はわずかな間にほとんど亡くなっている。やっと結婚できた兄の妻に謝罪しにいくのについてきてほしいという。ずっと一人暮らしだった兄が住んでいた実家はもうかなり痛んで来ていて、近隣は空き家にすることも許さず、残された若い妻は離婚したいのだという。もともと仕事が長続きせず専業主婦にしてもらうことを条件に結婚を決めたのだった。

主宰の挨拶から緩やかに始まる芝居、素舞台に並んだ箱馬、全ての役者が舞台上にずっと居続けて、少ない人数で自在に場面を切り替える劇団の持ち味はそのまま。兄が住み残ったた実家のしまい方を核にしながら、残された嫁、顔を顔を合わせづらい妹、その踏ん切りを付けるため依頼した代行業の男たち。 ごく少ない人数のそれぞれの背景を鮮やかに折り込みながら、ごく短い時間で濃密に語る物語は味わい深いのです。 それは 東京に出てバンドを追いかけていたら何も成し遂げられないまま30を過ぎ父も兄も亡くした後悔を持つ女、マルチ商法で騙した人々を救うために借金を背負った代行業のイケメンの男、スタントの役者だが怪我を治すために代行業をしている年上の男、あるいは明太子を作る仕事を手始めにあらゆる仕事でバグり専業主婦になることで生き延びた未亡人の女。それぞれにちょっとぶっ飛んだ背景で笑わせながらも、それぞれの事情の中で懸命に生きる人々を実に丁寧に描くのは作家の優しい視線。コミカルなシーンも多く肩の力は抜けながらも、多様な生き方をする人々がいる社会のある種の多幸感すら感じるのは、世間が多様性を許しづらくなってると感じるからかもしれません。

挟まれる物語もそれぞれに面白くて、妹と妻が亡くなった男がこのぼろ屋で何を考えて暮らしていたのだろうと想いを馳せるシーンだったり、年上の代行業の男がピンサロで火事に遭い自分だけは助かったが40人の女の子が亡くなったこと、その客の一人の行動がとりあげられ罰にあったのだという心無い噂話に怒ることだったり。それぞれに一本の芝居になりそうな断片なのです。

久々に実家に戻る女を演じたオニムラルミはちょっと情けなく親しみやすい造型で物語を展開。イケメンの代行業の男を演じた寺川長はマルチというバイトをしていたのにいろいろ背負い込んでしまういい人な感じ。年上の代行業の男を演じた高松良成は飄々として、しかし売れないまま年齢を重ねた役者の負い目、あるいはピンサロの話への怒りの人間臭さも良い味わいなのです。残された若い妻を演じた、はまもとゆうかのエキセントリックな造型だけれど、可愛らしく目が離せない魅力。作演を兼ねる池田美樹の軽やかになたたずまいが安心感。

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