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2016.03.09

【芝居】「いつかの膿」VAICE(ヴァイスあかぼし)

2016.3.4 19:30 [CoRich]

一癖も二癖もある男の俳優ばかり6人の劇団、旗揚げ公演。女優陣をゲストに迎えた100分。6日まで駅前劇場。当日パンフでも、わざわざ二色刷にして赤い星()をつけるちょっとした拘りが楽しい。

40歳以上限定、豪邸を格安の家賃でルームシェアしていた男女。取り壊しが決定して、これまで住んでいた人々が集められ、7人がやってきた。最初の契約でリビングにある豪華なソファを誰かが引き取るか話し合いで決めなければならない。2年分の追加家賃を納めればそれは免除されるが、そうできなかったり、そうしたくなかったり。
住人の一人が自殺しており、その母親はどんな人々と同居していたのかを知りたいとその場に参加する。色恋ごと、虫が合わない人、見て見ぬふりなど、住んでいるときも判ってはいたけれど明らかにはしなかったことが、久しぶりに顔を合わせることであきらかになる。

この座組でこの作演ならば、笑いに溢れるかと思えば思いのほか物語としてはダークに。タイトルの「膿」はそういうことかと思うのです。年齢を重ねれば柔和で暖かい人になるかと思えばそうでもなくて、むしろ昔のあれこれの気持ち、いいモノも悪いモノもあるいは見下していた感情も卑屈になっていた感情も、ない交ぜになって熟成というか発酵して、どんどん陳ねる感じ、それが言えないまま別れ、久しぶりに会ってうっかり発露してしまう、ということが自分の実感としても、あるいはいろんな人々を見ても腑に落ちるのです。歳を重ねることは決して美しいことばかりではない「膿」の部分。

声を張るシーンこそあるけれど、取っ組み合いがあるでもないけれど、オジサンたちが陳ねた気持ちを抱えたままにぶつかり合うということの迫力。ずっと重低音で響いているようで観た直後はぐったりと疲れる感じで後味は決して良くはありません。地味なのにすごく高度に役者の力を存分に使って組み上げているんじゃないか、というのは、あとからジワジワとくるのです。

母を演じた白川和子、同姓同名かと思っていたアタシですが本人。しゃんとしてキッチリと舞台に立つ力強さ。金持ちのお嬢様を演じた小林さやか、男に裏切られて静かにキレるテンションも、それゆえ一歩引いたような、いけ好かない感じもいい味わい。アタシも含め観客業界(あるのか、そんなの)では姫と呼びがちな女優ですが、ほんの少し前の芝居とのギャップも楽しい。ヤリマンというすごい役柄を演じた高橋紀恵はポップな雰囲気がバランスを取っていて、見ていて辛くならなくて勝手に救われたような気になって嬉しくなってしまうアタシなのです。実直な男を演じた省吾、困った顔もその人物造形に寄与していて印象的。

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