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2017.04.21

【芝居】「机島」ハッカ

2017.4.9 19:00 [CoRich]

元・芝居屋坂道ストア(1)の角ひろみの新作を久々に拝見します。100分。10日まで空洞。

設計事務所の作図部オフィス。社員の女性が自殺し発見される。その女が最後まで社員旅行で行きたがっていた離島への旅行を同僚たちが行くことにする。その島には元の上司が妻とともに移住して設計事務所を開業し、地域の施設をリノベーションをしたり、遍路めぐりのイベントを企画していたりしている。

舞台中央には四つのオフィス用デスクと椅子、その上に漁猟灯が吊られ、ぐるりと囲むように砂浜を思わせる砂、客席は対面に設置されれています。

北関東で震災が起こり、それまでは東京で生活していた人々が離島など地方に移住するという枠組み。今作では妻が安全を求めて移住を希望し引きずられるように夫がついていく、ネットの記事ではリノベーションやイベントで暮らしを満喫している姿が報じられたりするけれど、実際のところは地元のしがらみ、リノベもイベントも名ばかりイマイチのままで不満を鬱積したり夫は夫で浮気を繰り返していたり。元の職場にもその浮気癖の残渣ゆえにつながっている人々。

震災をきっかけに東京から地方に移住し、ある種華々しく成功することを夢見ていても地に足はついていなくてそれは巧くいかないこと、イベントにしようとしている遍路にしてもそもそも昔からあるものではなくて、わりと最近同じように観光資源にしようとして「作られた」もので底の浅いものを一度なぞっているにすぎないこと。あるいはリノベとは名ばかりの空き施設の再利用。東京が地方を見下す視線がどこかに見え隠れしている人々が実際にやってみればうまくいかない現実。あるいは 移住を促進したい地元の若者、安全を大金払って手に入れたい富裕層の外国人がいても受け入れを躊躇すること。いろいろな思惑行き交い、あるいはすれ違うという地方と東京のありかたに気持ちが持って行かれるアタシです。

こういう背景の上に移住した人々と過去につながっていた人々のつながり。それは地方に移ってはいても成功者に見せていた男とそうでもないダメ男の現実で人々の物語を紡ぎます。アタシはどちらかといえば背景と感じた地方と都会という対比のありかたの方が鮮やかに感じられて、その上である人々の物語を薄味に感じるのです。オフィスの女性たちには小説応募、シングルマザー、この男への想いが断ち切れないなどの属性を持ちますが物語にそうからむ感じでもないし、現在の部長は昼行灯という設定だとはいえ、あまりに影が薄く、あるいは中国人ハーフの移住希望者にはその母親がこの島の最後の医師だったという設定だったりと、いろいろに張り巡らせている人物関係や造形をつくくりあげつつも、全体にはどこかベクトルが揃わないように感じられ、勿体ない。もしかしたら物語に対して役が少々多いということかもしれません。

時間堂が解散し初めて拝見する阿波屋鮎美は大人の女性をしっかり、同じく時間堂だった國松卓は若く潑剌とした地元の男、新たな魅力。その母親を演じた木下祐子は少々戯画的に造形しつつ、田舎という場所の人の在り方を背負った役をしっかり。中国人ハーフを演じた小山あずさは美しく、凛としてカッコイイ。

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