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2017.02.22

【芝居】「みんなよるがこわい」贅沢貧乏

2017.2.14 19:00 [CoRich]

横浜で開催のTPAMで上演された再演作。あたしは初見です。50分。15日まで長者町・アートプラネット Chapter2。

雑然とした町で暮らす女。帰宅して布団には入ったものの。ワタシのなかのいろいろがせめぎ合う。もし火事が起きたらどうしよう、泊めてくれる友達は居るだろうか。結婚式に出てなかったり大学辞めて美大落ちてて合わせる顔が無かったり、バイト先は没交渉だし。この前声掛けてきた男の子はどうだろう。電話してみようか。

雑然とした町で一人暮らしの女、その一室を模した舞台。疲れ切って帰宅し、電話でデザイン的な何かの打ち合わせをしたり化粧を落としたりという時間が過ぎて寝床に入ってからが物語のポイント。ベッドの下、三つ並んだ箱の中で電気をつけたり暴れたり。一人の女の心の中の葛藤をあらわすように、時に同調し時に対立した会話。「のーちゃん」と呼ばれる右端(寝ている女の頭側)は、やや理性的だったり臆病な気持ちという色づけはあるけれど、左側、真ん中はそれに比べるとちょっと面白がりだったり、恋心全開だったりという程度の色づけで、三人が明確な役割を与えられているわけではなさそうに思います。それよりむしろ三人、という奇数であることが重要で多数決のバランスが些細なことで変わってバランスが変化していくおもしろさ。

三人の会話からどうも会社大学(ご指摘感謝)を辞めて美大に通ってデザインの仕事をしたいらしいが、今は別のアルバイトで、印刷物のデザインだけでは食っていけてない感じ。その不安定さと、夜一人で居ること、火事で焼け出されたら自分はどうしたらいいのだろうという不安に押しつぶされそうになっている、というこの感覚が物語のベースになっています。この前のあの男の子はどうだろう、という夢想はちょっとほほえましく切実だけれど、火事になるかもという不安はきっかけではあっても、誰かを求めたいという気持ちこそが先にあるんじゃないかという感じがします。

不安だから、それを解消したいから、という「後押し」で一度しか会話をしたことがない男に夜中に電話する後半。相手の男の言葉は聞こえないけれど、相手はどうも自分のことを覚えてないどころか、いろんな女に声をかけてるんじゃないか、というチャラさが見え隠れするのに、ちょっと食い下がって会話しようというのが切実さと、乗りかかった船感を感じられて、好きなシーンなのです。

それにしてもつくづく恋してそれがうまくいかない女の芝居が好きなあたしです。一人の女の内面の葛藤を多数決がうまく働く三人にして、不安故の夜中の電話、という一つの話題で引っ張ったのが巧くて、コンパクトでポータブル、いろんな場所で上演できそうな広がりのある一本なのです。「のーちゃん」を演じた大竹このみのどこか引っ込み思案な感じが可愛らしい。真ん中でいろいろいたずらっぽく思いついちゃう女を演じた田島ゆみかは豊かな表情が楽しい。

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