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2016.08.02

【芝居】「insider(hedge2)」風琴工房

2016.7.23 19:00 [CoRich]

2012年上演のhedgeの登場人物を引継いだ物語。7月31日まで下北沢ハーフムーンホール。

日本初のバイアウトファウンドの次の案件、岡山の回転寿司店の立て直しが軌道に乗った頃に証券取引等監視委員会の特別調査が入る。。値上がり確実な公開買い付け前に情報を内部者が漏らしたおそれがあるのだという。

風琴工房では初めての続編なのだといいます。傷ついた会社を買収し企業価値を高めた上で売却益を得る、という会社存続のありかたは、私にとっては2013年の物語では縁遠い話かと思っていたけれど、あれから3年を経て自分が経験したことが重なってとても身近な出来事として感じられるようになった、というのが大きな変化。というのはもちろんアタシの変化だけれど。

2013年作では熱い男たちの現在進行形の物語を力強く描きました。今作はその会社の人物たちのあのときの熱い思いを回想として挟みつつ、その想いは変わらないまま新しいメンバーを加えて走り続ける会社を舞台に描きます。前作と同じく、いわゆる「第四の壁」を越えるように役者自身のメタな視点での用語解説をする(映画「マネーショート」より先だった)のも同じ雰囲気。

けれど、「働く男」たちが目標に向かって走る物語を描いた前作とは雰囲気が大きく変わった印象があります。リアルタイムで走る物語ではなくて、前作のいくつものシーンを積み重ね今ここに居る人物がどういう人々や関係性を持って歩んできたかを描写している感じがするのです。物語を紡ぐよりは人物を造形することに力点があるのはこの作家ではめずらしくて。作家が登場人物たちをとても愛している、ということがここまで強く見えるのはめずらしく感じられます。

前作のシーンを回想として挿入するシーンがいくつかあります。「回想〜insiderより」という字幕を必ず付けるのはひとつふたつならいいけれど、映像まで使ってみたり、全部にタイトル字幕をつけるのは正直にいえば少々やりすぎな感じがします。それがなくても回想だということがわかるように作られているし、役者だってきちんと切り替わります。むしろ、第一作を観てないひとがこれをみて疎外感を感じるという副作用の方がでてしまうのではないかと危惧するのです。

新しい上演会場を見つけてくるという点でも圧巻の信頼のある劇団(fringe)ですが、今作の下北沢ハーフムーンホールは住宅街にたたずむ、小さなコンサートホールの雰囲気。コンクリート打ちっ放し、ぐるりと弧を描く壁、高い天井が特徴的で、真ん中に据えられたグランドピアノの生演奏での劇伴という迫力が凄いし、映像を大きく映し出すのもカッコイイ。

序盤で金融用語がわからなくても大丈夫、ということコミカルに演じる板垣雄亮は、調査委員となると圧倒的な声の凄みのようなものが印象的。公務員なのに髭はどうかというご愛敬な杉木隆幸のタヌキぷり、下手に出る親しみやすいコミカルな藤尾姦太郎、誠実に話す印象の小平伸一郎それぞれの調査委員たちもまた魅力的。

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