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2017.08.07

【イベント】「エンゼルウィング・シングルウィングス」(月いちリーディング / 17年7月)

2017.7.22 18:00 [CoRich]

劇作家協会の戯曲ブラッシュアップのためのリーディングとディスカッション。生配信された動画は、YouTubeにもアーカイブされています。

洋タンスの奥がつながった二つの部屋に暮らす一人の女の別々の人生。片方は結婚し親亡き後の実家で夫婦で暮らしていて、もう片方は独身のまま家を処分し分譲マンションを購入した。互いの部屋がつながったことを知り、互いに行き来し友達のように仲良く過ごしたり、病気の時に代わりに仕事にでたりもしているばかりか、区別がつかない夫と独身の女が寝てしまう。
独身の女は後悔し交流を絶つ。一年が絶ち、夫婦が授かった子供を連れて家に戻ってきた日、思い立って独身の女をのぞきにいくと難病にかかった女は倒れていて、そのまま亡き人となったばかりか、子供を宿していた。夫婦は自分の子供と一緒に双子として育てる。年月が経ち母親も痴呆が進み亡くなってしまうが、子供たちは洋タンスの鍵を見つけてもう一つの部屋をみつける。

同じ人物なのに違う人生を歩んでいるというパラレルワールドの設定にぽんと放り込まれます。芝居の上演としては問題にならないものの、結婚して変わった姓で見分けをつけるために、戯曲のト書きがひたすらフルネームになってしまうのはリーディング上演としてはかなりリズムを削ぐ感じがして難しいところ。

前半は二人のそれぞれの状況や生活を描きます。女が結婚している方の世界の夫は、もう片方の世界の(同一人物の)妻をそうとは知らず抱き、あるいは結婚してない方の世界ではその同じ男が後輩の女との関係が続いていたりと、ちょっと捻れた関係もあったり。それは、一幕目の終幕、両方の女に娘が生まれるということに繋がるのです。後半はその娘たちの世代の物語で、偶然に見つけたタンスの奥の別の世界、親の秘密をめぐる謎解きの雰囲気。

前半は最初の驚きこそあるけれど、パラレルワールドそれぞれの生活の行き来みたいな感じで少々平坦ではあります。後半は俄然謎解な感じで物語が盛り上がる感じは確かにあって、女が亡くなったほうの世界で働き続けていた母親の姿が見えてきたり、「父と同一人物」に再開するなど、エビソードが沢山あってもりあがります。

独身の方の別れた「夫」の子供では決してなくて(関係は切れ、後輩の女と恋人になっている)、結婚した方の夫がパラレルワールドそれぞれの世界に作った子供だということを、子供が生まれた時点ではあまり明確に示さないのだけれど、ぶれた解釈を許さず、きちんと穴を塞ぐために丁寧に前半を語っているのだと云うことに気付きます。

二人が同一人物で時空を超えて娘に繋がれるものとして示される「ネギぬた」が印象的。あるいは一幕目で酔っ払いの介抱のために家に寄った会社の同僚たちのシーンもちょっと印象的で、後輩の男がなんとかして恋人に使用と駆け引きするけれどあっさりうっちゃられる感じとかもちょっと楽しい。

終幕、その二つの世界のつながりは唐突に切れてしまうけれど、それぞれの母親の世界に「戻った」娘たちが前向きに生きていく姿は凛々しく、開いたエンディングになっていて清々しいのです。

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