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2015.08.19

【芝居】「わが娘」根本宗子

2015.8.14 16:30 [CoRich]

根本宗子が不定期に開催する極小空間でのバー公演。40分。16日までバー夢。

母と娘がママ友と待ち合わせている。母親は厳しく宿題をさせるしドリンクバーでも甘いものは決して飲ませない。娘が一人になった隙をねらい、店員がジュースを持ってきて、機嫌を取ろうとするのには理由があって。

イマドキだけれど金を持ってそうなママ友二人、片方の娘。裕福に暮らしていて、ファミレスで待ち合わせるということすら微妙だったり、子供には清涼飲料水飲ませないことが頑なだったり。今のところは高い生活レベルを落としたくないという必死さがにじみ出る感じ。ほんとうに13歳の女優を真ん中に据えて大人達のあれこれ。

大人の女性たち三人というアングルが見事。医者の妻(大竹沙絵子)はこのアングルの中では揺るぎない強さとそれゆえの余裕という立ち位置(娘の母親が決して許さない炭酸飲料を飲んじゃえ、というのは象徴的)。娘の母親(梨木智香)はそれよりは成り上がった感じで、このポジションを手放したくない、そのためには娘にもきちんと教育と躾をという必死さ。バイトの女(あやか)は、いわゆる庶民のポジションだけれど、このアングルの中では見下される立場。それでも必死に見下して自分の位置を確保しようともがくのは「成り上がり」の立場で、揺るがない立場からはそんなことはなく。

作家はさらにもう一押し。不倫という「男に選ばれる」という、若い女が勝てる要素を突っ込みます。夫どころか、いま大切に育てている娘すら取られてしまうかもしれないという母親の必死さもあるけれど、若い女にとっては(明確には語られないけれど)確変を引いて裕福な生活ポジションに飛び移れるかも知れないという、ある種の意地汚さのようなものも透けて見えていて、作家の底意地の悪さが見え隠れするのです。なるほど、女たちの会話を描いた作品( 1, 2, 3) や、それ以外でも女たちのシーンに通底する面倒くささにも通じるのです。

カーチェイスのシーン(TDLが左側ということはファミレスは千葉方面で、娘の家は東京あたりか、みたいなどうでもいいことを考えつつ)、あるいはカーテンコールで劇団名が思い出せないテイであれこれの劇団やら役者(今後の出演者とか)をいろいろ繰り返すのは確かに笑うけれど、正直にいえば、時間を延ばす(それぞれ5分ほどのことだけれど)機能を担っているだけ、という感じがどうしても残ります。短い時間できっちり芝居をするというここの方針は支持するし、緩急を付けてと云えないことはないけれど、彼女がこれまで描いてきた40分きっちり濃密に物語を詰め込んだ面白さというのを知ってるだけに、惜しい。

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