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2018.03.25

【芝居】「何しても不謹慎」箱庭円舞曲

2018.3.11 14:00 [CoRich]

13日まで駅前劇場。

東北の町内、商工会館の会議室。正月七日に開かれている七日市実行委員会の月例会議。今年は委員会メンバーの若返りが図られ、3月の会議では盛り上がらない祭りを止めようという話でまとまりかけるが、翌月の会議を経ていつのまにか開催が前提で話が進んでいる。気が進まない担当者や嫌な思いをする人がいるなら開催すべきではないと強硬に主張するメンバーがいたりもする。
大きな被害はないものの、近くの山が噴火し噴石に当たったメンバーが死んでしまったりもしている。開催可否が紛糾し全町民へのアンケートを実施するまでになるが、その結果も賛否僅差で、賛成のまま進もうとする

きっちり格好いい仕事の現場を描くことが多い (1, 2, 3) 作家ですが、今作はちょっと雰囲気が違います。小さな町、イベントの実行委員会の人々、盛り上がるでもなく、止めるという決議もあっさり覆ったり、ぐだぐだに踊る会議。ごく小さいコミュニティの中だから会議の議題だけではなくて、日々の生活にも密着していて、不倫を疑われたり、あるいはみんなが知ってる女癖の悪さだったり。そこに外部から引っ越してきた人もまた、ゆるやかにその場所で生きていくために変化していったり。

序盤ではそのイベント自体を無くすと言う結論だったはずなのに、 だらだらとした会議を何回か繰り返すうち、結論がひっくり返ったり、噴火によって被害を被ったりと状況は徐々に変化して。貸したくない駐車場も貸すことになったり、終幕ではほぼ前回と何も変わらないだろうイベントが行われる当日、不思議と連帯感と達成感は得られたり。きっと来年もまたこんな感じなんだろうなと思わせます。

青年団の名作「忠臣蔵」( 1, 2, 3, 4, 5)で描かれるような ゆるやかな合意形成の日本人っぽさが目立つけれど、小さな町ゆえの 噴火や高齢化に伴って店を閉じたりコミュニティが縮小していくということと言う点では 「未開の議場」(1)や 「そして怒濤の伏線回収」(1) にも出てくるような要素も多く散りばめられます。 それは痴呆が入ってもう刃物を持たせられなくなった美容師の母親のことであったり、 引っ越してきてお洒落なドーナツ屋を始めたけれど迷走してトンカツ屋になったり、あるいは この小さな町の中でのバイセクシャルの存在感など、硬軟取り混ぜたアイテムが興味深いのです。

進まない会議の幹になっているのは、人々の意見をすべてくむことはできないし、聞いて気にしていたら何も進まない。ある意志をもって、他の要素も多すぎる。かといって、少数意見をばっさり切り捨てるほどには大きくないコミュニティ。そういう中でどう合意形成するか、あるいは合意形成のためにどこまで人々がバックグランドやルールを共有できているかということだったりもして、自分に引き入れて考えると実際の処、ワタシだって変わらないなぁと思ったりするのです。これが正しいという啓蒙でもないのが、ワタシの視線と同じ高さにあるよう。

母親の美容院を閉めることを決めた独身の娘を演じた辻沢綾香は実に現実の生活を送っている、という説得力のある造型。鷹揚だけれどちょっと偉そうな米屋を演じた久保貫太郎はオヤジっぽさが楽しい。 口調がイラッとするけれど父親を単身介護してるという一面もあったりする若者を演じた佐藤修作の口調の苛つかせかたがちょっとすごい。独身でモテる商工会職員を演じた若狭勝也は、その爽やかさと裏腹の女癖の悪さがヤケに説得力だったりもするのです。その相手の女を演じた藤田直美の華やかさも印象的。

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