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2018.02.03

【芝居】「1万円の使いみち」monophonic orchestra

2018.1.21 17:00 [CoRich]

2013年初演作を大幅に改訂。21日までGeki地下Liberty。110分。

新宿駅で落ちた一万円札を拾った女、落とした男を探すことにする。 女はプロジェクトが頓挫したばかり。男は道行く人に一万円を渡しそれを使い切る過程のドキュメンタリーを撮っている。

元々は男二人のロードムービー風だった記憶で、今作は人数が増えたせいかかなり構造を変えた印象があります。特別な意味をもつ一万円札をつかったドキュメンタリーを撮影したい男をめぐる昔の恋人や気にかけている女性の知人の軸、拾った一万円の落とし主を探す女が仕事で挫折し、かつての恋人や断絶状態になっていた兄との再会とう軸、男が探した一万円を使い切る女は一方的な恋心を抱く男に会いに行く軸。一本の道ではなく、一万円札によってつながった人々がネットワークのように複雑に絡み、より合わされていく複雑な物語に進化した印象があります。

初演とそう変わらない上演時間に対してかなり複雑になっているわりに、見やすさは変わりません。むしろ「落とした側」と「拾った側」として人物の要素を分担させたのが新たな企みになっています。 それは、物語の時間軸のずれを巧妙に隠して語り始め、それが徐々にシンクロするようになっていくさまだったりして、見ていて気持ちよくなるのです。

時にコミカルに、時に重くシリアスな、それぞれの過去に残してきたこととそれぞれに向き合うのは初演からの物語の骨格。気になっていたけれど解決できなかったことが、一歩踏み出したりしばらくぶりに会う人によって解決に向かって、気持ちの折り合いをつけていくのです。
その問題に自発的に向き合ったというよりは、むしろ逃げていたぐらいの距離感の問題に偶然向き合うざるをえない状況に追い込まれ、そしてゆっくりと溶けるように解決していく様は登場人物に対して実に優しい視線が嬉しいアタシです。

初演から続投、ドキュメンタリーを撮る男を演じた大石憲、亡くなった恋人に囚われる素敵なシーンは初演のままに。全体としては物語を見守るように優しく変化した印象。一万円を拾った女を演じた渡邊安理、会社のプロジェクトリーダーという役を超えてその先の挫折まで違和感なく演じるようになった、と驚き感慨まで勝手に感じるアタシです。その同僚を演じた森崎健吾は登場人物たちのエモーショナルさからは距離を取り、いちばんフラットに観客のフラットな視点でいる役をしっかりと不安なく。

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