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2017.07.01

【イベント】「三拍子おうち」(月いちリーディング / 17年6月)

2017.6.17 18:00 [CoRich]

本編リーディング65分。神奈川青少年センター。サイトでは戯曲冒頭部(pdf)のほか、当日のリーディング(YouTube)やディスカッション動画(YouTube)も公開されています。

夫に先立たれた後、老婆は一人で暮らし、冷蔵庫と電子レンジが見守っている。子供はある日水道の蛇口が閉められなくなる、入院する。

冷蔵庫に見守られる老婆、あらたにやってくる電子レンジ。夫が生きていたころのことと現在が曖昧になっていく感覚。あるいは子供を通して描かれるのは、それまでできていた蛇口を閉めるという簡単なはずの動作ができなくなっていくことを通して、何かを喪失していくことをすこし客観的な視点で描く印象の物語。

序盤ではサラリーマンと女子大生として描かれている同じ人物が、老婆の部屋の冷蔵庫と電子レンジ、というのはディスカッションによれば舞台ではそのまま人間の姿によって演じられるけれど、リーディングという形では少々わかりにくくなってしまった印象があります。

ディスカッションで、作家は「老い」を描きたかったのだといいます。認知や身体的なこと、あるいは子供を通して描かれるできなくなってしまったことを作家はこの言葉で表します。ゲストはそれを「(機能の)喪失」と表現していて、アタシにはこのほうが腑に落ちる印象。「老い」はどやっても子供の機能の喪失ということを通しては描けないと感じます。が、作家はあくまで「老い」という言葉を使い続ける、この表現する言葉の感覚の違いが顕在化する瞬間は、このリーディングイベントのわくわくする瞬間であり、それを互いに真摯にとらえあい、議論する空間の楽しさなのです。できあがった作品のおもしろさよりもむしろそっちが楽しいこともままあるアタシです。

わりと序盤、母親と息子、雨に降られた子供のカラダが濡れ、タオルでカラダを拭くという何気ない親子の会話のシーンがとても好きです。このシーンが醸し出す包まれるような多幸感、じっさいのところ物語そのものに大きな影響があるわけではないけれど、実にいいシーンなのです。

冷蔵庫がおそらくは老朽化によりエキセントリックに炎上したり、新しくやってきた「若い」電子レンジがこのじめじめした空間を気持ち悪く感じたりという描写はおもしろい。演じた有薗芳記、ハマカワフミエのひとならざるモノを演じる力量のおもしろさ。冷蔵庫なきあと、ルーチンを新たに引き継ぐ電子レンジも、すこしばかりの暖かさ。

「老い」ということば一つで認知、身体的、あるいは子供で描かれるできたことができなくなることをカバーして説明しようとするこだわり。ゲストの「喪失」という提案があっても、この言葉で説明したいこだわり。 母親と息子、雨が降りカラダが濡れ、カラダを拭くことの幸せな空間のせりふがいい。 冷蔵庫がエキセントリックに燃える、動こうとする、ずっと見守ってきた、朝のルーチンをしているぐらいに。初演ではビジネスマンの格好のまま。 電子レンジは壊れ、老婆の夫が修理をあきらめ埋めることを思い出す。居るらしい息子が送ってきて、新しいレンジ、はこの空間の湿っぽさがイヤだ。女子大生の口調 書きたいことの核は何なのかが明確ではなさそう。 したいことを口に出し、それをやらなかった、という台詞、思いとどまることとか。

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