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2018.01.17

【芝居】「シンクロニシティ2018∞」サンモールスタジオP

2018.1.7 14:00 [CoRich]

115分。9日までサンモールスタジオ。

チェーンの店舗開発の売り込みも受けている個人経営のコンビニ。バレンタインデーのある日、銃を突きつけ金を要求する男。腰が引けている上に客の一人に早々に正体がばれ警察にも取り囲まれ自首しようとする。元ラジオマンの男が客の一人に人気ネットアイドルが居ることに気づき、生放送の番組に取り上げたらおもしろいと考え、自首を思いとどまらせる。さらに盛り上げるためにテロリストの犯行として、秘匿されたある予言の公開を迫る声明を出す。

つぶれかけたコンビニののんびりした日常から突然起こる強盗事件、さらには被害者であるはずの監禁されているメンバーまでもが事件をどんどん大きくする悪のりは、やがて風水や宗教にかかわった奇妙な一致を見せていきます。ラジオDJや店長、あるいはバイトの人々という日常からコンビニ強盗、ネットアイドル、風水に詳しい中国人、敬虔なキリスト教徒を巻き込んだ共通点はタイトルにつながるのです。

やがて、それは小さなコンビニで起きた小さな事が波及するバタフライエフェクトでもあって、オオゴトになっていきます。実際のところ、小さな日常から事件になるばかりかエライことにスケールしていく様は、ファンタジーとも云えるほど少々やり過ぎに感じないこともないけれど、そんなことが起こるかも、というのをCG一つ使わず、小劇場の芝居で作り上げちゃう、という心意気やよし、なのです。

(ネタバレかも)

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2018.01.16

2017年は190本の観劇でした

年が変わって半月も経ってやっとこさ2017年分の感想を片付けました。

かつてはベストテン選んだり一覧表作ったりはしてましたが、最近はすっかりとそれもやらなくなっちゃいました。2017年は演劇が190本でした。(2013年から210→224→212→193ときてるので微減が続いています。

ちなみに映画は7本でした「ドリーム」がとりわけ出色。ライブは3本。

ことしもよろしくお願いいたします。

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【芝居】「gaku-GAY-kai 2017 贋作・夏の夜の夢」フライングステージ

2017.12.29 18:30 [CoRich]

毎年の恒例企画。20周年。演劇120分+ショー100分。30日まで雑遊。

(第一部)
ホストとドラアグクイーンで分断された町、それぞれのリーダーが結婚を決める。その仲間の若い四人の男女が御苑の森で妖精たちによって不思議な体験をする。町人たちは、結婚の祝いのために演劇を夢見る少女の芝居を練習するために御苑の森にやってくる。「贋作・夏の夜の夢」

(第二部)

  • 2曲+オリジナル曲「アイハラミホ。の驚愕!ダイナマイトパワフル歌謡パフォーマンスしょー」アイハラミホ
  • しりこ玉の話し、ここがちゅるちゅるしてて痙攣してる、耳の中の水、青い鳥「佐藤 達のかみしばい 僕の話をきいてください」佐藤 達<..LI>
  • 子供は欲しいが男に嫌悪、子供を捨てる女を見つけ「朗読『水月モニカの百合物語〜家族計画』」水月モニカ
  • 女々しいと馬鹿にされていたアヒルだったが「女優リーディング〜おねえなアヒルの子」関根信一 (sissy duckling)
  • 「Dear My Girl Friend / アガペイズ」芳賀隆宏
  • スーパーの買い物、育てた子供は戦場に旅立つ「防弾エプロン」西山水木
  • レコードがかかり人形が。サイレンが鳴る「小夜子なりきりショウ リヴァイタル:ワスレナグサ」モイラ
  • パジャマ姿のコンビの当て振り「愛のジオラママンボガールズ」ジオラママンボガールズ
  • カバーも歌いながら紅白にも意欲「中森夏奈子のスパンコール・チャイナイト vol.9」中森夏奈子
  • 何かを飛ばし、何でもお見通し「今年もアタシ、第二部で何かやろうかねえ」エスムラルダ

第一部は ホストとドラアグクイーン、新宿御苑、小姓が日体大のマッチョなど二丁目のゲイ界隈の風景を戯画的に下敷きにしつつ、前半はわりとがっつりと「夏夢」を描きます。時に評判のミュージカルや歌手、お笑いのネタやちょい懐かしめの曲も織り交ぜます。ショー的でもあって、もりだくさん。若い男二人が一瞬恋に落ちそうになったりするのもフライングステージ風で楽しい。

さらに「町人たちの芝居」をがっつり膨らませます。人気作のかなりの数の決めシーンを断片的ではあるけれどこちらもかなりの完成度で知ってる人には楽しめるシーンがおなかいっぱいになるほど。元ネタに夏夢のシーンが有名という「アングル」もちょっと倒錯的であってたのしく。

正直に言えばどちらも、わりとがっつり盛りだくさんな上に歌い上げるたりダンスをがっつり見せるシーンも多く、レビューショーの様相を呈しているうえに、結果的には二つの物語を描いていてかなりのボリュームになってしまうために、ちょっと長い感じは否めません。どちらかだけでもかなり楽しめそう。

第二部は、毎度のショー形式で賑やかな演目も多くバラエティ豊か。もっとも2017年は第一部もかなりミュージカルっぽいシーンも多くてそういう意味でレビューショーっぽいので華やかさが一段と。

おなじみの「ダイナマイトパワフル〜」は初めて耳にする、みかんのオリジナル曲とか、ちょっとプライベートというか生活が見え隠れするのもたのしく。

「かみしばい」もいつもの安定。ダイナミックにコマを進めるマンガ風のところもあったりするし、まさかのコマをはみ出すような迫力あるシーンもあったりして新しい展開。

「おねえのアヒル」は翻訳も自分で手がけたようですが多様性を優しい視線で描く良作で、読み手の技量も圧巻。なよなよした鳥が群の中で差別されているがその優しさが銃に撃たれ暖かい土地に旅立てなかった父親を救うことの強さ、最初からそのままでいいと守り続ける母親の存在が印象的で、ごくシンプルに「違うこともそのままありのままでよい」というメッセージが強い。

去年と同じ「防弾エプロン」はあれから世の中どんどんきな臭くなることを実感する年の瀬、モーフィングアニメーションのように豊かに変化するシーンの数々が美しく。

「なりきりショウ」はおなじみの演目だけれどちょっと新鮮な感じ。人形が動き出す、すこしだけ怖い感じも含めて雰囲気のある一本。

こちらも去年とおなじ「マンボガールズ」は賑やかで楽しく。「三番街」の方は曲わかったけど、「ぽいぽい」は何だろう。見つけられず。

「〜スパンコール」は中森明菜の物まねネタだけれど、カバー曲まで彼女が歌うという体裁が徹底していてほっこりたのしい。

「何かやろうかねぇ」は例年のド下ネタは姿を消して少々寂しい気もしますが、ESPカードを当てるのは普通にちゃんとショー。終幕となる「エスムラルダ・デ・マンボ」は紅白での蛍の光と同様、もう音源ほしいぐらいにノリノリで楽しい新アレンジ。

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2018.01.09

【芝居】「スピークイージー」やみ・あがりシアター

2017.12.27 19:30 [CoRich]

禁酒条例が施行された東京を描く物語。12月28日まで、荻窪小劇場。100分。 オリンピックを前に禁酒条例が施行された東京。飲み会でのコミュニケーションが多かった小さな会社の忘年会が同じビルの元居酒屋で開かれる。酒がないままで盛り上がらない。遠くでは禁酒に反発するデモが起きている。 みんな酒が飲めた頃のことばかり思い出す。

国際社会での首相の失態に端を発しオリンピックまでの時限措置としての都内限定での禁酒条例が施行された東京だけれどそれに反対するデモも遠くでは起きていて。いわゆるコンプライアンスゆえに会社の呑み会としてはどうしても酒を出すわけにはいかないけれど、どうにも盛り上がらない会話。一年ぐらい前のこの会社のシーンを挟み、テンション上げのコールも当たり前で呑み会でのコミュニケーションが重視されていた会社だということを描きつつ進みます。

現実の強行採決しそうな政治とかデモとかのありそうな雰囲気をまとい、(今作での成立のロジックとは異なるけれど)現在の少々ヒステリックなほどの嫌煙が完成の暁にはもしかしたら次のターゲットは酒になるんじゃないかという恐怖を感じるアタシには、コミカルな語り口とは裏腹に、ちょっと背筋が寒くなるような感じでもあるのです。

飲みサー出身で飲んでばかりとか、飲み慣れないとか、あるいは飲むことが日常とか、飲んだら記憶がないとかなさまざまな「ありそう」な人々を描くうち、呑み会での会話そのものを覚えて居なくても参加すること自体だったり、参加したことで見えてくる人の雰囲気だったり、素面とは異なるもう一面だったりということがコミュニケーションとしての飲み会の意味だと描きます。

呑み会とコミュニケーションを巡る話を繰り返し、さまざまな人物を描く前半。対して後半は、一口酒を呑んだ後の記憶をすっかり無くす女を視座にしてがらりと雰囲気が変わります。実は亡くなっている男、素面での無口な姿の記憶しかなく、宴席で盛り上がっていた彼の姿を、その女は覚えてないこと、それゆえにまだ葬り去ることもできないままに抱えている男の名残。

宴会を巡る過去と現在の行き来は、なるほど後半で描かれる亡き男がその場に居た生前の姿を描くのだということは後からは理解出来るけれど、正直にいえば少しばかり前半、延々と続く飲み会の風景で物語の行方が見えずもうすこしシンプルだと嬉しく思うワタシです。

冒頭、やけにレベルの高いアカペラなコールがちょっと凄い。専務・あらい日向と共に歌った女社長を演じた木下祐子はやけに可愛らしところもあってちょっとめずらしい。

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2018.01.06

【芝居】「白象」ヤリナゲ

2017.12.24 14:00 [CoRich]

「試験」と題して物語になる以前の「問い」を提出する企画の一回目。24日まで十色庵。50分。

自分は(作家の)越ではなく、浅見だがと名乗る男が箱に入れられ拘束されている。演劇をしている自分は、演劇をすることが社会の役に立つということをいわなければならない。あるいは知的障害者に間違われる自分は健常者でありたいと願ってしまう。

当日パンフによれば、障害者施設での殺害事件を思考の起点に、英語の「白象」が「役に立たないもの」(wikipedia)という意味を持つこと、演劇はそもそも役に立つのかどうか、役に立たないとしたら存在してもよいものかを自問自答するように進みます。

拘束される男、あるいは部屋で一人居る女はどちらも作家である越を名乗り、思いを巡らせています。時に劇団の仲間が誘いに来て閉じこもる作家を連れ出して公園ではしゃぐシーンが挟まったりします。さまざまな思索を続けるけれど、それは結論どころかそれらしいものを提示するでもなく、シーンはあっても物語までには居たって折らず、まさに「問い」を提示するのです。

短い時間のおかげもあるし、箱の拘束やら公園のボートではしゃぐシーンなど、いくつかコミカルだったりもするシーンを巧みに折り込んでいることもあって、物語がないわりには、アタシにしては思いのほかずっとテンションを保ったまま観続けられるのです。生存していいかどうかは社会に対して役に立つかどうかで決めていいか、という問いに対して繰り返し思索を巡らせている姿を、あえて違う役者が演じる「つくりもの」と見せていることも、ワタシにとっては面白いところ。

正直にいえば、これは芝居なのか、あるいはこれをどう捉えて自分の中にとりこめばいいのかまだ決められずにいるし、たぶん決められない気がします。取り上げてられている題材そのものに対するワタシの考えもそうだし、こういう三人で濃密に語るというスタイルについても、ワタシのどこかにひっかかる、という舞台なのです。

拘束されている男を演じた浅見臣樹はほぼ表情と声色だけでコミカルも真剣さも語り尽くす確かなちから。部屋に籠もる作家を演じた三澤さきは部屋着のような感じなのにやけに絵になるし、訪ねてくる男を演じた越寛生とのボートではしゃぐシーンがどこかBLっぽくもあってとても救われる感情をしっかりとワタシに刻みつけるのです。

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2018.01.04

【芝居】「かきあげ団、海へ行く。」かきあげ団

2017.12.23 19:00 [CoRich]

12月24日まで新宿眼科画廊。50分。

地下の部屋、ゲネの時間だというのに受付が来ない。電気はやっと復旧したようだ。団長は鎌倉の海に行きたいという。が団員はこんな時に海に行ってる場合じゃないという。

この劇団の開演直前という直前の時間の雰囲気。ポケモンとかTwitterとかを無節操にはさむ日常の雰囲気。だけれど、受付の男が来ないという物語の始まりは、外では実は大変なことが起きているけれど新宿の地下ではまだ実感を伴わない雰囲気。団長が行きたいという鎌倉の海では大量の死体があるから不謹慎だということが共有されている感じ。物語では明確に語らないけれど、ところどころの音楽はまさに鎌倉の海から上陸した未確認生物の映画を背景に敷いて、しかしその事態に至っても、起きていることは気にかけていても、公演を続けているという危機感のゆるさを描くのです。

しかし、充電をしようとして何度も感電してみたり、ジャンケンとだるまさんが転んだを新しいゲームと称して時間つぶしする二人の姿、なぜかゴドー待ちを思い起こしたりしたり。

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【芝居】「行こう!野ウサギ」日本フィンランド演劇プロジェクト

2017.12.23 15:30 [CoRich]

元フィンランド国立芸術劇場のユハ・マケラと黒澤世莉による共同制作のプロジェクト。フィンランドのベストセラー小説の舞台化、初のフィンランド語から日本語への直接翻訳。 10分の休憩を挟み、140分。 飯能のあと、12月23日まで早稲田・どらま館。

妻との関係もこじれ、職場も行き詰まっている記者をしている男。取材旅行で疲れ切った運転の途中、野ウサギをはねてしまう。野ウサギを探し森に入った男の行方はわからなくなる。
男と野ウサギは朝を迎え、携帯電話を投げ捨て自由になる。 骨折したウサギを医者は踊りで治し、警察につかまりかけるがふとしたきっかけで助かりサウナに入ったり、25年にわたって政権の座にいた大統領にまつわる秘密を知らされたりする。

うさぎ耳をつけた男が登場し舞台と客席、現実と現実にないものの間を曖昧にするようなメタっぽい話しをしながらの幕開け。 仕事も家族もさんざんでうんざりな中年男と野ウサギが出会い、その二人のロードムービーのようにいくつもの不思議な出来事を実にコミカルに詰め込みながら進める物語。おじさんが迷い込む「アリスの不思議な冒険」風味とも感じるアタシです。

日常に戻る「アリス」との違いは、妻は自由になろうと日常を続けるけれど、しかし当のオジサンというか夫は戻らないままに自由を続けていることだけれど、どちらもああ、ワカルワカルと感じる程度にはオジサンのワタシです。小説で人気が出るのもわかるけれど、どこか人を煙に巻くような雰囲気を纏うことも大人向けだなぁと思うのです。

活動を休止した時間堂の役者が観られて嬉しく、尾崎冴子は怪しげな宗教家も楽しく、これで役者業を止めるというヒザイミズキは凛とした妻が神々しくもあり。ウサギを演じた木内コギトは序盤で観客席に浮かぶ疑問符を強引に物語世界に引きずり込む確かなちから、ウサギと旅する男を演じた小谷真一は凝り固まった日常から徐々に解放される感じが気持ちよく。

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2018.01.03

【芝居】「ア・ラ・カルト」遊◎機械

2017.12.19 19:30 [CoRich]

アタシは98年から(たぶん)19年め。 劇団としては28年目をむかえ、去年の池袋から横浜に戻っての、レストランでの上演。21日までモーションブルーヨコハマ。そのあと、近鉄アート館。 30分の休憩を挟み全体で150分。

オープニング「旅するレストラン」
予約をしないで訪れる女、席が偶然空いていて「クリスマスメモリー〜シャンパンの粟のように消えてしまった恋」
若い後輩を連れて「フランス料理とワインを嗜む会〜こよなくワインを愛する僕たちの美味しいワインの薦め方」
歌のレッスンの先生に紹介されて初めて食事をする二人「フランス料理恋のレシピ小事典〜冷蔵庫より愛を込めて」
マダムジュジュがゲストを迎え近況をインタビューしつつ「お喋りなレストラン〜今宵はディナーと貴方と一緒に」
♪ショータイム
老いた男女の友人ふたり、夫と死別した女は娘の家へ引っ越すことにする「アイリッシュ・コーヒー〜いつかまた此処で」
そろそろ閉店、みんなでもう一杯。向こうの席にはあの有名人も居て「マウンテン〜クリスマスの夜は白いカクテルで乾杯」

おととしの横浜と同様、レストランで劇中の食事を観客に提供しながらのスタイル。だいぶ席が整理されて観やすく、食事しやすくな感じ。正直、駅から遠い場所だったり、安くはないチケット、上演時間も長く平日夜は正直厳しいけれど、なるほど客席の年齢も高く 全体のスタイルはいつもの通り。 去年からの移動レストランのスタイルを踏襲して人々が機材を持って集い看板をかけ、一人の女が店を訪れて開幕したあとは、ヤマダが後輩を連れてでたらめシャンソン(懐かしい)を交えて蘊蓄を垂れ、二人のぎこちない会話が恋の予感を思わせ、インタビューとライブを挟み、老いた二人の男女の会話、終幕は再びオープニングの一人の女を囲み。

「〜レシピ小事典」はゲストを挟みカンペを持って話す雰囲気もいつも通り。歌謡教室で何を歌うか、なんてあたりがアドリブの楽しさ。

ショータイム、春風亭昇太はいわゆる小話で始め、最後には金管楽器をきっちり演奏してライブを盛り上げます。「アイリッシュ〜」は、ずっと年齢を重ねてきた男女の友達、夫を亡くし自分の娘が住む街に引っ越すことを決めてのしばしの別れを送り出す会のあと、新幹線の時間までのちょっと時間、というわずかな時間の中での二人きりの時間の豊かさ。

、音楽監督・中西俊博の復帰(リハビリを続けながら)を祝い(担当医師がたまたま客席に)。正直に云えば、ちょっと油が抜けた感じの音楽監督はむしろバランスが良くなったと感じるアタシです。舞台と客席という距離でも毎年、観続けてきたことの嬉しさだってもちろん感じるのです。

演者も客席も年齢を重ね、(ゲストコーナーで)音楽監督・中西俊博の復帰を祝います(担当医師がたまたま客席に)。正直に云えば、少し油が抜けた感じの音楽監督はむしろバランスが良くなったと感じるアタシです。舞台と客席という距離でも毎年、観続けてきたことの嬉しさだってもちろん感じるのです。

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2018.01.01

【芝居】「ティアーズライン」キャラメルボックス

2017.12.16 14:00 [CoRich]

作家の書き下ろしとしては数年ぶりの新作。120分。25日までサンシャイン劇場、そのあと明石。

探偵の男が同僚の無事を確かめに訪れた家には二人を殺すよう依頼された男が待ち伏せていた。記念日なのだという殺し屋は、死にたくない理由を嘘偽りのない話で感動させたら逃がすと約束する。 監禁されていると同僚からの電話を受けて助けに向かった探偵はその部屋の主が大臣の息子で同僚は素行不良や裏カジノへの出入りの証拠をつかむために忍び込んだのだということを知る。 海外旅行に夫婦で出かけていたはずなのに探偵の母親だけが戻ってくる。息子が怖い目にあっている夢をみたので心配になったのだという。

居ないはずの母親が息子を心配して現れるクリスマスの奇跡。心暖まる物語を紡ぐザ・キャラメルボックスな仕上がり。 劇団稽古場にお誘いいただいたり(facebook)もしましたが、セットが建て込まれた劇場で拝見するとずいぶん変わるというのは、芝居をする側ではないワタシには新鮮な体験。倉庫のような雰囲気、ところどころはハードボイルドでアクション多めだったりもして、スピード感ある展開。

様々な想いが描かれる中でとりわけ恋人たちの恋心よりは親が子供を思う気持ちが色濃く描かれていると感じます。母親が遠く離れた息子を心配してピンチを救う奇跡という主軸となる物語に加えて、心配するあまり持てる権力を総動員して行きすぎた手を使ってでも息子を救いたいと願って手を下すもう一人の母親の姿も描かれます。あるいは仕事が長続きしない娘婿と結婚してしまった娘を想う気持ちもまた、母親が気を揉むことなのです。 そういう意味では若者よりもむしろ、年齢を重ね子供を育てた世代にこそミートするかも知れません。もっとも、いい歳をして独り者のアタシにはちょっと遠くかんじるのもまた一面なのですが。

この枠組みの中で描かれる若者たちの姿もまたもう一つの軸で、とても大切な者を亡くし気力を失ったり、何か抗い難いおおきな力で押しつぶされそうになったり、自らのやんちゃさで苦境に陥ったり、あるいは強くはないメンタルゆえに困窮するかも知れないことも、どれも生きがたく理不尽で、そのなかで懸命にもがいています。そんな若者たちを見つめる親たちの視点で描かれていると強く感じてしまうのは、ここで描かれる親たちの方がワタシの世代には近いからかもしれないけれど。

圧倒的に強い殺し屋を演じた阿部丈二は、やけに昭和に拘る豆知識を挟みながら語り部を兼ねます。ややしつこいほどの数字と昭和の蘊蓄はワタシは結構好きだけれど物語に対しての貢献があまりないのは勿体ないところ。ワタシはキライではなくて、コミカルでリズムを作っていて結構捨てがたいのが悩ましい。 調査会社の男を演じた畑中智行は真ん中に居続け物語に翻弄されながら強く前進する主人公をしっかりと。いくつかの殺陣もパワフルで見応え。その同僚を演じた多田直人は深刻な物語を背負いつつ、所々にややお調子者の軽やかさが魅力的で、とりわけ、井の頭線の中での畑中・多田のシーンのわちゃわちゃした感じは微笑ましく楽しい。大臣の妻を演じた坂口理恵は手段を選ばず強健な心臓を持ち合わスジは通すという政治家の妻の姿がどこか今っぽい。用心棒を演じた三浦剛はターミネータを思わせるほどの絶対的な強者として君臨する説得力。 婚約者を演じた森めぐみはちょっとおきゃんで、しかし相手の男の心の支えに鳴り続ける芯の強さをしっかり。

正直に云うと、アタシの友人の感想で「ものがたりが難しい」というのがワタシも感じるところです。一度観てから振り返れば、母が子を想うことで起こった不思議な出来事というシンプルな物語のはずなのに、もう一つの母親の話があったり、恋人を亡くし失意に暮れる男が話し続ける恋人との電話というのもある意味「不思議なこと」だし、ハードボイルド風味だったり、昭和豆知識だったりと、ともかく対等に並べられる要素が多すぎて観ている最中は物語に没入できない感じが残ります。繰り返し観る映像ならそれもいいかもしれないけれど、ほとんどの人が一度きりしか観ない舞台には少々盛りだくさんだと思うのです。

政治家はなんか悪いことをしても権力と金でなんとか隠し通してる、というのは今の私たちの実感によりそう感じもある、というのはワタシの感想のバイアスが強すぎるでしょうか。そういう意味では2017年らしい要素だともおもうのですが。

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【芝居】「脳みそ歩いてる」ワワフラミンゴ

2017.12.16 14:00 [CoRich]

改装されてたいそうきれいになった渋谷のルデコ、17日まで。70分。

びっくりしたり自慢したり大笑いしたりな会話を、アテレコ風にしてみたり、大もうけしたらハンマーでたたいて星がでた人が総取りにしよう。あるいはいつも疲れて寝ちゃう人。言い寄られているとか、ナンパしてみようとか。運動靴がほしくなったり、10年前に出した絵本は売れなかった話とか、歩いてきた脳みそをベタベタとさわろうとしたりとか。

ほぼ2年ぶりの公演。いままでもコミカルで、女子たちがさえずるような笑いが多かった彼女たちですが、今作は全体で一つのながれというよりは、細かな断片を並べたような雰囲気。ナンパを突然指南したり10年前の絵本の話だったり、脳味噌が本当に歩いてきてそれをべたべたさわったりと、緩く突拍子もない、という感じの会話の数々。ワワフラ節としかいいようがない間合いとある種のかわいらしさは健在なのです。

出色なのは、ハンマーでたたかれて星が飛び出るところ、殴られた瞬間、手に握っていた星形の金銀の紙を頭の横からぱあっと飛ばすだけのことなのだけれど、タイミングが実に絶妙で、見ていて楽しい。

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【芝居】「荒れ野」穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース

2017.12.16 14:00 [CoRich]

団地のベランダから見えるニュータウンのショッピングセンター。土壌汚染が判明し空き家が増え再開発は失敗している。そのショッピングセンターが火事になり、周辺へ延焼している。かつてこの団地に住んでいた家族が連絡し避難してくる。
この部屋の主は父親と二人暮らしをしていた女で、長い在宅の看病をして父親を見送り一人になっているが、上階の老人と若い男が頻繁に出入りする日常を過ごしている。

かつてはモテていたが父親との二人暮らしの看病のまま独身のまま歳をとっていた女。避難してきた家族の夫もまたこの女に言い寄っていたことを妻も知っていて、娘に至っては不倫を疑っていて、その娘はかつて、入り浸っている若い男と何かがあって。夫もまた心臓の病を抱えていたりしているし、若い男は老人の教え子でなぜか同居をしていたり。多くはない人数であまりに濃密な小さく凝縮しているコミュニティの距離感が実にいいのです。

歳をとりあまり気を遣わなくなったのか、狭くものがあふれる生活感あふれる部屋(ワタシの部屋のよう)で見えてくる濃密な人々の関係。過去の想いが内面には溢れるけれどなかなか吐き出せないこと、何が正義かを声高に言うのではなくて、老人には老人の、中年には中年の、若者には若者の溜まったものがぐるぐると渦巻く様子。

外からやってきた家族は、両親と子供という「標準的な」家族の姿で、世間一般でいう常識の視点で暮らしていて、もちろんそこにはかなわぬ恋心とか、病気とかの「標準的な」悩みはあります。対してここで暮らす三人はそう変わらない年齢構成でも、他人同士が肩寄せ合ってくらしていて、しかも独身だったり、同性愛だったりと、いわゆる「標準」からはちょっとはずれるように思われる関係で、でもこちらの方が安寧な暮らしをしているようにも見えるのです。

「標準的な」家族のきらきらした若い娘の姿はもしかしたらかつてのこの家主の姿が見えるようです。モテて何でも手に入れられたかもしれない頃。歳をとり、外見的にも生活もどこかくすんでしまったかもしれないし、「標準的」ではなくなったかもしれないけれど、穏やかな日々を手に入れているのです。どちらが幸せか、みたいな二者択一ではなくて、さまざまな暮らし方があるということを、誰にも優しく投げかけるのは作家の視線なのです。

いっぽう、くすんだ生活である団地を抜けてニュータウンに家を建てたのに、そもそも開発が失敗していて町全体として成立しなくなりつつあったり、取り壊すはずの団地から出て行かない住人たちがいて、確実にスラムへの道をあゆみつつあるとか、地方都市ならどこにでもありそうな光景でもあって、これはこれで今の私たちの生活の地続きにあると思うのです。

老人を演じた小林勝也は、飄々として軽やか。しかし気負い無くかつての教え子に対してのある種の責任の取り方がカッコイイ。

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